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C180

KOMPRESSOR

セダン

(W203)

1.8L スーパーチャージャー付き

内装変更前

C180がスーパーチャージャー付きのエンジンに変更されてから1年以上経ってようやく乗る機会ができた。

内外装を見た感じは基本的に従来と変わりない。しかし内装のパネルの仕上げはかなり改善されている。ペラペラだったウッドパネルはたわまないようになったし、スイッチの触感も良くなった。

エンジンを始動すると、とても静かに回るようになり、そして、ステアリングは昔の560SELを思い出させるような重さになっていた。

走り出すと、加速時に過給器の音が少し聞こえるが、さほど気にならない。それよりもエンジンのスムーズな回転と力強いトルク感が気に入った。スロットルバルブの開き具合は、踏み始めが極めて穏やかだった従来型から普通によくある感触へと変更されているようである。トルクが増えたのでそのように感じるだけかもしれないが、鈍重なフィーリングが消えていた。ATの変速ショックは従来と同様に少なく、とても快適にドライブできるのは素晴らしい。

室内をよく見てみると、今まで知らなかったことに気づいた。左右独立温度調整できる空調はよくあるが、吹出口まで別々に設定できるというのは気が利いている。また、後席用の吹出口もよくある装備であるが、そこに独立したファンが備わり、後席の人が自ら調節できるのが良い。

トランクはワゴンより床面が広く、愛用の釣竿(137cm)も入りそうな感じがする。リアシートの背もたれは、コストダウンのためかC180だけは倒すことができない。

Uターンしたときの小回り性能は特筆に値する。5.0mという最小回転半径は、他のクルマと比べて体感的に明らかに違う。

とにかく快適に人を運ぶために色々と考えられたクルマであるのが更によく分かった。従来型にあった鈍重さをなくし、安物感をなくしたことで、とても良いクルマに見えてきた。すべての動きが人間の感覚に合っており、これは他では味わうことができないのである。

C180

ワゴン

(S203)

2.0L NA

マイナーチェンジ前のモデル

C180といっても2.0LのNAエンジンを積んでいる。どうでもいいがCクラスは表記が変である(2002年8月からC180はコンプレッサ付1.8Lエンジンとなった)

ワゴンボディなので、まずは荷室をチェックした。驚いたことに全長の短いGC/GFインプレッサ(4.34m)よりも明らかにカーゴスペースの床面積は小さく、愛用の釣竿(3.9m並継)はリアシートを倒さないと入らない。荷物を積むことが多い人にとってCクラスの使い勝手は悪そうである。買いたい人はセカンドカーにどうぞ

エンジンについても驚いた。BMW318i(N42 2.0Lエンジン)と同じ日に乗ったのであるが、同じ4気筒 2.0Lとは思えないほどのC180のエンジンは雑音が出るのである。国産車でも今どきこんなに雑音が出るクルマはないと思う。トルクは並以上に出ていてピックアップも良く、動力性能には満足できるのであるが、3000rpmも回すとうるさくて仕方がない。スロットルバルブの開度制御はアクセルペダルの踏み始めは穏やかで、スタートの瞬間は鈍重な感じがするが、微小域のコントロールはやりやすくて良かった。このアクセルのフィーリングは一番気に入っている。ブレーキフィーリングは今回は特に気をつけてチェックしたところ、前モデルの“底なし沼ペダル”ではなくなって、一般的な感触になっていた。ペダル位置は右寄りに設定され、左足ブレーキができないようなレイアウトであり、少々不満(私はAT車に乗ると左足でブレーキを踏む)を感じた。ステアリングホイールは革巻ではなく プラスチックであるものの、例のソフトな感触が嫌いな私は それの方が好ましいと思った。ただ、大きくステアした後の戻しはやはり自然にはいかず、一生懸命に元の位置に切らないといけないのはC240と同じ。このあたりは性能を重視してフィーリングを無視した部分なのであろう。乗り心地は、シートバックの腰に当たる部分が柔らかいのが気になったが、総じて安楽である。路面の凸凹はソフトに処理し、上級モデルと同じく衝撃を乗員には伝えてこない。安いC180といえどもフィーリングはMercedesである。エンジン音がすべてをブチ壊しているのが残念である。

C240

セダン

(W203)

モデルチェンジ直後

新型Cクラスがスポーティに変身したということなので、中身がどれぐらい変わったのかを確かめようと試乗。

240というグレードなのに2597ccというのが不可解な点だが、米国でもそういう表記なので世界共通なのだろう。エンジンのフィーリングは旧型の2.8Lとあまり変わらず、スムーズに静かにクルマを動かしてくれる。ただ、スロットル開度の制御は踏み始めから開度をやや大きくとるセッティングに変わったので軽快感が得られる。ブレーキは特に気をつけてチェックしていたわけではなかったが、思い返すと旧型のような違和感はなかった。シートは昔々のSクラスのように比較的硬い座面に座らせて、その全体がバネで支えられているので体圧の分散され方が気持ち良かった。ステアリングは柔らかいクッションが革の下に挟んである従来と同様のもので、微振動を抑えようという目的は叶えられている。ステアリングを大きく切った後の復元力が弱く、一生懸命に戻す操作が必要になるのは違和感がある。このフィーリングは新しく採用したストラット式サスの熟成不足なのか、それとも高速域のセットアップを重視した弊害なのか分からないが、とにかく気持ちは良くない。ATはティップシフトが付いているのでダウンシフトは好みでできるが、アップシフトはDレンジでセレクトされたものより高くできないのが不満(BMWは可能なので)。エアコンの温度調節が190E時代に戻って左右独立になったのが嬉しい。ただ、温度調整のボタンを押すと周囲のウッドパネルがたわむのはいただけない。力を入れればパネルがめくれそうな感じがしたが、さすがに指の力でめくることはできなかった

結局、外見はスポーティな印象を受けるが、それ以外には日常走行でどこにもそれらしい感触はなかった。小さいながらも重厚な感じが味わえるのは良いが、外界の刺激を抑えることに最も重きを置いたと感じられるクルマで、お年寄りが安楽に移動するには適当かなという印象だけが強く残った。

旧型 C280

ワゴン

(S202)

モデル末期のクルマに試乗。まず気になったのは、妙にフワフワの柔らかい革巻きのステアリングホイール。路面の感じを伝えないようにしているのだろう。足回りもソフトセッティングで路面の凸凹の吸収性能は優れているが、どんなところを走っているのかを運転手に伝えてこない。ブレーキフィールは気持ち悪く、底なし沼の如くどこまでもストロークしていく感触はいただけない。ただ、ストロークに応じて効き具合が増していくのは確かな感触として得られるので、慣れればブレーキ力の調整はしやすいのかも知れない。V型6気筒エンジンは、静かだがこれといった特徴はない。スロットルバルブの開度の制御がペダルストロークに対してゆるやかなので、微少領域のコントロールはしやすい。ATの変速はC200と比べてすべり感はあるがショックは格段に少なく高級な仕上がり。値段なりの差別化はしているのだ。

Cクラスはいかに疲れずに長距離を走らせるかという命題のもとに作られた安楽車であると感じた。外界からの刺激を遮断することに関してはよくできているので、クルマで長距離移動する機会が多い人やお年寄りにピッタリ。

 

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