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子供騙しに引っかかる

いろいろなクルマに乗ってみると、個々の味付けの違いに興味が沸く。

特に記憶に残っているものを挙げると、次のようになる。

穏やかで何の不満も述べる必要のない性格を見せてくれたオペルベクトラ。これは本当に刺激や面白さがまったくない縁の下の力持ち。目立たないが良く出来るヤツであった。こんなに自己主張しないクルマも珍しい。MB C-classも似たような味付けなのに、世間ではどうしてこんなに両車のイメージが違うのだろう。私には同じように見えて仕方がない。

日常ではがさつでマナーが悪くて扱いにくいのに、得意分野では生き生きと振舞うアルファ147。山道を楽しむ程度のペースで走ると、何ともいえないリズムに昂ぶってしまうのである。

マイナーチェンジによって新しいイメージを持ってもらおうと頑張ったが、すぐに浅知恵がばれて恥ずかしいフォレスター2.0NA。アスリートの着ぐるみを纏っても、速く走れない。

モデルチェンジによって新しいイメージ作りに頑張ったV36スカイライン2.5。ちょっとだけ付き合ってみると、快活で饒舌な仕草に惹かれてしまう。それに引き換え、ちょっと前に付き合ったMark Xは無口でおとなしい性格で、V36の刺激に触れ合うと忘れ去ってしまいそうになる。

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前置きが長かったが、 ここからが子供騙しの話である。

V36に乗ると、重厚で剛性感のある分かりやすいハンドリングに感心し、また、エンジンも活発で速さを感じさせるものになっており、Mark Xを押しのけて「伴侶はお前だ」と言いそうになる。しかし、実は速さではMark Xのほうが上だったことが分かった(速いが勝ちというつもりではない)。また、思い返してみると、常に騒がしいV36よりも慎ましいMark Xのほうが長時間走行は楽だろうなと想像できる。

一瞬で心を奪われる特性をV36に与えた日産に、ついつい大人も騙されそうになるのである。それはなかなか上手な戦略だと言える。

V36の加速フィーリングがMark Xの比ではないと思わせる演出はスロットル特性にある。このようなスロットル特性で運転手を虜にするのは常套手段なのであるが、うわべだけの演出とバレるかバレないか、そこが問題になる。V36は長く付き合うとバレそうな気がする。

それならば、いっそのことばらしてしまうというのも潔い考えである。それを実現したのがスバルのSI-driveである。標準の「S」に加えてお馬鹿な「S♯」と穏やかな「I」という顔を持つ変わったヤツである。もし「I」で走ると「S」よりも燃費が良くなるなんて言う人がいたら、まんまと子供騙しにはめられたと言うしかない。まあ、子供騙しの効果で燃料代が安くなるのならそれは成功である。別に文句はない。ただ、インテリジェントを謳うのなら、ATの制御も変更すべきだと思う。「I」に設定したなら、プジョーのように低回転域から容赦なくロックアップするというのも一案である。

子供騙しで節約に貢献するという考え方は、こんなところにもあった。水道の節水コマというものである。この製品は昔からあったと思うが、SUBARU SI-driveはまさにこの思想を取り入れたものと言える。「I」でフルスロットルにならないのはご愛嬌だが。 (25MAR2007)

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