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アライメント調整 Part 2

フロントのダンパー交換の後、 「勝手に進路が左に流れる症状」の再発(きちんと組み付けられていないこと)に納得できない私は、再びスバル販売店に対応を求めた。

いろいろと意見のぶつかり合いがあったが、ようやく私の要求を呑んでくれた。これが本来のあるべき姿であろう。

3年以上の時を経て、やっと本来の姿(不良部品が組み込まれていない通常の出荷後の状態)のBL5レガシィが手に入ったという思いである。

今回遭遇したメーカーおよび販売店を相手にした交渉はとても疲れるものであり、特に販売店の店長というのが曲者で、「客の満足度を高めるために我々は働いている」と口にしながら、まったく行動が伴わない輩であった。営業畑出身ということからクルマの構造について2時間ほど詳細に説明してやったのに、結局は何も理解できていなかったのである。クルマのことを分かっていない人間がクルマ屋の店長なんてやってはいけない。

最終的にはサービスフロントとのやりとりを経て、販売店が責任を取ることで一件落着となった。富士重工の了承(金銭的な手当て)を得ずに作業を実施してもらったので、一応スバルブランドに対する愛着心を失わずに済んだ。

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もう一度振り返るが、ストラット交換という作業を実施することによって、私は「キャンバ角に異常が発生する可能性が高い」と指摘した。それを販売店も富士重工も明瞭に認識していないのが問題なのであ る。スバルのクルマにはキャンバ角セッティングの自由度が高いというメリットがあり、そのことは同時に異常な組み付け状態に至る可能性も高いということである。私は単に 、普通に(設計者の意図のとおりに)作業してもらえればいいと思っただけであり、特別な要求はしていないのだ。それをなぜ理解できないか不思議でならない。

一般のクルマなら組み付け後にほとんど調整はできないため、私も何も言わないところだが、せっかく調整機構が付いているのだから、きれいなセッティングを出して客に渡せばいいではないか。この辺の考えの不一致を示す例をちょっと挙げると、日産GT-R(High performance center)の整備レベルが普通だと思っている(全然高度だと思っていない)私と、それを特殊だと思っているスバル関係者との間に埋められない溝が存在したという感じである。

そして現実はこれである。それ見たことか!」と言わざるを得ない。

【左前】 やっぱり!!!  私の感じたとおり「左のキャンバが足りない」ではないか!

調整前のキャンバ角には、看過できない左右差が存在した。

キャンバに22分(0.367度)もの差が付いていたら見た目にも違ってくるし、走らせても分かるものだ。整備士には分からないのかなぁ?

キャスターはあらかじめアッパーマウント位置を自分で調整したので、いい感じになっていた。これは成功。

トーは、組付時にキャンバがポジに振れた(ネガが減った)ことで自動的にインに向いている。これはレガシィのサスペンション特性に従った動きである。

青の帯は基準内でGOODなもの

青の線は基準には収まるがFAIRなもの

赤の帯は基準外のBADなもの

【右前】  これは!

調整前のキャンバ角は、ストラット交換前とまったく同値ではないか!

面白いこともあるものだ。

こちらのキャスター角もいい感じである。でも、規定の6度にするのはなかなか難しいものだ。もう他に調整する箇所がないのだから。

【左後】  あら? どうしてこんなにトーがアウトに向いているの?

ちょっとタイヤを縁石に引っ掛けたこともあったが、ゴムの部分がフニャとたわんだだけなのに。。。レガシィの脚ってそんなにデリケートなものなの?

【右後】 何の問題もない。

いい数値である。

キャンバは基準値内(FAIR)だがGOODではないらしい。

キャンバを−1度にするよう指示したことを正確に守ってくれた。

トーはキャンバをネガに振ったことで自動的にアウトに向いたが、これはレガシィのサスペンション特性によるものである。

トータルトーがアウトを向いているのがちょっと気になる。

フロント キャンバは左右差ゼロにしてくれた。

でも、こんなことあり得るのか?

執念でやったの?

BL5のリアサスは、トーをインに向けるとキャンバは自動的にネガになるのに、なぜか逆になっている。

アッパーアームを内側に引き込んで、キャンバをもうちょっとだけネガに振って欲しいと思う(左右のアンバランスを解消してもらいたい)が、まあこれ以上は言わないでおこう。

おそらく何も手を加えていないはずだ。なのに数値が変わっている。

これが測定誤差なのだろう。

キャンバはできればGOODの範囲内に入れて欲しかった。

【点検】

仕上がった後は、やはり自分の目でチェックしなければならない。

なぜなら、スバル販売店の整備で今までミスなく仕上げたことなんてほとんどなかったのだから。

まずはタイヤを外そうとすると、ホイールナットのトルク管理が甘かった(締付力がバラバラ)やっぱりダメ じゃないか!

ホイールを外してストラットを見ると、おっ なんじこりゃあとんでもないものを見てしまった。

それを以下に示す。

  

スバルのストラットの取付ネジにはキャンバ角調整機構が付いている。 上側のボルトを回すと、キャンバ角が連続的に変化するので、これを利用してアライメント設定をする。

この機構は よく考えられている。素晴らしい。

→ 右ストラット

上のネジの位置は、調整幅の中で最大ネガティブから1.5目盛分戻している。 もうちょっとネガに振る余裕があるのネ。

← 左ストラット

上のネジの位置は・・・アレレ???

ネジが調整幅を通り越して回っているじゃないか?

何をするんじゃ!!! あまりにも酷すぎるぞ!

「ネガMAX」のポイントを通り越してもキャンバは増えないぞ。

もう、ホントに。。。 参ってしまう。

あきれて何も言えない。。 お前らは素人集団か。。。

「富士重工の意向に逆らってよくぞやってくれた」と菓子折りでも持って販売店に行こうかと思っていたが、これを見てやめた。

あまりにもレベルが低い!!! もう〜、もどかしい。自分で手を下すことができたら、どれだけ楽になることか!

【走行テスト】

ジャッキアップしてホイールナットを締め直してから、走行テストを兼ねてちょっと京都観光に行った。すると、ステアリングホイールのセンターが安定しないことが分かった。

具体的には、道路の傾斜に従って右に寄ったり左に寄ったりする不穏な動きが出ていたのだ。

おそらくトーアウトになっているため、進路が不安定にな ったのだと思う。これを次週に確認しよう。08NOV2009

【自分でトー調整作業 1】

さて、 先週のドライブでは直進性の悪さだけではなく、直進時のハンドル位置がやや右に傾いているという問題も発覚した。まあこれはトーは触らなくていい(調整しなくていい)」と注文したから仕方がない。

その直進性の悪さは、トーアウトが主たる原因だと思ったが、タイヤ空気圧のアンバランスも存在するのではないかと危惧した。なぜなら、アライメント調整の際には必ず空気圧をチェックするからである。では、空気圧のチェックでなぜアンバランスが思いつくかというと、それは過去にスバル販売店の整備士の大雑把な空気圧管理を経験したからである。

そしてタイヤ空気圧を測ってみると、なんと!!! メッチャ低い(F:215, R:205)じゃないか(指定圧は230/220)。私のいつもの設定値(250/230)は指定圧より少しだけ高いが、それで何ら問題はないはずなのに、どうしてそんな無意味なことわざわざするのだ!!!

ついでにトーの状態もメジャーで測ってみると、トーアウト0.5mmであった。これはだいたい上のデータと同じであり、プリントアウトに嘘はないことが分かった。

ここでタイヤに空気を追加して50〜60kmほどドライブしてみたが、直進性の悪さにあまり変化はなかった。やはりトーを調整しなければならないようだ。

では次にトーイン調整をしてみよう。実施する作業は、左タイヤをインに少し向けるだけである。それでハンドルの傾きも正常に近づくだろう。

クルマの下に潜れる程度に少しだけジャッキアップして左のタイロッドのロックナットを緩めようとすると、なんと・・・固い!!! 鉄パイプでレンチを延長しているのに緩まないなんて。。。これは尋常ではないぞ。ということは、つまり、スバル販売店の整備士はトーを調整したのであるまったく余計なことをしやがって。。。 トーは触らなくていいと言ったじゃないか。

でも不思議だ。トー調整を実施したのなら、何故こんな状態(トーアウト)で終了することができるのだろう。そして、 何故ハンドルが曲がった状態で納車することができるのだろう。どんな神経をしているのだ、スバル販売店の整備士は!

仕方がないので今度はジャッキを最大限まで高く上げて、鉄パイプをさらに延ばして力を込めると、バチコンッ!とレンチが弾け飛んだ。外は寒いのに、汗をかいたじゃないか。

スバル販売店の整備士はクルマの何たるかを知っているのか??? ホントにもう ・・・この苛立ちをどこにぶつけたらいいのか。

タイロッドのロックなんてハンドツールでチョイと締めるだけでいいのだ。それだけで簡単には緩まないものである。私は20年もそうやってきたのだから。

さあ、今度の金曜日に試走して、トーイン0.5mm、ハンドル真直ぐを目指してみよう。15NOV2009

【自分でトー調整作業 2】

高速道路を走らせてチェックしてみたところ、ハンドルは前回よりは真直ぐに近づいたが、まだ右にわずかに傾いている。トー角を測るとだいたいゼロだったので、こちらはOK。

そこで、ハンドル位置だけを修正するため、左のトーをわずかにインに向け、右のトーをわずかにアウトに向けた。

そしてぐるりと町内を巡ってみると、ありゃりゃ、場所によってはちょっとだけハンドルが左に傾くところもあった。う〜ん、調子に乗ってやり過ぎたか。。。まあしかし、路面が荒れているため、 断言はできない。

明日、路面が安定した国道で走らせて確認し、そして必要なら改めてトーを修正しよう。今のところ、あともう少しだけトーインを付けても良さそうな感じだから。。20NOV2009

【自分でトー調整作業 3】

路面が安定しているところで走らせてみると、やはりハンドルはわずかに左に傾いているように見えた。そして、センターの節度感が足りないのも依然として気になった。

そこでトーを測ってみると、0.5mm弱のトーアウトであった。これが節度感欠如の原因だ。

なかなか微妙なものである。それならば右のトーをインに向けよう。タイロッドを30度だけ回して終了。これでどうだ。22NOV2009

【自分でトー調整作業 4】

トーインを増やすと なかなかいいフィーリングになった。ハンドルも真直ぐになったし、センターの節度感も出た。

ついでにリアのトーを測ってみると、0〜0.5mm程度のトーインであった。上のデータとは少し異なるがまあいいだろう。

長い長い修理が やっと終わった。スバル販売店の整備士のズボラ作業の後処理は大変だった。23NOV2009

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インターネットで自動車に関する事柄を 検索していたところ、あるサイトがヒットした。

そのサイトにある内容はかなり真面目で面白いものであった。http://golf4.blog65.fc2.com/

日本車の整備現場にはアライメント調整なんていう言葉はないというのだ。確かに普通のクルマなら誰がどんなふうに組み付けてもものすごく広く取ってある「正常値」の範囲を外れることはない ので、わざわざ調整する機会なんてないだろう。

そんな中、日本車でありながら日産GT-R(R35)に施される精密なアライメント設定が注目されるという。ポルシェなどの高速走行車両は厳密な調整がなされていて、同じような速度域(300km/h)で性能を発揮する日産GT-Rが同 じようなレベルの調整を受けるのは至極当然のことである。

一般人の考えでは「 100km/h制限の日本ではそんなに厳密な設定が必要なのか」という話になりかねないが、この著者が述べているように普通のクルマでも厳密なアライメント設定を施せば走りが変わるクルマはたくさんあるだろう。この点はまさに わが意を得たりというところである。

そんなことなので、私のように200km/hレベル(鈴鹿サーキット)の走りであってもGT-Rと同じような厳密さを求めたのである。

60%扁平のタイヤが普通だった時代ならいざ知らず(その頃は自己流アライメント設定をしたインプレッサで200km/hを安定して出すことができた)、45%扁平や40%扁平が普通になった今ではアライメントの重要性をもっと認識すべきである。このサイトのアライメントの話を読んでディーラーマンの意識を改革してもらいたいと思う。

 

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