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BL5D ホイールアライメント測定・調整

ホイールアライメント測定

【その1】 GTという名は伊達か?

高速道路を3名乗車(後席は左側に乗車)で走っていると、追い越し車線であっても左にクルマが流れていく感じがして、ステアリングホイールを常に押さえておかねばならないことが気になっていた。 グランツーリスモ(GT)の主な活躍の場はどこなのだろう? 高速道路をまっすぐ走らないGTなんて・・・

外観はキャンバ角には何も問題がなさそうで、フロントのトーをメジャーで計ってみてもイン0.5mmほどで完璧。もしかするとリアのトーがわずかにずれているのかもしれない。

そう思ってディーラーのメカニックに相談し、乗ってもらうと、「路面の傾斜に敏感に反応しているだけで、クルマには問題はなさそう」との回答。しかし、気になるのでアライメント測定を依頼した。

測定結果(調整前)は以下の通り、トーとキャンバに異常はなかった。念のためフロントのトーのみを調整し、ゼロにしてくれた。

フロント左  トー:-0.1mm  キャンバ:-0°37′ キャスタ:5°39′

フロント右  トー: 0.3mm  キャンバ:-0°57′ キャスタ:5°41′

リア左    トー:-0.1mm  キャンバ:-0°39′

リア右    トー: 0.1mm  キャンバ:-0°55′

この数値を見ると、文句を言えなくなるが、前後ともに右のほうがネガティブキャンバが大きいということは、クルマ全体が左へ行こうとする特性があると言えなくもない。

自分で一切の作業ができるのなら、フロントはネガティブキャンバを1°に設定したいし、リア左もアッパーアーム固定ボルトを緩めてネガティブキャンバを増やして左右差をなくしたいものである。

相変わらずまっすぐに走らないが、富士重工業も販売店も見解は同じで、路面の傾斜が原因だという。レガシィよりももっと扁平でもっとワイドなタイヤを履いていてもまっすぐ走るクルマがあるのに、変な話である。これでは四輪駆動車を買った意味がない。

現状では純正RE050の45%扁平タイヤが路面変化に敏感だと思うしかない。3〜4年後に他銘柄に変更すれば特性は変わるだろう。Spec.Bなら扁平率を変更する手段も選べるので、215/50R17を履くのもいいかもしれない。

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【その2】GOOD JOB!!!

上記で調整した部位はフロントのトー角だけであったが、そのせいでステアリングホイールのセンター位置がずれていたので、もう一度ディーラーを訪問した。

いろいろと話をしているうちに、前回のアライメントデータの中で何を示すのか分からず放置してあった異常値の内容が判明した。それはSAIという項目で、簡単に言えば車体を前から見た際のストラット(ダンパー)の傾き(上端が内側に寄っている)の大きさを示している。SAIの詳しい説明はこちらで。

フロント  左 SAI:12°17′  右 SAI: 7°58′(基準値 13°45′〜 15°15′)

SAIの内容を知ってしまうと、これはとんでもない状態であることが理解できる。例えるなら次のように。

例)完成品の二足歩行ロボットの脚の長さが左右で異なったが、どうせ靴を履かせるので、靴底の厚さを調節してトータルの長さを揃えてやれば歩くのに不自由はないだろう。(←製造過程でSAI角が左右で異なってしまったが、キャンバ調整ネジでタイヤの傾きを揃えてやれば走行に不都合はないだろうから、外から見えるところだけ繕っておこう。)

クルマの製造過程では、部品は付くべきところにしか付かないと思うが、どうやれば左右の角度差を4°以上にすることができるのだろう。

直進性が悪い原因がSAI角の不揃いだと断定できないが、この左右差は許し難いので、差を詰めるよう求めた。そのついでに、前後ともにキャンバ角の左右差を小さくすることも依頼した。

調整が終わって、データを見ると、次のようになっていた。

フロント左   トー 0.2mm  キャンバ -0°47′ キャスタ 5°33′  SAI 13°52′

フロント右   トー 0.0mm  キャンバ -0°53′ キャスタ 5°38′  SAI 14°05′

リア左    トー -0.1mm  キャンバ -0°44′

リア右    トー  0.2mm  キャンバ -0°51′

すべて基準値の範囲内で、左右の差も前回より小さくなった(キャスタ以外)こんなにきれいな数字が出るとは思っていなかったので、 アッパレと言いたい(細かいことを言えば、リアのトーが左右で逆の値だったら完璧なのに)

走らせてみると、なんとなくステアリングに落ち着きを感じるようになった(ただし、ステアリングセンターは少しずれていたので、あとで自分で直そう)。 新車出荷時はキャンバとトーが正常であったので平滑な路面では問題はなかったが、一般の道路は凸凹が多いので、SAI角の異常によってサスのストロークが起こったときにタイヤ接地面と路面の角度に左右差が出てしまい、それを運転中に認知して「GTなのに安定しないなあ」と感じたものと思われる。

何を調整したのか確認してみると、フロント側は取り付け場所がずれていたエンジンメンバー(サブフレーム)の位置を移動してセンターを出し直したという。ロワアームの前側がメンバーに留められているので、この作業は基本の行為である(私の提案どおりに実施してくれた)。そして、キャンバ調整をして数値をまとめ上げたという。 なお、アッパーマウントやロワアーム後側の取付位置の変更は不要だったとのこと。 リア側は、前側ロワアームの固定ボルトを緩めてアーム全体を奥に押し込み(キャンバネガ減少、トーイン向き増大)、後側ロワアームの調整部位(本来ここだけが調整可能)でキャンバとトーを修正することにより、ネガティブキャンバを小さくしたという(私の提案どおり )

実のところ製造工場でエンジンメンバーは意外に大雑把に取り付けられているようである。今回の事例を鑑みると、まっすぐ走らずに手を焼いているクルマであっても、手間を掛ければ直せる可能性が高いということが分かった。ディーラーの整備士さん、ご苦労様! メーカーの工員さん、もっとしっかり作っておくれ!

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【その3】ステアリングホイールのセンター出し(トー調整)

上の調整後も直進時にステアリングホイールが少し右に切れた状態であったので、自分で調整した。

作業はこのように実施し、最終的にステアリングホイールがセンター位置で直進するようにセットし、僅かにトーインをつけた。

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