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FORESTER(型式SG5

XT(4AT)

XT(5MT)

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東京・有明で開催された発表試乗会に参加した。

フルモデルチェンジでエンジンはEJ20 DOHCターボとOHC NAの2.0Lだけに集約された。旧型(SF)にあったT/25(2.5Lエンジン)はあまり売れなかったのでEJ25搭載車は今のところ存在しない(北米輸出用は2.5L OHCのみというのが面白い)。今回乗ったのはターボ付きのMT車およびAT車。NAモデルは時間が足りず乗ることができなかったので次の機会にした。

EJ20ターボは VVTiを新たに付けたもので、基本的にはGDA(WRX-NB)のエンジンと同じであるが、性能は GDAの250PS/34kgmに対して SG5は220PS/31.5kgmとなっている。旧モデル(SF5)と最大トルク値は同じであるが、低回転域のトルク特性を重視して小さいタービンを採用したため高回転のトルクが低下し、最高出力は落とされた。新旧の性能を比べると、3700rpm以下で新型のほうが強力なトルクを出すようである。

さて、乗ってみると、エンジン、トランスミッション、ブレーキなどの主要部品に加えてステアリングホイール自体もGDインプレッサと同じなので、最初の印象はGDAとよく似ている。運転席のリフターも今回からGDAと同じく椅子全体が上下するものになったのは良いが、操作はGDAのようなラチェット式ではなく、ダイアル式である。ダイアルは軽く回って良いのであるが、如何せんグルグル回すのが面倒である。それでコストダウンが少しでもできるのだろうか。シート自体の出来は良いが、スライドは微調整ができず、1ノッチは15mmぐらいあるのが惜しい。両側ロックにして強度を増し、10mmのスライド幅を実現してほしい。三菱LANCERは両側ロックを採用し、スライド間隔は小さかった。

オートエアコンは温度設定を元に風向制御や外気導入切換も自動で行うフルオートタイプになっている。FANの風量は9段階ぐらいにコントロールされるので、設定温度に近づいた状態では風の音が気にならない。最近のスバルのエアコンは細かく風量コントロールできるようになった。

フルモデルチェンジの大きなポイントである実用域のエンジンの感想を述べたいところであるが、試乗の時間が短いのでどうしてもフルスロットル時のフィーリングに偏ってしまう。メーカーの思惑である低回転域のトルクの充実というのは残念ながら感じる暇はなかった。全開時のフィーリングは 3000rpm弱から6000rpmまでが過給の効果を充分に感じられる領域であり(レブリミット6500rpm)、X-TRAILターボ(GT)よりは断然扱い易い。だが、同門のGDAインプレッサと比べると低速のトルク感が物足りない。低速型に徹するのであれば、VOLVO低圧ターボ(2434ccで200PSしかない)や軽自動車のターボのようにもっと分かりやすい特性にできないものか。とはいうものの多くの客は速さも求めるSF5ではターボ車がよく売れたので、やはりターボらしく中速から盛り上がる演出も捨て切れなかったのかもしれない。

そこで、ターボの特性をさらに詳しく調べるために2ndギア(MT)で3000rpmの一定速走行からスロットル全開まで1秒ぐらいかけて変化させてみたところ、過給ラグは割合に大きく感じられた。また、5000rpmから同様に踏んでみるとすぐに加速態勢を取るものの、ワンテンポ置いて過給パワーが後押しするのが明らかに感じられた。自分のGC8でいつも意識して行っている「過給を感じながら徐々にスロットルを開けていく」方法も試してみたが、スロットル開度と加速の関係がきれいにつながらなかった。結論はSG5はタービンの回り始めが鈍いということ。低速重視という宣伝文句のわりにいまひとつ方向性のはっきりしないセットアップであった。改善策として車両価格が2〜3万円ぐらい高くなってもいいのでボールベアリングターボを付けてもらいたい。あとはNA 2.5Lエンジンの復活も希望する。ターボチャージャが付いたエンジンは目的を持って飛ばすときには有難いものであるが、日常の使い勝手は排気量の大きいNAエンジンが好ましい。EJ25はフィーリングが非常に良いので、是非とも上手な宣伝とともに復活させて欲しい。せかせかしないでおおらかに走るほうがフォレスターに合うと私は思っている。

ターボ車用のATはNコントロール付きというもので、Dレンジで停止中に自動的にニュートラルになるというもの。GDA(B型)でもすでに採用されているが、スバル車では初めて体験した。OPEL VITAやVOLVO S60にも同様のシステムが採用されているが、それらは停止中完全にNになり、ブレーキペダルから足を離したときに1stギアへ入るショックが明らかに感じられるものであった。SG5ではそれらと異なりシフトショックを感じない。試しに停止後に音が変化した(Nコントロール作動)時点で手動でレバーをNレンジに入れるとショックが出る。ということは実際には完全にニュートラルになるのではなく、半分つながった状態(ポンプの圧を下げているのか?)なのではないかと考えられた。これは違和感がなくて良かった。

MTの駆動系の“遊び”が私のGC8インプレッサに比べてかなり少なくなっているように感じた。スロットルのON/OFFによるギアの遊びによる不快感はもう消えてなくなった。スバルの駆動系部品の精度は改善されているようである。

脚まわりの設定はサイドヲールの厚いタイヤを履くため他のスバル車とフィーリングはやや異なる。ステアリングレスポンスは鈍く、車高の高さによる不安感を起こさないようにセットされているように感じた。ハイグリップタイヤに替えない限り背の高さに伴うローリングの不安感はまったくないだろう。しかし、タイヤのグリップが弱いことによって、少し強いブレーキングをかけるとすぐにABSが作動するのは安全面で良くないので、もう少しタイヤや脚の設定をON ROAD向けにしてもよいのではないかと思う。ステアリングはギアレシオが切る角度により変化するものであるが、切り返しを繰り返す場面に遭遇してもJaguar X-typeのような違和感は全くなく、フィーリングは良い。ただし、現行のスバルの中で最もハンドルの手応えは重いので、受け入れにくい人がいるかもしれない。

X20(4AT)

ターボモデルと別の日にNA2.0Lエンジンのモデルにも乗ってみた。

まず感じたのはNAエンジンなので当然であるが、ボンネット上にエアスクープがないために視界がよいということ。ボンネットの先が見えないのはGC8で慣れているため特に気にしていなかったが、やはり邪魔物はないほうがスッキリしていて良い。

昔のU12型ブルーバードには「ボンネット上にエアスクープを備えて最大限の冷却効率を求めたSSS-R」と「エアスクープを廃し、ボンネットの内部に空気の流路を作ってインタークーラーに風を導く方法を採用したSSSターボ」があった。SSSターボのほうは苦心して設計したそうで、結果的にSSS-Rと比べて効率ダウンは僅かに留まったそうである(それが全く一般人に評価されていないのが日産の悲しいところ)。フォレスターの最大の市場であるアメリカではエアスクープがあるほうが売れるというが、日本向け車両は日産のような技術を取り入れてスッキリとしたボンネットを付けてほしいものである。忘れていたが、X-TRAILターボもボンネット上には何もなく、U12と同じようにグリルからインタークーラーに風を導いているようである。

スバルの2.0L NAエンジン車には今回初めて乗る。ターボ車の陰に隠れて目立たないものの開発はきちんとされているようで、通常走行では意外によく走る。流れをリードする走りをしても3000rpmも回す必要はなく、低回転域のトルクは充分出ている。ただ、スロットル特性は踏み始めがやや敏感で、OFFから微妙に踏んでもトルクがポンと立ち上がるのが気になった。踏み始め部分は鈍感な(例えばMercedesのような)仕上げのほうが燃費や同乗者の快適性確保のために好ましいので、ぜひとも改良してもらいたいところである。全開加速を試してみたところ、Partialスロットルでの走りとあまり差がみられなかったのが残念であった。最近のスバルは以前に比べて、スロットル開度がペダル踏み始めに大きくなるようなセットアップをする傾向が感じられるのだが、操作にリニアに反応するというコンセプトはどこに行ってしまったのだろうか

ATは、1→2の自動変速時にややタイムラグを感じるが、これはステップ比が大きいことによる変速ショックを抑えるために仕方ないのかもしれない。手動で1→2の操作をしてみたときの反応は非常に鈍く、1stでリミット付近まで引っ張ってセレクタを動かしたところ、Rev limiter が働いた。2→3→4についてはショックもタイムラグもほとんど感じることなく、良いフィーリングであった。ロックアップクラッチは4速で60km/hぐらいで作動する。

ステアフィールについては、205/70R15というタイヤサイズと遅いギアレシオを持っていることからやや鈍く感じた。脚のセットアップは全車同じということなので、ターボ車と同じ215/60R16、もしくはハイグリップではないON ROAD用タイヤにすれば解決できるであろう。

NA車のブレーキはリアにドラム式を使っているが、街乗りでは踏力と制動感のバランスは良かった。ドラムブレーキでどれぐらいコストが削減できるのか知らないが、車体が重いので、できればNA車も四輪ディスクブレーキにしてもらいたかった(X-TRAILは全車四輪ディスクである)

全体的に走って違和感のないクルマであったが、EURO PACKAGEのシートは背もたれの形状が合わず、少し気になった。試乗の際にはノーマルシートも試してみるべき。

その後、インプレッサI's Sportの試乗を経てもう一度X20に乗ってみると、X20のサスペンションの動きに一体感がないことを感じた。フォレスターはインプレッサをベースに作られているが、タイヤの重さやサス設定の違いがフィーリングの差として感じられた。

TommyKaira

fb 2.2

(5MT)

トミタ夢工場が製作したフォレスターXTの改造車。

大きい変更点は約150cc排気量を増したエンジン、そして容量を少し大きくしたボールベアリング支持のターボチャージャ。その他として、マフラー、サススプリング、ダンパー等。トミーカイラの改造車(基本グレード)でターボチャージャを交換したクルマは今までになかったが、SG5のノーマルターボの過給特性や容量がよっぽど気に入らなかったのだろう。発表試乗会で私が抱いた不満と同じだったのが面白い。

乗ってみた感想は、排気量が7.5%増しになっているにもかかわらず、低速トルクはノーマル車より増えているとは思えなかった(M20bと同様)。5thギア 1500rpmでの定速走行から加速は困難である。しかし、無過給領域から過給領域への移行のスムーズさは明らかにノーマル車より改善されていた。ノーマルタービンは小さい割になかなか回り始めないのが難点だった(XTの試乗記参照)ので、ボールベアリングタービンの恩恵は十分に感じられる。タービン変更と排気量UPにより、中〜高回転での走りはノーマルとはまったく別物で、タービンが即座に仕事をするようになっていた。fb 2.2 のエンジンは280馬力、40kgmの性能で、GDBインプレッサと肩を並べるが、GDBのような暴力的は加速はせず、スムーズに速い(私の260馬力のGC8より滑らかで速い)特性を持っていた。しかし、このエンジンの問題点は最高回転数が6500rpmと低い(ノーマルと同じ)ことである。タコメータを見ずにフル加速していくと、これからもうひと伸びを期待するところでリミッタに当たってしまう。せめて7000rpmまで回って欲しいと思う(GDBのリミットは8000rpm)。また、エンジンマウントがノーマルなので、全開加速でシフトアップをした際、エンジンの揺れがとても大きく感じられ、不快な気分になる。車両作製のときに必ずエンジンを降ろすので、ついでにGDB純正のマウントに変更して欲しい。

藤壺技研が製作したマフラーはテールピース(メインパイプの中間部〜主消音器〜出口)のみの変更である。音は低音ではなく、比較的高い音色のボクサーサウンドを常に聞かせるタイプであった。トミーカイラは常に音を感じさせる設定が好きなようである。

BILSTEINダンパーとオリジナルのスプリング(レートはほとんど上がっていないらしい)に替えられた脚と18インチタイヤによる乗り心地は、意外にも小さい段差をよく拾い、突き上げが体にこたえるものだった。しかし、バネ下のばたつきに関しては、鍛造アルミホイールが軽量なためか不快に感じることはなかった。ロールスピードはノーマルよりは抑えられていたが、車高が高くてバネが柔らかいため、ステア速度が速いとやや怖い。

今回の試乗車には、本来装備されているべきものが準備されていなかった。それは6POD 対向ブレーキキャリパ(ENDLESSの通称チビロク)である。これはGDBのbremboよりも魅力的なのであるが、体験できず残念であった。

最後に、トミーカイラは改造する車両をスバルに求めることが多いが、フォレスターまで車高短にしてOFF ROADを走れなくするのはいかがなものかと思う。フォレスターを買ったすべての人が悪路を走るわけではないので、ON ROAD専門の人に選んでもらえれば良いということなのだろうけど…まあ使い方はひとそれぞれか。

CROSS SPORTS

ターボ

4AT

 

16インチタイヤ装着ノーマル車両

《試乗1回目》

SF5の時代には車高を下げたモデルをSTIバージョンとして限定販売していたが、SG5では通常のカタログモデルとして車高短仕様(バネで20mmダウン&小径タイヤで10mmダウン)が追加設定された。ラフロードに入ることが難しい現在、200mmの最低地上高を必要とする人はそんなに多くないと予想される。それならばON ROADでの走行性能を重視した設定にして、さらに幅広い層に支持してもらおうと企んだのだろう。実際 170mmの最低地上高があれば未舗装の田舎道(北海道には主要道路でも砂利道というのが結構あった)では何の問題もないし、ON ROAD用のタイヤ(REGNO GR-03)でもゆっくり走れば問題はない。ON-OFF兼用のクロスオーバーというノーマル車から、日常的に用途が広い(立体駐車場に入る全高1550mm)ショートワゴンタイプの乗用車に変身させることにより、確実に需要は広がると思う。

試乗車は16インチタイヤを履いたモデルであった。座席に腰掛けると、車高が30mm下がったことは明確に感じられた。ノーマル車は見晴らしが良かったが、CROSS SPORTSは普通車の目線とさほど変わりないため、セダンやワゴンからの乗り換えには違和感はないだろう。シート形状はノーマルと同じようなもの(縫い目の意匠が若干異なる)であるが、縁の部分の材質に人工スエード(アマレッタ/クラレ)が採用され、手触りの良いものとなっていた(スバルの中でエクセーヌ/東レとの使い分けがなされているが、理由は何だろう?)。座面は硬めで安定性が良い。ただし、背もたれは高さが足りない。後席乗員の前方視界を考慮したのかもしれないが、シートバックが肩甲骨のあたりまでしか当たらないのは不満である(私の身長は175cm)。

最近のスバル車の走りはかなりスムーズになっており、CROSS SPORTSも同様に滑らかな乗り味であった。サスペンションスプリングはXTより硬くなっているはずであるが、よく動く脚のため乗り心地は良く、ロールは少なくなって安定感は増した。バリアブルギア比をもつノーマル車でも違和感のなかったステアフィールであるが、タイヤ特性やサス特性に合わせてセンター付近がややクイックになった固定ギア比はマッチしている。

エンジンはXTと基本的に同じものであるが、過給のフィーリングが改善されているように感じた。ターボラグは少なくなり、2500rpmぐらいからスムーズに力を増していく特性はなかなか良いものであった。これは、タイヤ外径が小さくなり、ギア比が全体に低くなったことに因るのかもしれない。日常走行ではターボラグも少なく乗りやすい。オートマチックトランスミッションにはTipシフトが追加され、シフトレバーとステアリングスポーク部のいずれでも手動変速ができるようになった。Tipシフトは操作しやすいが、4段ATなのでギア比が離れており、使う面白みに欠ける。ロックアップクラッチは約50km/hで作動し(TOPギアのみロックアップ制御されると思われる)、低燃費に貢献する設定(BH5レガシィと同様)になっていた。今回、Nコントロールについてさらに注意して観察してみたところ、停止(Dレンジ、ブレーキランプON)時には完全にニュートラルになるのではなく、XTで感じたように半分つながった状態になっていることが分かった。というのは、ブレーキをゆっくりリリースしたときにつながる動作はほとんど伝わってこないが、パッと素早くブレーキから足を離したときには少しショックが出ることから判断した。なお、Info-Ecoモードはノーマルモードとシフトタイミングの違いを体感できなかった。もしかするとInfo-EcoはATに働くのではなく、エンジンに働くのかもしれない(勉強不足)?

スバル車のノーマルブレーキは相変わらずフィーリングが悪い。初期のタッチが甘く、奥まで踏めば効くが、その過渡特性は気持ちの良いものではない。bremboを備えるGDBインプレッサのフィーリングが良いだけに、スバルの他車にもそれに似た感触を期待してしまうのだが。前後バランスもフロントが効き過ぎる(ノーズダイブが大きい)ので、リア配分を増やしたい。まずはブレーキパッド交換(もちろん社外品)を要する。ただし、社外品はどうしても摩耗粉が多くなってしまうので、それを嫌うのなら同じキャリパを使用するインプレッサまたはレガシィ用純正PAD(16インチ2POD用のスバル純正品の中で摩擦係数が一番高いヤツを探してもらう)を付ければ多少は改善できるかもしれない(ただし、純正PADを12400円も出して買ってもそれほど変わらないかもしれない)

いつもは試乗の時間は短いが、今回はひとりで自由に走行できたので、純正ステレオの音も聴いてみた。低音高音が強調されたドンシャリ感はあるが、素人の耳にはなかなか良いように思えた。低音と高音の出方を調整できるのなら色々試してみたかったが、どうやって調整するのか分からなかった。

CROSS SPORTSの乗り味は、同じ部品を多用するレガシィ、インプレッサと似ているが、車内空間が上下に大きいので、それらに比べて窮屈な感じはしない。SUVは欲しいけどON ROADでのスポーティドライビングも楽しみたい、という人にお勧めできる。ただし、スポーティなドライブの前にはブレーキパッドを交換してもらいたい。。。

《試乗2回目》

ブレーキフィーリングが悪いのは個体の不具合なのかもしれないと思い、別の店でもう一度16インチホイール装着車に乗ってみた。しかし、同様にブレーキは甘く、強く効かせるにはストロークがとても大きくなり、安心して減速することはできなかった。性能自体に問題があると大変なので、フルブレーキングのテストも行ってみた。その結果、ABSが効くまでのペダルストロークはとてつもなく大きく、ペダルタッチもスポンジーであった。ABS作動のタイミングはギリギリまで我慢する設定で良いのであるが、フロントへの配分がやはり強すぎるようで、乾燥路面においてABSはフロントタイヤで先に作動した。また、そのときのステアリングホイールへの影響は結構強かった。やはり、ブレーキバランスと効きを考慮すると、ブレーキパッドの交換は必須である。

そして、少しだけ速いスラロームをしてステアフィーリングを確かめてみた。215/55R16のレグノというごく普通のセダン用タイヤを履いているのにもかかわらず、応答はとてもシャープで、軽いローリングを伴う動きは気持ち良いものであった。

今回訪問した店の指定する試乗コースを走るときには、乗り心地を確かめるためにセンターライン上の突起(高さ2cm程度)を踏んでみることにしている。レガシィワゴンではバネ下のブルブルとした振動を感じたが、CROSS SPORTSではほとんど振動を感じることなく、とても良くできていることが確認できた。

CROSS SPORTS

ターボ

4AT

17インチタイヤ装着車

《助手席で同乗

17インチBBSホイールを装着した車両を友人が試乗したので、助手席に乗って観察してみた。運転席と助手席とでは乗り心地の感じ方が異なることが多いため、この感想が正しいかどうか分からないが、16インチ仕様より路面の凸凹を若干多く拾うようになっていた。まぁタイヤサイズが215/55R16から225/45R17になれば当然かもしれない。ハンドリングがどのように変わったのかは、今回の運転手はForesterに乗るのが初めてなので何とも言えないところである(途中で運転を交代すればよかったのだが)。また、今回は助手席で手が空いていたのでステレオを色々と触ってみたところ、普通のステレオと同じように音質(高音、低音)調整ができることを知った。そこで、すべての音質調整を±0にしてみると、ドンシャリ感は消え、普通の音になった。音の良し悪しはラジオでは判断しにくいので、試乗の際にはお気に入りのCDを持参するといいだろう。

2.5L

6MT

スバル「お客様感謝デー」にてサービスされる無料点検の待ち時間を利用して乗ってみた。ディーラー所有の試乗車はなかったので、今回は営業マン個人のクルマを使わせてもらうことになった。

乗り込んでみると、見える景色はほぼインプレッサSTIと同等であった。シート、ステアリングホイール、ペダル、シフトレバー、ボンネットの空気取入口などの意匠が同じであることから、そう思えるのである。

エンジンを始動すると、ボコボコという排気音がわずかに感じられた。フォレスターSTIにはインプレッサSTIやレガシィターボに装着される等長排気マニフォールドがまだ付かないため、従来どおりの排気干渉の音が出てくるのである。等長排気管を使うと、2本のパイプがエンジンの下を通ることになるため、オフロード性能に関わる最低地上高を稼ぎにくいのだという。何かうまい方法はないのだろうか。

クラッチペダルはかなり踏み応えがあり(インプレッサSTIより重いかも)、シフトレバーはストロークが極めて小さかった(ショートストロークシフトを付けているのかも?)。

ゆっくりと走り始めると、低速トルクが意外に弱いことが分かった。私の旧いWRXではちょっとした上り坂では3000rpmシフトをしているが、フォレスターSTIも同じような走り方をする必要があった。タービンの回り始める回転数は2500rpm弱で、旧WRXよりは低くなっているので、踏めば走ってくれるのだが、無過給で元気良く走るのは難しく、2.5Lの恩恵は感じられなかった。圧縮比が8.2という低い値になっているため、低速トルクが得られないのだと思われる。レガシィのエンジン(ターボ付きEJ20)のように圧縮比を9.5にして、過給圧をあまり高くしなければ、ハイレスポンスな高効率エンジンになるだろう。

通勤で毎日通る路面の悪い道での乗り心地は、インプレッサSTIよりも若干良い程度ではないかと感じた。フォレスターというクルマなら、もう少し脚にお金をかけて洗練された乗り味にしてもらいたいと思う。それでも、これぐらいなら私にとっては「充分に我慢できる範囲の良い乗り心地」だと思えるが、「硬すぎる」と感じる人も多いだろう。なにせ以前試乗して乗り心地の良さに感銘を受けた Audi TT 3.2 でさえ「硬すぎる」という人がいるのだから………

山道に入って普通に走ってみたところ、ロールは少なく頭の入りはスムーズで、まるで見晴らしの良いインプレッサに乗っているような気分になった。225幅の18インチタイヤを履いているので、そう簡単にタイヤは鳴かず、気持ちよく走ることができた。また、重いタイヤ&ホイールのバタツキも感じられなかった。

ブレーキには bremboキャリパが装着されるが、それを知らずに乗ってもフィーリングの良さを感じることだろう。ジワッと効き始める感触がとても気持ち良いのである。スバルの普通のブレーキは評判が良くないが、何とかしてこのフィーリングを浮動式キャリパで実現できないものだろうか。BMWが簡単な構造の浮動式キャリパで秀逸なフィーリングを出しているので、その秘密を探って欲しい。

トランスミッションのギア比は、各ギアが比較的離れており、インプレッサSTIのように忙しく変速することはない。しかし、低速トルクが弱いため、既存の5段MTで走るように少し引っ張り気味にしないとスムーズに動いてくれない。その反面、TOPギアは2000rpmで90km/hに達するぐらい高いギア比なので、高速道路での巡航には有利だろう。

他にちょっと気になったのは、ステアリングホイールが真っ直ぐに戻ろうとする力が強すぎることである。サスペンションのセッティングで意図的にそうしていると思われるが、これまでのスバルでは戻りが弱いことは気になっても、強いことが気になったことはなかった。車種ごとに乗り味を変えるつもりでいるのならよいが、スバルとしての統一した味付けがあってもいいと思う。

X20(5MT)

OHCの2.0Lエンジンを搭載するX20のL.L.Beanエディションには革シートが装備される。この表皮はレガシィと同じように滑りにくいもので、運転姿勢が崩れにくいのがよかった。

今回乗ったのは5段マニュアルシフトのクルマである。クラッチペダルはやや軽く、シフトレバーのタッチも悪くなく、エンジンの低速トルクも出ていたので、街乗りでは実に扱い易かった。

山道にクルマを進めてみてもステアフィールには4WDによくある抵抗感が少なく、スイスイと曲がるため、なかなか楽しく走ることができた。ただ、ブレーキはタッチが頼りなく、踏み込んでも利きがリニアに増していかないのはダメである。

NAエンジンのマニュアルミッションには副変速機(ギア比:1.447)が備わる。それをLowレンジにして走ってみると、通常のギアの約7割の速度しか出ないことが分かった。本来は泥濘地や砂地を走る際に使う機能であるが、これは渋滞のときにも使える。「1m進んでは止まる」を繰り返す状況や登坂での渋滞のときにLowレンジを選択すると、クラッチミートにあまり神経を使わなくて済むだろう。

カジュアルに乗る手軽なクルマとしてL.L.Bean仕様はまあ良いだろう。

 

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