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FORESTER

(型式SG5

マイナーチェンジ(M/C)後 …

D型

2.0XT

4AT

231万円(税抜)

SG5型フォレスターは何度か細かいM/Cをしてきたが、2005年2月、大きくフェイスリフトを施してD型になった。外観以外にもいろいろと変更を受けたというので試してみた。

運転席に乗り込むと、電動調節式のシートが付いていて驚いた。これはオートレベライザ(重い荷物を積んでも後ろが下がらないリアサスペンション)などと一緒に装着できるオプションである。SG5の初期モデルはシートのスライド調節の間隔(1段ごとの移動量)がとても大きく、運転姿勢に妥協を強いられたが、電動スライドによって無段階調節ができるようになり、不満点が一つ消えた。

今回のM/Cの最大のトピックは自然吸気エンジンの変更である。しかし、今回の試乗車はターボ付きエンジンであった。2.0XTに載るターボ付きエンジンは基本的にSG型の初期から変わっていないと言われている。

ATの設定を「ECO」にして走り出すと、1stから2ndへのシフトアップが早期に起こり、燃費を重視している設定であることがよく分かった。スロットルペダルを深く踏み込めばECOモードは一時解除されるので、常時ECOスイッチONで走ればよい。

試乗コースは山奥の住宅地に続く田舎のワインディング路を使った。

ATは早々と4th(TOP)までシフトアップした後、50km/hあたりでロックアップクラッチが働く。そのときのエンジン回転数は1300rpm程度でしかない。ECOモードに設定したためかもしれないが、上り坂でも容赦なくロックしてしまい、あまりの低回転運転で力がないためスロットルを少し開けると、ロックを解いて2000rpmまで上がる(TOPギアか3rdギアか分からない)。この繰り返しはあまり心地がよくない。ロックを解いた状態の2000rpm時にフレックスロックアップが作動していればいいのだが、これは体感ができない。もし5段ATが付いていたなら、4thギアでロックアップクラッチ締結状態で走ることもできると思うので、5段ATをレガシィの専売にしないで搭載車種を広げて欲しい。

緩やかな上り勾配の道を少し勢いよく走ると、2500rpmからタービンが回り始めるのが分かった。過給によるトルク増大の仕方が(BP/BLレガシィと比べて)やや急激だと思ったが、タービン特性はSG5初期モデルよりも扱い易くなっているような気がした。だだ、これは乗った環境が違うので思い違いかもしれない。できることなら、ケチな考えをやめてBP/BLのような等長排気マニフォールドとVVT-iを吸排気両方に装着してエンジン特性を改善してほしい。どうしてもエンジン下のクリアランスが必要というなら、細いパイプや楕円に潰したパイプをマニに使えばいい。

ハンドリングは舵角に対するクルマの動きが非常に素直で、体感するロール角は少なく、ステアリングの重さや反力が適切で、曲がることを楽しめる優れた性質を持っていた。サスペンションの設定変更やタイヤサイズ変更(16インチから17インチへ)によって素直な動きを出せるようになったのだろう。この感触は最近のスバルの中で最も気持ちの良いものであり、とても気に入った。スイスイとノーズが入っていく様はまるでアルファ147のようであり、スバルが求めていたというドライビングプレジャーがここにきてようやく実現できたようである。なお、オフロード寄りのタイヤ銘柄にもかかわらず、一般よりちょっと速いペース走行する程度ではタイヤが鳴くことはなかった。従来の16インチタイヤはすぐに音を上げたので、グリップ性能はかなり上がっている。

乗り心地も非常に洗練されたものになっていて驚いた。ロールの少なさと突き上げ感のほとんどない乗り味を両立させているのは素晴らしい。17インチタイヤの重さもまったく感じることはなかった。

ブレーキパッドに温度依存性があるようで、最初は踏力に対して利きが弱く、「16インチ用ローターではダメなのかな」と思ったが、暖まれば問題なく利いてくれた。17インチホイールを標準で装着するのなら、レガシィターボと同じ17インチ用ローターを付けて欲しいとも思うが、フォレスターはオフロード走行用に16インチホイールに履き替える可能性が残っているため、17インチ用ローターは純正で付けることができなかったのだろう。できることならオプションで17インチ用ローターの設定が欲しい。

今回フォレスターに乗って「こんなに良いクルマだったかな」と何度も口にした。乗り心地とハンドリングが高いレベルでバランスしているクルマは稀なので、本当に買ってもいいと思ってしまった。もし5段ATが付いていたなら、注文しただろう。

Edition

4AT

221万円(税抜)

2.0XをベースにL.L.Beanの装飾を施したモデルが試乗車として供された。

今回の試乗の目的は、M/C後SG5の最大の目玉である新しいNAエンジンを試すことである。このエンジンはBP/BLレガシィ2.0iで採用されたものと同じであり、すでにBP5にてこの新しいOHCエンジンが扱いやすいことを知っていたが、SG5に積まれたエンジンはどういう味なのか確かめてみたかったのである。

まずは始動してみると、これまでの古臭いこもったエンジン音は消え、静かでバランス良く回るようになった。まぎれもなくレガシィと同じフィーリングであり、上質感が高まった。

店から国道に出て5%程度の上り坂を若干多めにスロットルを開いて走ってみた。すると、1速でグイグイ引っ張るではないか。どこまで回るのか? と思っていると、なんと4500rpmぐらいまで引っ張った。それほど深く踏み込んだわけではないのに、そんなに回すことはないだろう。ただし音は静かで問題はなかった。

試乗コースは上記のXT(ターボ)と同じである。ワインディング路ではステアリングが軽くて頭の入りがスムーズで、最近のスバルは乗りやすくなったものだと改めて思った。このクルマにはXTと同じサイズのタイヤ(215/55R17)を履いているが、ちょっと速度を高めると、脚の設定はXTとまったく異なり、かなりソフトに振ってあることが分かった。ブレーキング時にはピッチングが大きく、ステアリングを切るとリアサスの伸び上がりが速く、S字の切り返しではボディの揺れが非常に大きくて不安定であった。

スバルにはいまだに脚が柔らかければ乗り心地が良いという迷信があるのかもしれないが、脚がソフトであっても乗り味は特に良いわけではなく、バネ下の重さを感じるようになっていた。なぜXTと同じような脚をNAモデル(17インチタイヤ仕様)にも与えなかったのだろう。XTのセッティングがとても良いだけに不思議で仕方がない。

スロットル開度があまり大きくない状態でワインディングの上り坂を走ると、2速でも無闇に引っ張ることが分かった。たとえATがECONOMYモードであっても自動シフトアップのエンジン回転数は予想外に高かった。また、直線路で80km/hまで速度を上げてみたが、ATがロックアップする兆しはなく、どこまで行けば効率の良い走りができるのか見つけることはできなかった。NAエンジン用のATセッティングはターボ用とはまったく異なるもので、無理にエンジンを回して速さを感じさせるような意図がみられ、好ましくない。

フォレスターはずっとターボエンジンモデルを主体に売ろうとしてきたが、今回のM/CではNAエンジンモデルをカタログのメインに置くなど、良くなったNAエンジンに目を向けて欲しいという強い意図が感じられた。確かにNAエンジン自体は良くなった。しかし、乗り味はターボエンジンモデルがほぼ満足できるものであったのに対し、NAエンジンモデルは全然物足りないものであった。もっと脚とATのチューニングを改めてもらいたいと思う。現状ではNAエンジンの17インチモデルは買うに値しない(16インチモデルは乗っていないのでなんとも言えない)

ATが5段になって脚がターボモデルと同じような味付けになれば、問題が一気に解消されると思うので、貧乏臭い(持っているものを出し惜しみする)ことをせずに全車の基本的な方向性を同じにすることを強く望む。MercedesやBMWは安いモデルに乗っても味付けは高いモデルと変わらないのだから、そういう考えは積極的に取り入れてもらいたい。

 

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