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LEGACYBPBL) 2004.5〜2005.5

Touring Wagon

2.0GT

(5AT)

B型

BP/BLレガシィが発売から1年を経てB型になった(2004年5月)。

見える部分でA型からの変更はほとんどなく、トヨタのサービスであるG-BOOKの利用が可能になったというのが表面上の最大の変化である。

外装も内装も全くと言っていいほど変わらず、エンジン性能も変わっていないが、脚のセッティングが変更されたらしいので、乗って確認することにした。

動かしてみると、何となくステアリングが軽くなっているような気がした。これはタイヤの空気圧で変化するので、変更されているのか定かではない。

走らせてみると、スロットルペダルの踏み始めの反応が穏やかになっているような気がした。A型は発進時にポンッと飛び出してしまうのが嫌であったが、かなり微妙なコントロールができるようになっていた。しかし、さらにもう少し穏やかにしてもいいと思う。

そして、B型で変更された「影のメインポイント」の脚であるが、これはかなりソフトな設定に変わった。GTの乗り心地はA型でもあまり不快ではなかったが、B型のGTはまるで2.0Rの如く柔らかい乗り味になっていた。おかげで街乗りでは快適性が増したが、高速で急ハンドルを切ると、やや不安定になってしまうのが気になった。ちょっとやり過ぎである。もしかすると、「B型 GT Spec.B」の乗り味も「A型 GT」のレベルの軟弱さになっているかもしれない。ちょっと心配である。

BH/BEのときには、A型からD型までの間に脚、ステアリング、エンジン等のセッティングを色々と変更してきたSUBARUであるが、これからも客の意見に左右されて揺れ動くことになるのだろうか。万人受けするセッティングなど存在しないので、あまりチョロチョロと考えを変えず、自らの理想とする姿を求めてもらいたい。

B4

2.0GT

(5AT)

B型

ワゴンに続いてB4のGT(B型)も試してみることにした。

B4とワゴンの乗り味は殆ど差がなかったので、上記に付け足すことは少ない。今回は山道での試乗であったので、そこで感じたことを書いてみる。

車両は走行距離180kmの新車であったので、エンジンやミッションを酷使することなく、自分のクルマだと思って普通に乗ってみた。

ステアリングの感触はA型と特に変わらず、違和感があった。切り込みと戻しの操作の間の手応えが自然ではないのである。山道ではこの感触をずっと持ち続けていなければならないため、気分が悪かった。

エンジン特性は、スロットルバルブのコントロールが穏やかになったため、タービンが唐突に回りだすようなことはなく、走りやすくなった。山道でのコーナーリング中の微妙なコントロールがようやく作り出せるようになった。

山道でカーブを普通の速度で曲がっている途中、ギャップを拾うとリアサスペンションが横に動くのが、相変わらず気持ち悪かった。バンプステアが大きいような気がするのであるが、実際にそういう意図で設計されているのだろうか。単にブッシュが柔らかくてよじれていることだけが問題なら、もっと硬度の高いブッシュを組んでもらいたい。B型にする際にサスペンションチューニングも変更されているはずなのに、山道の走行は今のままでは楽しくない。

今回は試乗開始時にTRIPメーターをゼロに戻し、山道走行だけの燃費を測定してみた。グルっと一回りして帰ってきた時、そのトータル燃費は9km/Lを越えていた。なんという燃費の良さだろう。

試乗車にはMcIntoshのオーディオが装着されていた。McIntoshを装着すると、パネル面が黒のヘアライン仕上げになるため、アルミ風の安っぽさがなくなって良い雰囲気になる。全車がこの色遣いになるといいのであるが。。McIntoshオーディオは、標準オーディオとの差額が15万円となる。試しに普通の音量でFMラジオを聴いてみたが、私にはそれだけの価値を判断できなかったので、黒色パネルのためだけにMcIntoshを装着するわけにはいかない。

Touring Wagon

2.0R

(4AT)

B型

2.0RもA型からB型になったが、変わったところが見えない。前輪のロワアームの支点の位置が変更されたというが、乗り味に違いが出るほどではないと思う。

2.0Rのグレードは、これまでB4のMT(A型)にしか乗ったことがなかったので、今回、A型とB型の違いは述べられない。ワゴンのAT車がどうだったかを述べるに過ぎない。

室内の意匠はA型とほぼ変わらず、見慣れた景色が広がる。しかし、相変わらずアルミ風パネルの安っぽさは悲しすぎる。シンプルでスムーズな造形は良いのであるが、明らかに偽物であるというのがダメなのである。プラスチックはプラスチックらしい見せ方でいい。こんなことで安物の国産車の真似をしてもらいたくない。真似をするのなら、AudiやMercedesのスポーティグレードに良い見本があるではないか。木材は反りや割れが心配なので使いにくいが、アルミなら日本の厳しい環境でも何ら問題ないはずである。

店の敷地内で動かしてみると、ハンドルが何となく重いと感じた。これはGTと同じようなフィーリングであった。

道路に出てスロットルを開けると、ペダル操作に対するエンジンの反応がなかなか良かった。低回転域から自然なレスポンスを示してくれたので、気分良く乗ることができた。脚の硬さは予想どおりB型のGTとほぼ同じようなレベルで、乗り心地が良いクルマであった。ちょっとした街乗りではリアサスのよじれ感は分からず、快適であった。

2人乗りで全開加速を試してみてもそんなに不足はなく、ブレーキフィーリングも悪くなかった。

普通に乗る範囲において、2.0Rも出来が良いのが分かった。A型では2.0iに魅力を感じたが、B型で2.0Rに乗ってみて、こちらもなかなかのものであることを知った。2.0iと2.0Rを比べると、HIDランプ、ステレオを同一仕様にした場合、車輌価格は約18万円の差になる。エンジン、タイヤ&ホイール、Fブレーキローター径の違いが価格差に表れているが、どちらが良いかは用途によって異なるだろう。2.0iにはレギュラーガソリンで走り、燃費がより良いという魅力がある。

Touring Wagon

2.0GT

Spec.B

(5AT)

B型

上に書いたように、B型(2004年モデル)のGTの脚はとても柔らかくなって不安感を覚えるほどであったため、Spec.BもA型のGTのようなソフトな脚になってしまったのではないかと心配していた。

そこで、B型のSpec.Bを試してみることにした。

まず動き出して変化を感じたのは、ステアリングが軽くなったことである。GTでも同じように感じたので、B型での変更点なのだろう。ターボとNAで差を付けないようになったような気がする。

路上に出て流れに乗って走ってみると、乗り味は硬く、GTよりも明らかにしっかりした脚に安心した。「硬い」といってもA型 Spec.Bのように脚が動かずに常に乗員が揺すられるのではなく、バネ下がきっちりと動いていることが感じられた。大きいギャップではさすがに突き上げが強い(バネは硬い)ので、一般のクルマしか知らない人には堪えるかもしれないが、車高短に乗った経験のある人には何ら問題のない乗り味である。この脚なら、購入後に何も変更を加える必要はない。バネを替えて車高短にすることもなく、ダンパーを替えることもなく、気が向いたときにホイールを軽量のものに変更するだけでいい。

BP/BLレガシィターボでは、GTとGT Spec.Bの価格差は15万円になる。それらの相違点はホイール&タイヤだけ(ギア比やサスペンションのアライメントが違うのも大きい要素であるが、ペダルやバンパー形状の違いはどうでもいい)なので、その価格差には納得がいかない。それでも、Spec.Bは変更したいと思う部品がないので、GTよりいいのかなと思う。ただし、ギア比が低いのは嫌である。

Spec.Bの脚だけ(ホイール&タイヤは17インチでいい)を装着しだGTが欲しいものである。

B4

3.0R

Spec.B

(6MT)

B型

300万円(税抜)

BP/BLレガシィに待望の6段MTが追加された。これは欧州での販売に力を入れているスバルが彼の地での要望を取り入れて作ったモデルである。欧州のDセグメントのクルマではまだまだMTの需要が多いようである。

日本では3.0LクラスのセダンにMTを採用する例はほとんどなく、V35スカイライン、BMW330iぐらいしか挙げることができない。それらのMT車販売比率は無に等しいと思うが、スバルは他のブランドと比べてMT比率が高いというので、マニアックな人にある程度の台数を買ってもらえると期待できるのだろう。まあいずれにしても日本で生産して欧州に輸出することになるはずなので、日本仕様についてもトランスミッションを5段ATに代えて6段MTにするぐらいたやすいことである。

この6段MTは基本的にはGDB(インプレッサWRX STI)と同じトランスミッションである。BE5(先代)レガシィS401には何のチューニングもせずにGDB用ミッションを載せていたが、BP/BLに載せるにあたって、6気筒モデルに相応しい質感を作るためにシフトストローク増加や制振チューニングを施し、5速と6速のギア比を独自に設定したという。

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1回目/街乗り

家の裏にあるスバル営業所には 3.0R Spec.Bの試乗車はなかったので、少し離れた店舗までGDBの試乗車で移動した。こういうシチュエーションなので、インプレッサ vs. レガシィ、2.0ターボ vs. 3.0NA、オリジナル6MT vs. レガシィ用6MTという比較をすることができた。

まず乗り込んでみると、メーターパネルやダッシュボードに対して運転席の着座位置がとても高く、違和感を覚えた。GDBとポジション設定が異なるのは仕方ないことであるが、ノーマルのBP/BLがこんなに変なポジションだったという記憶がない。GDBでさえポジションが高すぎると思っているので、BP/BLは少なくとも20〜30mmはシート位置を下げてもらいたい。発進前にシフトの感触を確かめてみると、かなりストロークが大きく、普通のクルマと同じような雰囲気であった。

混雑した国道を走ってみると、シフトの操作力は軽く、クラッチペダルの踏力も軽いので、GDBのように変速操作に意識を取られることはなく、ごく自然に操作ができた。シフトレバーにはGDBのようなガッチリした硬質感がない反面、スロットルON-OFFに伴うゴリゴリした振動は大幅に軽減されていた。シフトノブは、GDBのものよりも手に馴染む良い感触であったので、GDBに乗る人にはこれに取り替えることをおすすめするMTと組み合わされた3.0Lエンジンはトルク感がやや薄いという印象で、積極的に回してやりたくなるものであった。この傾向はBMW330iでも同様で、ATのほうがエンジンの力感を強く感じることができた。これはトルクコンバータのトルク増幅作用を体感したということなのだろう。乗り心地はとても快適で、レガシィシリーズの中で最良だと思った。脚の硬さは2.0GTと2.0GT Spec.Bの間であり、18インチタイヤを履いているとは思えないぐらいの心地よさであった

このMT、1〜4速まではギア比がGDB用と同一のclose ratioで、5速と6速がかなり離れた専用のハイギアリングになっている。街乗りでポンポンとシフトアップしていくと、4速まではスムーズに切り替えができるが、5速に入れた途端、回転数がドンと下がり、それまでのリズムが崩れてしまう。小気味良い加速と低いエンジン回転での高速巡航を両立させるための設定であるというのは頭では理解できるが、4速と5速を交互に使うような環境で走ると気分が良いものではない。GDB用と設定を変えてしまうのなら、FORESTER STIのように6段すべてを専用のギア比にすべきである。1年もかけて改良したというのに、中途半端ではいけない。

前方が空いたのを見計らって2速で6000rpmまで回してみた。3.0Lらしい力感はまあまあ得られたものの、ドラマチックなことは何も起こらなかったこのエンジンと6段MTの組み合わせは、あまりにも普通すぎて全然面白味がない。欧州ではMTが当然であるため、面白いということは求められていないのは分かるが、日本ではMTは「わざわざ」選ぶものであり、何らかの楽しみを付与して欲しかった。もしかすると6000〜7000rpmの間に何かが起こるのかもしれないが。。。速さにおいては5ATよりも0→100km/h加速タイムを1.4秒も短縮した 6.9秒ということなので、欧州の人にはとても喜ばれるだろう。余談であるが、AT仕様の遅さはオートマチックトランスミッションの出来が悪いことを示している。

スバルがあまりにも真面目に「6気筒レガシィのために6段MTをチューニングした」と宣伝していたため、大きな期待を抱いて乗ってみたのであるが、実に中途半端な仕上がりで、このクルマでわざわざ面倒なMTを操る必要はない。もし、この脚(Spec.B)を設定したAT車があれば、NAエンジンのスポーティセダンを欲しがる客が買ってくれるだろう現行の3.0Rは脚が柔らかすぎてダメであるから

3.0Rの6段MTは期待はずれであったが、将来的に2.0GT(ターボ)シリーズに載る5段MT(←このトランスミッションは初代レガシィから基本は変わっていない)が6段MTに変更されるときにはさらなる改善を期待したい。変速機のギア比はGDB用と同一で良い(歯車を磨く作業だけは3.0Rと同じようにして欲しい)ので、ファイナル比だけを5〜10%ほど高くし、さらに駆動系全体の抵抗を減らすことも重視して欲しい。現行GDBは、ギアをニュートラルにしてブレーキを踏まない状態でも、かなりの減速力が発生するのが感じられ、駆動系の抵抗が大きいことが分かる(bremboキャリパの残圧が高いのかも?)。ゆえに燃費が悪いのである。BLE(3.0R Spec.B)では、その抵抗感はやや改善されていた(歯車を磨いた結果なのか、ブレーキキャリパの違いなのか?)。しかし、旧来の5段MTを搭載するモデル(帰り道に乗ったFORESTER 2.0 NA及び私のGC8)と比べると、まだまだ抵抗感は大きかった。スバルのクルマは年々改良を施して良くなっていくので、改善が期待できる。

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2回目/後席&山道

B4 3.0R Spec.Bの試乗車(試乗1回目と同一車両)が家の裏のスバル販売店に回って来たので、今度は山道に繰り出してみることにした。

まずは山に入るまでの道のりを販売員に運転してもらい、私は後席に陣取った。インプレッサを買ったときは、後席は存在するだけで十分である(後席乗員のことを考えていないので脚を硬いものに替えるのも気兼ねなし)と思っていたが、それから10年経ち、今では購入前には年寄りが乗る後席の感じを確かめておかねばならないと思うようになったのである。B4の後席は背もたれの角度や形状が良く、なかなか快適な居心地であり、ヘッドレストは1段階上げれば(1段しか上がらないが)身長175cmの私にフィットする位置に設定することができた。乗り心地は前席よりも明らかに硬くて揺すられ感が強く、タイヤや排気管からの騒音も前席に比べてはるかに大きく聞こえてきた。2.0GT Spec.Bと同じ減衰力設定であるというダンパーを備えた脚(バネは2.0GT Spec.Bより少し柔らかい)は、後席の乗り心地にはとても不利であった。ワゴン3.0R Spec.Bのほうは穏やかな設定がなされているというので、後席の快適性を重視するのであれば、B4よりもワゴンのほうがいいかもしれない。背もたれのリクライニングもワゴンなら可能である。

途中で販売員と運転を替わったが、運転席ポジション(当然最下位)はやはりしっくりこなかった。ステアリングホイールを最下位にし、その状態でメーターが見えるようにバックレストを寝かし、なんとか視線を下げた。しかし、ステアリングホイールが前後に動かないので、腕はかなり伸びた状態で運転することになった。

山道で2速から4速までのギアを使って走るのは、街乗りと違ってなかなか気持ちが良かった。3.0L NAエンジンは、2.0L NAにはない力強さと2.0Lターボよりも自然なフィーリングを感じさせ、スロットルのON-OFFを繰り返す場面でダイレクトなコントロールを楽しむことができた。急に豊かなトルクが盛り上がるターボも面白いが、いつでも余裕のある走りができる大排気量NAも大人の乗り味を持っていて悪くないと思った。走っているうちにシフトストロークの長さはさほど気にならなくなっていた。

スロットル開度が小さいときには感じなかったことなのであるが、フルスロットルで加速を続けていくと、スロットルペダルを戻してもなかなかスロットルバルブ自体が閉じてくれないという問題(クラッチを踏むとエンジン回転数が上がる)があった。これはスロットルバルブの急閉による排ガスの問題を電子制御スロットルが調節してくれているのだと推測されるが、あまりにも閉じる方向のレスポンスが遅いのが気になってしまった(P10型PRIMERAの初期1.8Lモデルにも同様の現象がみられた)。慣れればよいのかもしれない(シフトアップ時に、前もってスロットルペダルから足を離して待ち時間をおき、それからクラッチを切るときれいに動く)が、ATでは問題にならないところがMTとの組み合わせによって明らかになったのである。

山道でのステアリングの操作感はなかなか滑らかで、初期は穏やかに頭が入り、さらに切りこめばスイスイと曲がってくれるフィーリングは良かった。AWDの機構が昔ながらの「viscous coupling付きセンターデフ&VC付きリアデフ」なのに、これほどまでに素直な操縦性を持っていることに驚いた。VCの抵抗感が強くて曲がりたがらない私のインプレッサと同じ機構を持っているとは到底思えない仕上げの良さを感じた。新型レガシィの柔らかい脚のモデルで感じたリアサスの左右に揺れる奇妙な動きは、3.0R Spec.Bでは感じられなかった。硬い脚が違和感を感じにくくしているのかもしれない。

田舎の凸凹の多い道を走った今回の試乗では、1回目に感じた「レガシィシリーズ最良の乗り心地」というのを否定することになってしまうのが残念である。田舎道にときどき現れる大きいギャップを踏み越えると突き上げがかなり強く感じられたのである。2.0GT Spec.Bを今回と同じ場所で乗ってみないとはっきりしたことは言えないが、バネを柔らかくしたことによってダンパーのピストンスピードが高まり、高いピストンスピードによって高い減衰力が発生し、このような突き上げ現象が起きたのではないかと推測する。「A型の2.0GT Spec.Bに硬いバネを入れてみると乗り心地が良くなった」という話があるが、これは今回と逆のケースである。バネを硬くしてピストンスピードを抑えると、減衰力があまり発生せず、突き上げ感が弱くなるのである。どうやらB型になっても依然としてSpec.B用のダンパーは減衰力がかなり高く設定されているようである。サスペンションセッティングは難しい。

走りの話ではないが、山中の工事中の狭い箇所で対向車とすれ違うことがあった。そのとき、何も考えずにスッと左端ギリギリまで寄ることができた。レガシィがインプレッサと共通の視界設計になっているためなのか、一般的に車両感覚が分かり易いクルマなのか、どちらか明らかではないものの、私にとっては乗りやすいと思うクルマであった。着座位置が高いというのも、こういうときには便利である。

山道の途中で前方を塞ぐクルマが多数現れたので、今度は頭を切り替えて6速(TOP)ギアのみで走ってみることにした。道路の傾斜は全体的にやや下りで、一部上り区間もあったが、ギアを替えずに40〜60km/hで走り続けることが可能であった。40km/h時のエンジン回転は約1000rpmで、そこからの加速は難しいが、平坦路での巡航はできる。3.0Lエンジンのフレキシビリティはなかなかのものである。

今回、山道を走ってみて、初めて雑誌で見る良い評価の一端を理解することができた。3.0R Spec.Bは普通のクルマである(特別ではない)ことに間違いないが、3.0Lという大きいエンジンの力をMTで自分なりに使いこなす(コントロールの幅が広く、状態を掴み易い)という自由度が高いこと、それが楽しいのである。しかし、熟成が足りないので買う気にはならなかった。

B4

2.0i

(4AT)

B型

215万円(税抜)

ワゴンの2.0iにはA型で乗ったが、B4の2.0iに乗るのは今回が初めてである。

試乗した2005年10月23日にはレガシィは既にC型へ移行しており、B型の限定車であるアルカンターラセレクションの販売は終了している(2005年3月末受注分まで)。しかしB型とC型の差異は微妙なので、試乗車&代車としてディーラーで活躍していた。

アルカンターラセレクションに与えられた特別装備は、HIDランプ、エレクトロルミネセントメーター、運転席電動シート、上級オーディオ、アルカンタラ張りシートである。標準車が203万円(税抜)なので、差額はわずか12万円である。これはかなりお買い得感がある。

外観は2.0iと変わりがないので、16インチホイールが小さく見えてしまうが、気になったら簡単に交換できるので、問題はないだろう。

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動かしてみると、基本的にBP/BLの共通の乗り味があり、ゆっくりと走る場面において違和感はまったくなかった。ATのアップシフトポイントはごく普通の設定であり、平坦路であれば2000rpmを越えずに変速していくことが可能で、D型フォレスター2.0Xのような奇妙なシフトスケジュールではないことに安心した。80km/h巡航時のエンジン回転数は2000rpmをわずかに下回った。なお、Info-ECOのON-OFFの違いを認識するのは困難なことであった。

カーブのきつい山道に入ってちょっと高めの速度で走ってみると、ステアフィーリングは軽快であり、なかなか素直な特性を見せてくれた。ローリングはあまり大きくなかったが、初期ロールのグニョッとしたゴム(ブッシュ)の感触が気になった。ブレーキタッチは初期応答が鋭くて安心感はあったが、もう少しマイルドであってもよいかと思った。山道での走りはなかなか活発で、単独の走行を楽しむ分にはエンジンの力やスロットルのレスポンスに不満はなく、普通の2.0L OHCにしては好フィーリングだと感じられた。

上りのゆるいカーブをハイスピードで抜けていくエリアでは、やはり力不足を痛感し、我がWRXで難なく出る速度に達するまで2.0iではフルスロットルで待ち続けなくてはならず、気分はすっきりしなかった。ただし、常識的な速度で走る分にはまったく問題はないことを付け加えておく。

切り返しを繰り返し要求されるタイトターンの多いエリアでは、左右にローリングが切り替わる際のボディの動きに違和感を抱いた。上にも書いたサスペンションのゴムがたわむ感触が如実に感じられたのである。BP/BLにみられるしっかり感が欠如したその動きは是非とも改善してもらいたい。

エンジン特性を観るために3000rpm弱からフルスロットルを維持すると、だいたい4000rpmぐらいから元気が良くなった。カタログには4400rpmで最大トルクを発生するという表記があり、まさにそのとおりの特性を示した。これでも悪くはないが、できることならトルクピークを4000rpmより低く設定して、低回転域での走りの充実を目指して欲しい。

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サスペンションの動きの曖昧さはBP/BL共通の欠点であるので現状では仕方がないが、もしレガシィを買おうと考えているのなら、2.0iを初めから除外するのは避けるほうがいい。2名乗車ではほとんど不足を感じることなく楽しめるので、乗員の人数、荷物の多さ、走る場所を踏まえて、すべてのエンジンを試したうえで考えるといい。

 

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