--------------------------------------------------------------------------------------------

Edition

4AT

221万円(税抜)

今回、フォレスターNAモデルに1日中試乗できるという兵庫スバルのキャンペーンに参加してみた。試乗車は前回と同一のL.L.Bean Editionであった。

朝から晩まで自由に使ってよいというので、用事を兼ねて高速道路を主体に走ってみることにした。

高速道路に乗るまでの一般道でATの具合をもう一度確かめてみると、やはり必要以上に引っ張ってシフトアップすることに違和感を持った。穏やかな加速をしようと思ってスロットルペダルを浅く踏んでいるのに1速は4000rpmも回ってからシフトアップする。回さないように気を使ってもっと浅く踏んでみても、3000rpmまで回る。ほとんど加速を必要としない渋滞時でも、2500rpmまで回ってしまう。これらは、ECOモードでの話である。やはりシフトスケジュールは加速が良いと錯覚させるようにプログラムされているようである。

高速道路に入り、100km/hで走るとエンジン回転数は2400rpm(TOPギア)で、ロックアップクラッチは働いていた。加速中にどのタイミングでロックアップしたのかは認知できなかったが、80km/hまでの加速ではロックしなかったので、それよりも高い速度でロックするのだろう。しかし100km/hから80km/hに速度が落ちたときにはロックを維持していた。ギア比が高めであることから、一定速度の高速走行では燃費が良さそうに思えるが、マナーの悪い不安定な(追越車線が走行車線よりも遅い)流れの中を走るときには、加速時にフルスロットルを頻繁に求められる(パワーがない)ことから、あまり燃費が良くならないと思われる。

高速での直進安定性はかなり高く、TOPギアで3500rpmまで回しても風切り音が気になるだけで、安心して走行できた。しかしカーブでは急に車体がずれるような不安感に襲われ、直進時とのギャップの大きさが気になった。カーブの途中での姿勢は悪くない(ロール角は大きくない)のであるが、そこに至る過程に問題がある。ダンパーの動き始めをもっと締め上げると良くなるかもしれない。

高速道路での加速時にはフルスロットルが頻繁に必要であると上のほうで書いたが、これはAT(ECOモード時)がなかなか自動シフトダウンしてくれないからである。ECOモードを解除することにより比較的浅いスロットルペダルの踏み込みでシフトダウンするようになるので、機敏な加速を必要とする場所ではATの設定をノーマルにしておくほうが良いかもしれない。一般の交通の流れに乗った日常走行では、この2.0NAエンジンでパワー不足なく走ってくれるが、加速で危険回避する(あって欲しくないことであるが…)ことはまず不可能である。そういうことを考えてはいけないクルマなのである。走行車線と同じ速度で仲良く追越車線をゆっくり走るというのならこんな程度でいい。

余談であるが、走行車線と追越車線のクルマが仲睦まじく走るのは事故や渋滞の原因になる(車線変更しようにも仲良く並んでいるので車間が空いている場所に移動できない→必要に迫られて無理に入ろうとすると相手を減速させる→流れが乱れる→追突や渋滞の原因となる)のでやめてもらいたい。誤った平等主義による教育(小学校の徒競走で順位を付けない等)がこんなところにも影響をもたらしているのかと思うと、今後の日本の交通マナーは良くなるとは思えない。「マナーを守ろう」という標語があるが、マナーとは一体何か、まずそれを日本では大人に教えなければならない

ブレーキは踏み込めば意外に利いてくれた。タッチもさほど悪くなく、ペダルが奥まで入り込むこともなかった。M/C前のSG5はひどかったが、BP/BLレガシィを出したころからスバルのブレーキに対する考え方が変わってきたのかもしれない。また、ようやく四輪ディスクブレーキをNAモデルにも与えるようになった。

NAモデルの感想は基本的に1回目と変わることはなかった。取り急ぎ脚とATをなんとかしないとスバルマニア以外には買ってもらえないと思う。

同乗した家内の意見は、「静か」、「乗り心地が良い」、「外板色が良い」、「ステレオの音がクリア」というものであった。どうやら助手席での印象は悪くなかったようである。

2.0(ターボ)

4AT

250万円(税抜)

兵庫スバルの1日試乗キャンペーン用車両として、今回はクロススポーツ(ターボ)が用意されたので、試してみることにした。

M/C前のクロススポーツは、標準車(XT)よりもタイヤ外径を小さく(215/60R16→215/55R16)して、さらにバネを短くして、トータルで車体を30mmダウンさせていたが、今回のM/C後(D型)のクロススポーツはタイヤサイズ(215/55R17)を2.0XTから変更せず、サスペンションだけで車体を30mm下げるような設定になった。つまり、脚の設定が大きく変わったのである。

ベース車であるM/C後の2.0XTはかなり良い乗り味であったので、夏タイヤを履いてストロークを詰めた脚を持つCROSS SPORTSはさらにダイレクト感のある味を持っていることが期待できる。果たしてどうか?

--------------------------------------------

D型クロススポーツ 2.0T には革シート(部分的にファブリック)が標準装備になる。クロススポーツNAモデル(2.0i)のシート表皮にはファブリックが使われるのに、なぜ2.0Tには革が使われるのか、その理由は分からない。一見するとBP/BLレガシィ用シートを流用したのかと思ってしまう形状であるが、座ってみるとまったく異なるものであった。BP/BL用はまるでカローラのシートのように張りがなくてブヨブヨのクッションを備え、とても安っぽいのであるが、2.0T用のシートはクッションが硬くてしっかりした座り心地を備えていた。また、2.0XTよりも30mm車体が低いので、乗り降りは楽に行うことができた。

走らせてみると、シャコタンにしたことがやや感じられる乗り味であった。しかし、2.0XTと比べて極端に悪いわけではなく、2.0XTを知らなければ特に文句を言うほどのことではない。

タイヤはASPECを履いていた。いまどきのYOKOHAMAタイヤはDNA○○○なのに(ASPECの後継であるDNA dBは2000年6月発売)、どうして2005年6月に発売したクルマにASPECブランドを装着することになったのだろう。奇妙な話である(2005年7月に買った老母のMOVEも、なんとASPECを履いていた! いつの間にか純正タイヤ用ブランドになったのか?)。

ATのシフトスケジュールは他のモデルと同じくECOスイッチのON-OFFが選択できる。ECOでのスケジュールは2.0XTとまったく同じフィーリングで、スロットル開度が小さいときには50km/hでロックアップクラッチが作動し(TOPギア)、1200rpmにまで回転が落ちる。そんな低回転でも緩やかに加速できるのは立派なことである。一方、ノーマル(ECO:OFF)状態では60km/hぐらいにならないとロックしなかった。一般道ではNA車と異なり、ECOであれば2000rpm+αでシフトアップして低回転を維持する走りが可能であった。今回は加速性能を試すことがなかったので、ノーマル状態の確認時を除く全行程をECOで走り、最高でも3000rpmに届くことはなかった。

燃費は期待したほど良くなく、100kmちょっとの街乗り(渋滞の高速を含む)で10km/L程度であった。

街乗りでのハンドリングやカーブでの姿勢は2.0XTとほとんど同じであった。また、大きいRのカーブを高い速度で曲がると、腰砕けを起こすような挙動を示した。2.0XTでは腰砕けを感じなかったので、シャコタンにした弊害が現れたのだと思われる。

車高を落とすためには短いバネが必要になるが、バネを短くするとバネ定数は上げられないので、柔らかいバネを使うことになってしまう。さらに、車高を落とすとサスペンションアームの角度が変わり(ロールセンターが重心から遠くなる)、ロール剛性が低くなる(ローリングしやすくなる)のである。2.0XTとクロススポーツ2.0Tの脚の設定値(ダンパーの自由長は短いのか、等)を知らないので何ともいえないが、日常の走り味において2.0XTよりも優れるところは見当たらなかった。

2.0XTに対するクロススポーツのメリットは1550mmの車高である。立体駐車場に入るということだけが「売り」のクルマが果たして売れるだろうか。もちろん、夏タイヤのグリップ限界は高いので、ブレーキングおよびカーブでの限界値が2.0XTより高いことは明らかであり、安全面でのメリットもないわけではない。しかし、もっと乗り手を刺激する何かを与えることはできなかったのか。最近の煮え切らないスバルのクルマ作りに興醒めである。開発費がなくて…という言葉は聞きたくない。

--------------------------------------

兵庫スバルでは、販売状況が芳しくないフォレスターを何とかして認知してもらい、売上につなげられるようにと考え、キャンペーンを打ったのであろう。

しかし、NAモデルはATと脚の設定が奇妙で、クロススポーツは全然スポーティではないということを見つけただけであった。アラ探しをするつもりはないが、売れ筋であると思われる2.0XTと比べると、派生モデルはバランスが崩れているというしかないのである。2.0XTをキャンペーンの主体に置いて、「こんなに良いクルマがあったのか」と思ってもらうほうが得策だったのではないだろうか。

 

戻る

 

inserted by FC2 system