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OPEL

Vita

SWING

1.4L

新型CORSA(Vita)が発表されたので乗ってみた。試乗車が早期に準備されているのは評価できる。カタログを見て、国産のリッターカーより良い(かもしれない)と思うのが1点だけ存在した(→それはエアコン)

乗ってみた感想は、騒がしくボディ剛性感がない安物感の強いクルマということであった。ATは、Dレンジで停止したら自動的にニュートラルになる機構が新採用されている。停止後ニュートラルに自動的になったあと、発進時にブレーキを離したときにギアが入るのであるが、如何せんショックが大きすぎる。信号で止まるたびにいちいちショックに耐えないといけないと思うと、都会で乗るのは非常に辛い。乗り味は Vitz のほうがはるかに良い。

エアコンはこのクラスでは珍しく燃費向上のために可変容量コンプレッサを採用しているとカタログに明らかに記載されているので、どれぐらい容量が変化するのか店員に聞いたところ、セールスマンの誰もが知らなかったので驚いた。しかも、そんなことを知ってどうするのかと凄んで来るありさま。無知なセールスとクルマの話をするのは嫌なので早々に退散した。

トヨタは昔のスターレット(EP系)等で、水温が異常に上昇したときにコンプレッサ容量(能力)を13%に下げて負荷を減らす と発表していたが、ADAM-OPELは詳細を発表していないのだろうか。

VECTRA

2.2

335万円

新型ベクトラはデザインを大きく変え、幅1800mmという立派な体型になった。外形が大きく四角張ったデザインのわりに室内はそれほど広くなく、運転中の車幅間隔もそれほど大きいクルマに乗っているという実感がなかった。

このクルマの特徴は、すべてがおっとりとしたフィーリングでまとめられているところである。スロットルレスポンスは穏やかで、ATのシフトもスムーズ、シフトアップ後のタコメータの針の動きまでおっとりとしているので笑ってしまった。

シートは硬めで、シートバックもしっかりした作りのものであった。サスペンションも柔らかくないはずであるが、乗り味はとてもしなやかで、路面からの衝撃はほとんど伝わってこないもので、まるでMercedesのようであった。試乗の後、我がWRXで同じコースをもう一度たどってみると、凸凹が意外に多い道であることが分かり、乗り味の違いにびっくりした。

ボディの剛性感はさほど高いとは思わなかったが、エンジンは遠くのほうで唸っている感じがして、遮音性能は高いと感じた。

アイシン製のATは、VOLVOと同じようにDレンジで停止時にニュートラルになるニュートラルコントロール機能がついているようで、再発進のときに一呼吸置かないとN→Dの変速ショックが感じられた。乗り続けていくうちにショックを出さない運転法をマスターできるだろう。

新ベクトラは走って面白いという類のクルマではなく、長距離を疲れずに走るための道具であると短時間の試乗では感じた。Mercedes C-classより安くて同じような性質なので、こういう安楽グルマが好きならお買い得かもしれない。なお、限界時の挙動はかなり良いそうであるが、試乗では当然のことながらその片鱗も掴めなかった。

Astra

2.0 Turbo

SPORT

6段MT

300万円(税抜)

2.0Lターボを載せた輸入車がこのところ多くなってきており、メガーヌ、アストラ、A3、ゴルフ5が日本で販売されている。すべて6段MT(またはDSG)が備わる。

メガーヌはターボらしくない低回転での敏感なスロットルレスポンスが特徴であった。さて、アストラはどのような特徴を持っているだろうか。

Cセグメントのスポーティ仕様車は手動でシート調節をするのが当たり前のようで、アストラも例に漏れなかった。スライド調節の1コマの間隔が小さく、微妙な位置変更ができるのが良かった。1.8 NA車のシートはあっさりとした感触の普通の座り心地であったが、2.0ターボ車のシートはそれとまったく異なり、柔らかいクッションが体をムギュッと包み込んで保持するという面白い感触のもので、フィット感は良かった。

エンジン始動に際してアストラはクラッチペダルを踏なくてもよかった。最近のクルマはクラッチペダルを奥まで踏まなければ始動できないものが多く、クランクシャフトのスラストベアリングが早期に減る心配があり好きになれなかったので、これは気に入った。

試乗は混雑した街乗りで行った。

動き出そうとクラッチペダルを踏むと、かなり軽かった。つながる位置での感触から、ストロークを多くして踏力を軽くしているという感じではない。最大トルクが262Nmとあまり高くないことやFWDであることから、クラッチカバーの圧着力をあまり高くしていないのだろう。しかし、ストローク自体はかなり大きく設計してあり、新車の状態では奥に余分な遊びがある。つながりの過渡特性は滑らかであったが、ダイレクト感が薄く、足の裏でクラッチディスクの滑る様を感じることはできなかった。

フットレストはきちんとした板が存在するのかどうか確認しなかったが、それらしい盛り上がりは感じられた。しかしその位置が奥まりすぎていて、かなり足を伸ばさないと届かないところに存在するのはダメである。通常の運転で右足が存在するあたりの(左右の足が同じ程度曲がる)場所に設定してもらいたい。

6段MTのシフトレバーはドイツ車の通例でストロークが長く、軽いタッチのものであった。もっとストロークを詰めて欲しいとは思うが、フィーリングは悪くなかった。

最初はインプレッサ(GC8)と同じように3000rpmまで回して変速をしていたが、通常の交通の中ではそれほど回す必要はないと判明した。エンジンは低速からトルク感が出ており、スロットル操作に対するレスポンスは良好で、ターボらしくないフィーリングであった。試しにTopギアを使って50km/h(1300rpmぐらい)で走ると、加速はできないが速度維持は可能で、無理を強いているとは思わなかった。スバルのエンジン特性もだんだん変わってきたが、今の時代はどのエンジンも低速から使えるのが当たり前になった。カタログのエンジン性能曲線を見ると、2000〜4000rpmの間でフラットトルクを示していたので、加速が必要なときには2000rpm以上を使ってやればいいのだろう。

前方が空いたときにスロットルを多めに開いて加速感を確かめてみた。2ndギアで2500rpmあたりから急に踏み込んでいくと、ちょっと遅れて加速度が高まることが分かった。意外にもターボラグがあったのである。圧縮比が8.8と現代のエンジンにしてはやや低いので、ターボに頼る部分が多いと想像できるが、過給する前からトルクが出ているので、悪くはなかった。3rdギアではフルスロットルで4500rpmぐらいまで回してみると、加速感は穏やかであった。フル加速中にスロットルペダルを少し戻すと過給が急に抑制されてしまい、ペダルストロークと加速感はリニアな感触ではなかった。このような明らかなターボらしさは演出なのかもしれないが、圧縮比を上げて過給圧を下げればもっとフィーリングが良くなったのではないかと思う。

0-100km/h加速タイムは8.2秒という。147kW(200PS)にしては遅いが、それでも230km/hもの最高速度が出るというので、空気抵抗がかなり小さいことが想像できる。Topギアの高さとも相まって、高速での燃費は良いだろう。

脚は想像したよりもかなり柔らかく、乗り心地はフワフワとしていた。

インパネのSPORTスイッチをONにすると、少ないペダルストロークでスロットルバルブが大きく開き、電動パワステのアシスト量が減り、ダンパー減衰力が高まるという。実際にやってみると、前の2者は明らかに分かったが、脚の設定は気が付かなかった。ワインディング路であれば分かったのかもしれないが、近所に場所がなくて残念である。

短時間の試乗であったが、現代のクルマらしく乗りやすかった。ただし、低速度の街乗りでは、電動パワステの手ごたえやブレーキペダルのタッチを含め、すべての操作系にダイレクト感がなく、運転手を楽しませることは上手ではなかった。ある程度速度域の高い山道に持っていけば、雑誌に書かれていたような感触が得られるかもしれない。日本の街で使うに当たっては、オプションのサンルーフを付けて快適な実用車として乗ることができればよいだろう。試乗車に付いていたサンルーフはガラス面積かなり大きく、後席の上まで広がっている(可動式の前側と固定式の後側の2枚になっている)ので、室内がとても明るくなる。是非とも注文したい装備である。

 

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