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LEXUS

IS250

version S

405万円(税込)

ISが2006年7月にマイナーチェンジ(年次改良)をして乗り心地が良くなったと聞いたので、再び試してみようと思った。

ところが、試乗車はIS250 version Sであった。「ところが」と書いたのは、「脚の設定を変えたのは、version S以外のモデル」という話だったからである。

それでも何らかの改良点が見つかるかもしれないと思い、雨天の中で試乗に繰り出した。

まず気付いたのは、止まっていても走っていても、とにかく静かなことであった。

クルマの試乗というのは、直前に乗っていたクルマの状態に影響されることが多い(今回は新品タイヤを装着したばかりのAlfa147でLEXUSを訪問した)ので、本当にISが静かなのか定かではなかったが、雑誌CG07-04号の第10回ジャイアントテストでIS250の静かさが際立っていたことから、この印象は間違いではないと思う。

特に水溜りを通過する際の音がほとんど聞えないのが印象に残った。ただし、対向車の水跳ね音は聞えてきた。不思議なものである。

IS250はIntelligent Sportという割りにスロットルペダル操作に対する反応はおとなしく、 あっという間にシフトアップを繰り返し、かなり低回転で走ることになった。加速する場合は、かなり踏み込まないとシフトダウンを伴った力強いアクションが起こらないことに気がついた。 このように、意外にもセッティングは「ダンナ仕様」だったのである。

低速走行時にフルスロットルにして1速にキックダウンしてみると、トラクションコントロールが作動したが、これは日産(FUGA)やマツダ (RX-8)のものよりも制御が上手で、駆動力をしっかり出しながらコントロールしてくれた。 レクサスだから緻密な制御をしているのか、トヨタだからそうなのかは分からない。

乗り心地については、不思議なことにかなりマイルドになっていると感じられた。今回も凸凹の減速帯が全面に敷かれた連続カーブの道を走ったのであるが、不快感はなかったのである。ただし、前回のような大きい穴ぼこに落ちなかったので、正確に比較することはできない。

乗って行ったJune's 147の乗り味がタイヤ交換で硬くなっていたのも、ISの乗り心地の感じ方に影響したのかもしれない。

交通の流れが良くないコースで走ったIS250は全般的にすっきりした乗り味でなかなか好印象であった。不満点はスロットルペダルに対する反応の鈍さぐらいである。

LS460

version S

I package

880万円(税込)

レクサスの本命であるLS460を試してみた。

試乗したのは上記IS250の直後であったので、第一印象は、同じレクサスであっても全然違う乗り物なんだと強く感じてしまうことになった。

ISとLSというのは差が大きすぎる。IS-GS-LSの順で乗り比べれば、もっと違和感が少なかったかもしれない。

まず驚いたのは500rpmでアイドリングしているときの静かさであった。

走り出しても1500rpmを上限にして流れに乗ることができることに驚いた。8速ATはステップ比が小さいことから変速ショックを感じることがなく、タコメーターを見ていないと変速していることが分からないぐらいであった。

エアコンをONにしてみると、アイドルアップで700rpmになり、やや音が聞えてくるようになった。

ISと同じ場所で1速フルスロットルを試してみると、LSはさらに緻密なトラクションコントロールを見せてくれた。そしてレブリミッターの当たり方も不快ではなかった(知らぬ間に当たっていた)。発進直後加速は速いと思わなかったが、おそらく速度が高まっていっても加速感が鈍らないという凄さが控えていると想像できる。

乗り味は鷹揚で、LS460を自分で運転するために買うということは今の私には想像できない。普通なら楽しいはずの連続カーブも、今回だけは全然楽しくなかった。サス設定は「Sport」で、ATも「S」にしていたのに。。

LS460は、エアサスを「Comfort」に設定して、リアシートでフワフワした乗り味を楽しむのがいいと思う。でも、version Sなんだよね、これ。

IS250

version L

 

435万円(税込)

上記のように乗り心地改善の手が入っていないversion Sでもなかなか快適性が高いと感じたが、手が入れられた標準車またはversion Lにも乗ってみたいと思って試乗車を探してみると、近くの店舗にversion Lがあった。

このversion L、オドメーターが7900kmになっていたため、販売員に改良後モデルなのかどうか確認してみると、残念ながら改良前のモデルであった。

ここは考えを改めて、ある程度の時間を経て各部品の馴染みがついた頃のIS250を味わうのも良いだろうと思って乗ってみ た。

【運転席にて】

サンルーフがついていたので、頭上空間にはあまり余裕がないが、天井に髪が触れるようなことはなかった。 ただ、タイトな印象は強い。この狭さは意図的な産物なのだろう。

試乗コースは不整路面が続き、乗り心地を確かめるにはちょうど良い場所であった。そこで感じられた乗り味は意外にも良好で、脚がよく動いているという感触が伝わってきた。ISの乗り心地がこんなに良いと感じたのは初めてであった。

こんなふうに感じたのは、基準となる当方のレガシィの乗り味が良くないからだろう。バネが柔らかいのに当たりが硬いという奇妙な設定は初代インプレッサからの変わらぬ悪癖である。

ともかく、かなり大きい凸部に乗っても強く突き上げることはなく、うまくいなしてくれたし、加減速やカーブでGが掛かったときでも、上屋の揺れは抑えられていた。Mark Xで経験したようにZero CROWN系の車のダンパーはある程度の距離を走れば渋さが取れてスムーズに動くようになるのかもしれない。

不満を持った点は電動シートの調整機能であった。ランバーサポートの調整機能は付いていたのだが、上下の位置調整ができないのでうまくフィットしなかった。 どんな体格の人を標準と考えているのだろう。

【後席にて】

前席での乗り心地が望外に良かったので、後席ではどうなのか確かめてみた。

後席の足元が狭いというのは展示車両でも確認したことがあるし、雑誌等にも書かれているので認識はあったが、動いている車両に実際に座ってみると、思った以上にタイトな設計であると感じた。それでも頭はガラスには当たらずに済むので、きっちりとした姿勢を維持するのなら問題はない。脚を組むのが好きな人がルーズな姿勢で座ろうと思うと困ってしまうだろう。 空間が狭いことに不満はあまりないが、ヘッドレストの調整範囲が狭くて、最も高い位置に設定してもまだまだ低かったことには納得ができない。

後席の背もたれのクッションは硬くてなかなか良い感触であったが、形状がいまいちフィットしてくれなかった。後席はなかなか試す機会がないので、事例が少ないのだが、今まででもっとも良かったのは320i(E90)である。

シートのフィット感を別にすれば、乗り心地は前席で受けた印象とあまり変わらず、なかなか良好であった。ワインディング路でも体の位置決めに問題はなく、スポーティな走行で不快感を抱くことも少ないと思われる。 ただし、今回は販売員の運転がジェントルだったので、Gが大きくなったときのことは明言できない。荒っぽい運転も試してもらえば良かったかも。。

年改という制度をレクサスが取り入れているのなら、2007年のマイナーチェンジも間もなくやってくるだろう。それを経たISの乗り味を確かめる機会をまた持ちたい。320iのような落ち着きのある乗り味が出せるだろうか。 現状ではまだBMWには追いついていないのである。

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【 余談】

店頭の展示車両は17インチ仕様、18インチ仕様ともにBRIDGESTONEタイヤが装着され、試乗車(17インチ)にはDUNLOPタイヤが装着されていた。

普通のトヨタ車と同じように製造時期によってタイヤブランドが変わるため、客が特定のものを指定することはできないという。純正タイヤはトヨタ自動車が設定した一定レベルの性能を満たす特別なものなので、 特にブランドにこだわることはない(性能差はない)と思うが、TOYOタイヤが付いてきたら「BSのほうが良かったのに」と思わないこともない。

BSとDLのトレッドパタンは左右対称で、良く似たものであった。なお、BSの銘柄は「RE050」となっていたが、そのパタンはリプレイス品や他車純正RE050Aとまったく異なっていた。なにゆえRE050を名乗っているのか不明である。 以前はパタンが同じなら純正タイヤであってもリプレイス品であっても(ゴムや構造が違っても)同銘柄(RE○○)を名乗るのがBSのやり方だったのに。

さらに余談である。レクサスの店舗にある大きい備品(机、椅子など)はトヨタ自動車が指定するものを全国共通で使っているが、小物はそれぞれの販売会社に任せられているようである。例えばボールペン。開店当初は客がアンケートに答えるときに「○○トヨペット」という経営会社の 名が印刷された安物のペンを出されてイメージを落としたが、今はレクサスのイメージに合う高級そうなペンを使わせる店が多い。今回訪問した店では、CROSSのAPOGEEにLEXUSロゴを印刷して使っていた。[29Apr2007]

LS600h

version S

1075万円(税込)

最高峰のレクサスモデルを経験してみようと思い、LS600hに乗ってみた。

外装で最も特徴的なものはLEDヘッドランプであろう。最近のLEDは明るく、懐中電灯や読書灯(飛行機)で実用化されている。クルマ用としてはテールランプやブレーキランプに採用され、消費電力の低下や寿命の延長というメリットが得られている。しかし、それがヘッドランプにまで採用されるとは思っていなかった。実用化するために越えるべきハードルは明るさではなく価格だったそうで、LSのランプはとてつもなく高いらしい(30万円か60万円か・・・)。

それはともかく、走らせてみよう。

店を出て国道をゆっくり走ると、モーターを主な動力としていることが分かった。それは、トヨタのハイブリッド車で初めて付いたタコメータの指針が0を示していたからである。

少しだけアクセルペダルを踏み込むと、気付かない間にタコメータが動いていた。つまり、エンジンは静かに始動して仕事をしていたのである。その仕事とは、駆動力を出すことなのか、電池を充電することなのか、私には分からなかった。

今回は高速道路で性能を確かめることにした。

本線へ進入するランプウェイを上りながら舵を切ると、意外にステアリングが重いと感じた。 それで運転が嫌になるというほどではないが、車格を考えるともっと軽いほうがいいと思う。パーキング速度ではとても軽く切れたので、重くなるポイント(速度)はかなり低速度に存在すると想像できる。

本線に入ってすぐ、目の前でGDB(インプレッサSTI)が黒煙と轟音を出しながら急加速したので(おそらくフルスロットルだろう)、こちらもフルスロットルで追ってみた。その間は7-8秒だっただろうか。意外にも離されずに追従することができた。600hの加速時のマナーは大変に素晴らしく、全開の直後にエンジン回転数は5000rpmを少し越えたあたりに跳ね上がり、段つきがまったくないまま速度を増してくれた。GDBに負けないという現実を見て、6Lエンジン並みの性能を持つということが窺い知れたが、あまりにもマナーが良過ぎるので、速い という実感はなかった。

やや速い巡航をしてみると、風を切る音とロードノイズが意外に耳に付き、さほど静かではない(静かに感じない)ことが判明した。エンジンノイズはまったく聞えないので、その分だけほかの音が気になったのかもしれない。音はともかく、車両全体の安定感は大したもので、落ち着いた乗り味は運転手に余計なストレスを与えない。

90km/hぐらいで巡航してみると、エンジン回転数は1200rpmぐらいを示し、とても静かであった。車間距離を十分に空けておいてエネルギーモニターを見ながら走ってみると、スロットル操作に応じて細かく協調制御がなされていることがなんとなく伝わってきた。短時間の一定速の走行で燃費は15km/Lぐらいであった。

ランプウェイを下りながらカーブでの挙動を確かめようと速度を高めると、意外にもロール感が少なく、踏ん張りが良かった。Version Sにはアクティブスタビライザが備わるので、それが働いていたのかもしれない。2トンを越えるモデルでも、なかなか245幅のタイヤを滑らせるには至らないものである。

ブレーキは強く利かせても弱く利かせても回生ブレーキを作動させているという違和感を抱かなかった。もはやハイブリッドらしさはLS600hにはみられず、洗練されたものだと驚いた。

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LS460とLS600hで大きく異なったのは乗り心地である。600hの乗り心地には460で気になったフワフワしたところがなくなり、安定感が出ていたが、その反面、ゴツゴツ感が強く出ており、あまり快適ではなかった。ともにVersion Sの感想である。600hを買うのなら、Version Sではないモデルにも試乗してみるほうがいい。純正タイヤ(DUNLOP SPORT MAXX)は高速向けに硬い構造を持つのかもしれない。

LS600hにはトヨタのハイブリッド車で初めてタコメータが付いた。今までプリウスやGS450hにタコメータがないことを不満に思うこともあったが、LS600hに乗って気が付いた。タコメータなんて不必要なんだと。

トヨタのハイブリッドでは、エンジンの仕事は駆動力発生および/または電池充電であり、状況によっていろいろな顔を見せる。そのため、タコメータを見ていてもエンジンが何のために働いているのか分からず、監視/管理する意味合いはないと言える。MTモデルのように、運転手の裁量でエンジン回転数をトルクの豊かなエリアに維持しようとすることなど不可能なのである。

タコメータの存在がメリットになるのは、指針が0を示しているときぐらいである。渋滞しているときに「アイドリングストップで燃費が良くなりそうだ」と満足感に浸れるのである。

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【後席】

IS-Fの試乗を終え、帰り道は600hの後席に乗って移動した。

欲を言えば、600hLのセパレートタイプの後席を試してみたかったが、まあ600hでも十分に高級車を味わえるだろう。

後席に乗り込むと、毛足の長いマットに目を奪われるが、それ以外はあまりもてなしをされているという気がしなかった。センターアームレストは豪華ではないし、シートヒーターやリクライニングも存在しない。

ドア側のグリップを握ってみても柔らか過ぎてすぐに芯の硬い部分に達してしまうのはいただけない。もっとクッション材を硬くして、底付きをしないような設計にしてもらいたい。

乗り味はversion Sといえどもフワフワ感があり、あまり居心地は良くなかった。せっかくのLSの後席体験であったが、高級感を味わうことはできなかった。ただ、雨音はあまり聞えず、遮音は十分になされていることが分かった。31MAY2008

GS460

version I

699万円(税込)

 

GSに載るV8エンジンが4.3Lから4.6Lに変更され、ATが8段変速に変更されたので、ちょっと試してみた。

GS460のパワートレインは基本的にLS460のものと同じと考えられるが、なぜかエンジンパワーはLS用よりも抑えられている。

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GSには久しぶりに乗ったが、室内が狭苦しいことを再確認することになった。フロントガラスの上下幅が小さいのも影響しているはずである。レクサスはスポーツカー風のタイト感を作りたかったのだろうか。

リアシートもタイトな雰囲気を感じさせるように設計されている気がした。まあ実態としてはそんなに狭いわけではないので、老人を乗せても文句は言われないだろう。しかし、老人を乗せるとなると問題になりそうなのが天井のサイドにあるアシストグリップの形状である。これは何とかして欲しい。現状では何の細工もない昔ながらのグリップ(20年前のカローラと同じ)であり、さらにハンガーを引っ掛けるフックが握ることを邪魔する。

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試乗は低速の街乗りだけであったが、何ら不満はなかった。エンジンは常に2000rpm以下であり、ATはショックが微小でどんどん知らぬ間に変速してくれるので、静かで快適な走行ができた。

たまには高回転を使って燃焼室の汚れを飛ばしてやりたいところだが、街乗りではDレンジで3000rpmまで回すのは難しい。高回転を使おうと思ったら、高速道路でギアを固定して無理に回すしかない。

乗り心地は、245/40R18というタイヤを履いていると思えないぐらい良好であった。凸凹の多い道で脚の設定をSPORTに変更してみたが、乗り心地はさほど悪化しなかった。操舵感は、脚の設定をSPORTにすると若干重くなり、協調制御されていることが分かった。ただし、ATの変速ポイントの変更は別に設定する必要がある。

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GSのカーステレオの音を確かめるべくCDを持ち込んで聞いてみたところ、レガシィで聞く音とはまったく異なり、いつもは聞えてこない楽器の音が再生されていた。GSの標準 装備品はVOLVO C30の標準装備品には及ばないが、なかなか良いものだと思う。

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新色のフロスティパールマイカは妖しい輝きを放っていた。この妖しさはマセラティ クワトロポルテのパール色に勝るとも劣らない。06JAN2008

余談である。レガシィを買うときにパールホワイト(3万円高)にするか少し悩んだのだが、大衆車のパールホワイトには色気がまったくないので別の色を選んだ。もしレクサスのような色があれば、5万円追加してもいいと思う。

IS350

version L

525万円(税込)

ISが発売されてから約3年が経つので、いろいろなところに改良の手が入っているだろう。

試乗車は走行距離1000kmに満たないものであったので、製造時期は新しいものだと思われる。果たして乗り味が良くなっているだろうか。

シートポジションを設定する間の短い暖機を経て動き出すと、初めから滑らかな動きが感じられた。まずは赤信号までの徐行を2度行ったが、冷間時に起こりがちな不快な動き(アイドルアップによる駆動力の増加、ATFの高粘度によるシフトショックなど)はまったくなかった。このあたりがレクサスの考え方を表現した動きなのだろう。機械や油が持つ性質を表に出さないようにするというのは、なんとも不自然なことであるが、これがもてなしの心なのだと思われる。

晴海周辺を普通の速度で走らせてみたところ、静かで滑らかで乗り心地が良いクルマであると感じた。路面状態が比較的良いのかもしれないが、橋の継ぎ目を越えても突き上げることはなく、ISの基本的な乗り味が良くなっていることが分かった。昨年の試乗車と比べて改良されているかどうか定かではないが、初期モデルと比べると明らかに違う。

ステアフィーリングにおいても街乗りで不満はなく、日常的に使ううえで困ることはないだろう。今回は高い負荷を掛けた領域を確かめることはできなかったので、次回の課題としておこう。12APR2008

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【高速道路】

横浜ベイブリッジを通って、大黒パーキングエリアでUターンして帰ってくるという高速走行を試してみることにした。

インターチェンジまでの一般道における全般的なフィーリングは、なぜかあまり芳しくなく、切ったステアリングがまっすぐに戻る際にガクガクという段つきのような動きがみられた。タイヤが変に減っていたのかもしれない。 また、制動感もカックンブレーキで好ましくなかった。

後に判明したが、今回の試乗車は約2年前に製造されたモデルであった。それゆえに色々な履歴を持っていたのだろう。上の晴海周辺で乗った車両とは別である。

信号待ちなどの時間でもチェックできるところを見ておこうと考え、革シートの表皮に開けられた穴から冷風を出してみた。すると、尻の下からものすごく冷たい空気が出てくるではないか。これは単なる送風ではなく、何らかの熱交換器が作動して冷風を作り出していると確信した。どこで熱交換をしているのだろう。このとき、エアコンはONにしていたが、シートのクーラーに直接的に冷気を供給するとは考え難いので、謎として残っている。

高速走行で得られたインパクトはあまりないが、快適性の面で満足度は高い。シートはふんわりと包み込まれるような掛け心地が良好で、メーター上で法定速度を少しだけ超えた速度で流していても室内は静かであり、長時間の連続走行が苦にならないクルマであろうという印象を得ることができた。24MAY2008

IS F

766万円(税込)

V型8気筒 5.0Lエンジンを積むIS-Fを試してみた。

小さいセダンに高性能エンジンを積んだモデルがBMW、Mercedes、Audi等ですでに存在するように、ヨーロッパにはそういう文化が存在する。そこで、レクサスもライバルに負けじとISに高性能モデルを設定したかったのだろう。

BMW M3(4.0L)、Mercedes C63 AMG(6.2L)、Audi S4(4.2L)など、エンジン排気量は様々であるが、V8なのは何故か共通である。ISはすでに存在するエンジンを利用することによって中庸な位置を確保している。

【始動〜構内】

スタートボタンを押してエンジンを始動すると、レクサスに似合わないほどの太い排気音が響いた。トヨタが排気音を聞かせる設定を積極的に行うことは滅多にないものの、過去に事例はある。ISの前身であるアルテッツァの発売時、RSは排気音だけがやたらに目立つクルマであった。アルテッツァ2.0RSはボーボーと単にうるさいだけで力感のない音で失敗に終わったが、IS-Fの音は何かを秘めていそうな演出がある。これは5.0Lの排気量があるから出来たことなのかもしれない。

すでにエンジンは温まった状態で試乗を開始したが、Dレンジに入れてクリープで走らせたときの力の出方がなにやら力強く、また、ブレーキをリリースするときに出る ローターの振動が普通のトヨタ車ではないことをアピールしているように感じられた。

【郊外、低回転】

郊外の道をゆっくりと走ると、脚の設定はまるで初期型のISに乗っているかのようであった。路面の小さい凸凹はよく吸収してくれるが、大きい段差ではガツンと衝撃を伝えてくるという硬さが感じられた。こ の乗り味は年次改良でそのうちに洗練されるだろう。スロットル特性はスポーティを売りにするクルマにしては穏やかで、ペダル操作にきっちり反応し、日産車のようにドカンと飛び出す無作法はみられなかった。8段ATは、Dレンジに入れているとLSと同じように2000rpm以下で知らぬ間にどんどんシフトアップし、 周囲の流れに乗っているとシフトインジケーターは早々と「7」を示すという具合であった。

普通に走りながらトランスミッションをマニュアルモードで使ってみると、低速時に一度だけガツンと強いショックが発生した。どういう状態であったのか定かではないが、レクサスといえども完璧に設定されているわけではないということが分かった。

【郊外、中〜高回転】

次に、エンジン回転を高めて走らせてみると、販売員の言葉どおり3600rpmぐらいで急に吸気音が高まった。その変化は突然にやってくるので分かりやすいのだが、あまりに分かりやすい演出はちょっと子供っぽい。さらに高回転を試すために2速ギアに固定してアクセルペダルを踏み込むと、前方から急に咆哮が聞こえてきて驚いた。これも8〜9割のペダルストロークで唐突に音量が高まるので、なんだか子供騙しのようである。音の変化は面白いが、演出が過ぎる。 もう少し穏やかな変移があるほうが良いのではないか。

【ブレーキ】

急ブレーキを踏む機会はなく、街乗りで普通に使う分には自然なタッチと利きを示してくれた。フロント6ポッドというbremboを奢っていてもフィーリングはあくまで日本車 (トヨタ車)であった。気掛かりな点は、クリープを止めるぎりぎりのところでグググと鳴くこと(トヨタらしくない)だが、IS-Fに乗る人ならそんなことは気にしない(理解して乗る)と思いたい。 ブレーキダストが多く出るように見えたので、ブレーキパッドを社外品に替えれば色々と解決するだろう。

【インターフェイス】

ノーマルのISよりも視点が低いのではないかと感じていたが、車高が低いことに加えて着座位置も実際に低いという。個人的にはこれぐらいが適正であり、ノーマルのISでもこの着座位置を採用すればいいと思う。シートのサイドサポートの張り出しはノーマルのISより明らかに大きく、姿勢維持に役立つと思ったが、ステアリング操作を大きくすると肘が当ってしまう。肘が当たる部分に関しては、無意味な張り出しであると思うので、もっと形状を研究してほしい。ステアリングホイールのグリップ感はノーマルのISよりも良好で、BMWのように太すぎるごとがないのは好ましい。ただ、縫製の糸が指に当たるのは少し気になった。

【モード切替】

SPORTとSNOWというスイッチがあったので試してみた。まずはSPORTから選択すると、電子スロットルとATの制御が変わった。SNOWでは電子スロットル特性が少し穏やかになったような気がした。ただ、元々が穏やかなので、それほど大きく変わらない。

【BL5レガシィターボと比較して】

乗り心地はIS-Fのほうが全般的に良好である。姿勢変化が少なく、細かい路面変化を感じないのは安楽な走行に寄与する。レガシィは脚が柔らかいのに乗り心地が悪いという変な設定である。大入力を受けたときに突っ張るのはIS-Fの欠点であり、今後しなやかに脚を動かすことができれば、IS-Fに高級感がプラスされるだろう。

並べて置いてみると、外観はIS-Fのシャープな造形が目を引く。19インチホイールもデザインが凝っていて良い。レガシィは18インチホイールを履いているのに普通のクルマに見えてしまい、迫力不足を感じてしまう。

スロットルのレスポンスは自然吸気とターボという違いが明瞭で、IS-Fは余裕のある5.0Lのナチュラルな反応が心地よい。速さという点においては、日本の法定速度の範囲内ではそんなに差はない。おそらくIS-Fは200km/hからの加速が速いと思われる。17MAY2008

 

【2回目】

外気温22度ぐらいで冷間始動をしてIS-Fを動かしてみると、高めのアイドリング回転によって排気音の迫力は増していた。不当にうるさいというわけではないが、真冬にどれぐらいのエンジン回転を上げるのか(どれぐらい音が大きくなるのか)気になる。静かな住宅地では目立つかもしれない。まあそれでも昔のインプレッサのように家を震わせるようなことにはならないだろうが。

【冷間走行】

冷えた状態でゆっくり走り出し、徐々に暖めるという運転をしてみたところ、IS350と同じようにIS-Fでもマナーの良い滑らかな動きを見せてくれた。

【ワインディングロード】

山道に入って一般よりも少しだけ速いペースで走ってみると、硬い脚が功を奏して軽快に動くことが分かった。限界にはほど遠いレベルでの走りでは、5.0Lエンジンを積んだことによるフロントの重量増加を意識させられることはない。強めのブレーキングによるペダルコントロールも容易で、なかなか乗りやすいクルマであった。18MAY2008

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日産がGT-Rを発売した時期と大きく違わずトヨタがIS-Fを追加したが、日本でこれらのような高性能モデルを日常的に楽しむことができるかというのが課題である。 最近、時間貸しで気軽にサーキットで遊べるような環境が整いつつあるので、ストレスを抱え続けることにはならないだろう。

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【3回目】

試乗車は1回目および2回目とは違ってサンルーフが付いたモデルであった。

ノーマルISの室内はあまり広くないが、IS-Fは着座位置が下げられているので頭上高には少し余裕があった。だが、サンルーフはその余裕を削いだ形になり、シェードを閉めた状態ではちょっと圧迫感があった。黒い内装材の色も窮屈さに輪をかけ る。BMWのM-Sportも内装色が黒いが、そんなものの真似はしないで欲しかった。シートの色と同じように内装の色も選べるといいのだが。

【高速道路巡航】

店舗を出るとすぐに高速道路の入り口がある。まずは冷えた機関を温めるために低速(2000rpm上限シフト)で走行車線を流してみた。100km/hでの巡航は1600rpmぐらいとなり、8速ATの高いトップギアが低回転維持に役立っている。ハイギアリングが功を奏して15km/Lという瞬間燃費をしばらく観察することができた。 雨天のため路面は濡れていたが、水を跳ねる音は気にならなかった。

少し速度を上げると、排気音が高まって室内は意外に騒々しいことになってしまった。僅かなスロットルの踏み増しによってギア表示が「8」のままで回転数が高まる(ロックアップを解く)ことが多いの は気になった。もうちょっとロックアップを維持する設定にできないものか。

【マニュアルモード】

しばらく走って車両が温まった頃、セレクタでギアを任意に選び、様々なスロットル操作にてエンジンの性質を探ってみた。

公道で最も頻繁に味わえる特長は3600rpmでの吸気音の変化であり、それ以外の特長はなかなか試すチャンスがない。5.0Lエンジンによるパワーの余裕は常に感じられる。

【SPORTモード】

一定のアクセル開度を維持した中でSPORTを選んでみると、スロットルバルブが大きく開くのを感じたり、ATの変速が敏感になるのが分かるが、通常の高速道路走行で役に立つものではない。サーキットやワインディングで使うものと考えればいいだろう。

巡航状態でSPORT設定のままセレクタをマニュアル操作してみると、UPもDOWNも変速ショックが激しく発生して驚いた。スロットル開度が小さい状況でのマニュアル操作は想定外ということなのだろう。

【フルスロットル】

交通量の少ないときを見計らってフルスロットル加速を試してみた。マニュアルモードでギアを「5」にして、4000rpmから全開にするとレブリミットまでの色々な表情の変化を楽しめるかな・・・と思っていたら、 レブリミットまで余裕を残した状態で突然ピーッという音とともに減速感に襲われた。速度計は真ん中よりやや右に振れただけなのに。。。 エンジン回転の上限付近を味わうにはギアを「4」にしておくべきだった。

なお、高速域での加速力は2.0Lターボ(インプレッサやレガシィ)と比較するものではなく、5.0Lの迫力を感じられるものであった。排気量の大きさが高速域で有効なことを体感できた。

【快適性】

今回は高速道路を巡航しながら日常の使い勝手を考えていた。IS-Fの乗り心地や音は活発に走っているときには気にならないものなのだが、単に目的地までの移動をこなしているという場合は煩わしくなってくる。スポーティなクルマである一方、高級車でもあるIS-Fは、もっと煮詰めを行って欲しい。今なら、500kmを一気に走ろうという場面で はIS350を選んでしまう。なお、IS350で体感して驚いたシート表皮の穴から冷た〜い風を発生させる装置はIS-Fには付いていなかった。31MAY2008

IS250

version S

405万円(税込)

IS-Fに乗った後にIS250に乗ると、両車の違いが明らかになる。

まずは着座位置が違う。20mmの差というのは意外に大きい。ノーマルISの天井の近さは気分的に良くない ので、少し着座位置を下げて欲しいと思う。

静粛性が違う。エンジン音や排気音はフルスロットル加速を長く続けてもあまり主張しない。

ステアリングホイールのグリップの感触が違う。ディンプルの有無だけではない何かがある。何なのだろう。

ブレーキフィーリングが違う。IS250は踏み込みに対して反応が敏感すぎてコントロールしにくい。対向ピストンキャリパ式のほうが微妙なペダル操作に反応してくれるということなのだろうか。IS350でも悪いイメージは記憶にないため、キャリパ形状の影響が大きいのかもしれない。

乗り心地はIS-Fのような硬さを感じることはなくなるが、Version Lのようなしなやかさは持っていない。Version Sにはいちおうスポーティモデルとしての専用設定がなされているようである。17MAY2008

LS600hL

後席セパレート仕様

1510万円(税込)

IS-Fのある販売店までの移動のため運転した 。このクルマは後席に乗ってこそ価値があるものと思うが、まあ運転手気分を味わうのもいいだろう。なお、帰り道では600hの後席に乗った。

雨降りの中、一般道をゆっくり走ってみるとなかなか快適性が高かった。ハイブリッドということで信号待ちではエンジンが停止し、発進直後に始動するのだが、その際のショックや音の変化がほとんどないのが素晴らしい。オートワイパーの作動設定も違和感がなくて良かった。

高速道路に入って100km/hでおとなしく走ると、エンジン回転は1500rpmぐらいであった。ただし、無段変速なので状況に応じて回転数は変動した。緩加速時には低音の排気音が聞えてきたが、これは演出なのだろうか。

少しだけ速い巡航をした際の瞬間燃費表示は、だいたい10km/Lであり、意外に良くないことが分かった。ドライ路面で100km/h巡航ならもっと良いと思うが。ボディはちょっと浮ついた感じがした。

このクルマはお偉いさんを乗せて渋滞の多い都会を走るのが本来の姿なのだろう。31MAY2008

IS250

version L

444万円(税込)

ISが初めての外観変更を受けた。変更点はグリル、灯火類やホイール等の意匠変更が主体である。内装ではインパネの色使いが変更され、リアのヘッドレストが前に倒せるようになった。ただし、ヘッドレストはいちいち手で動かす必要があり、面倒である。MBのようにスイッチ一つで倒せたらいいと思うのだが。。また、カードキーやVDIMを標準装備するタイプが増えて、価格も改定された。

見えるところ以外の変更では、乗り心地の改善というのがあるらしいので、乗って確かめてみた。

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まずは国道を走らせてみたが、ある程度きれいな路面での乗り心地は変更前のモデルでも良かったので、違いは分からなかった。

そこで山道に移動した。マンホールの蓋や減速帯によって凸凹ができた道では、滑らかなステアフィーリングと滑らかな乗り味のバランスが高まっているように感じられた。

路面変化をしなやかに受け流しながらフニャフニャではない乗り心地を実現しており、この感触はMB C200Kよりも快適であった。なお、タイヤはDUNLOPを履いていた。

version Lでもパドルシフトがついていたので触ってみると、セレクタがDレンジの位置でも(右に倒さなくても)ギア変更ができた。以前からそういう制御だったのか定かではないが、高速道路でちょっとした追い越し加速をしたいときには便利に使えるだろう。

ISは価格が上がってMB CクラスやBMW 3シリーズよりお買い得と言い難くなったが、安さよりも乗り味の良さに価値を感じて買ってもらえるようになったと思われる。06SEP2008

 

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