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日産よ、いったいどうしたのだ

Z34のカタログに面白い記述を見つけた。まずはじっくり読んでみよう。

【微妙なアクセルワークに応えるにはVVELが必須でした】

一口にVQ37VHRエンジンと言っても、そのパワーフィーリングはチューニングしだい。

素直なエンジンにも、おとなしいエンジンにも、やんちゃなエンジンにもすることができます。

現代ではDOHCも4バルブも当たり前で、誰もそんなスペックに「技術」を感じたりしません。

本当の技術とは、そういうスペックを超えたところにあるフィーリングをどう造り込めるか、それが私たちに問われているのだと思います。

“Z”のVQ37VHRでいえば、スポーツカーエンジンとしての鋭いレスポンスとコントロール性、つまり踏めば踏んだだけのパワーが出る感覚を狙ってきました。

幸い、私たちには「VVEL」という新しい強力な武器がありました。

あらゆる回転域でバルブ作動角とリフト量を自由に設定できるこのシステムを駆使することでチューニングの幅が大きく広がったのです。“Z”のエンジンは全開か全閉かという踏み方でなく、リズムを持って微妙なアクセル操作をするようなテクニックを持つドライバーなら、その楽しさはさらに大きくなることでしょう。さらに、トップエンドまで軽々と吹け上がりながら、時にはギヤチェンジをサボった走りもできるトルクの太さも兼ね備えている。
そういう守備範囲の広さ、余裕がドライバーに安心感を与えるはずです。

(日産自動車のカタログから)

乗ってみれば確かに書いてあるとおりである。しかし、その印象はV36スカイラインクーペですでに抱いており、目新しいものではない。

では、Z34でわざわざこんなことを謳う理由は何だろう。

この説明でVQ35HRには触れていないが、V36スカイラインセダンの3.5Lエンジンは、それはそれはひどい制御で、全開か全閉かというものに近いスロットル特性だった。

今時のエンジンは電子制御スロットルを備えるので、大きいペダル操作でも微妙にバルブを開くことは容易である。それなのに、VQ35HRではペダルの踏み始めからドッカンと加速してしまうのである。

なぜこんなドッカン特性にしたのか。

それは、VVELの技術を誇示したかったから。。そんなうがった見方をしてしまう。

「従来の技術ならドッカンと飛び出すが、VVELがあればスムーズに走るんだよ。」

そんな子供だましを見せるために大事なスカイラインセダンをダメぐるまに仕立てたのか。 それもZ34が出る2年以上前に仕組んでいたなんて(V36は2006年11月発売、Z34は2008年12月発売)。

セダン人気が廃れ、日本では月に300台しか売れないとはいえ、あまりにひどい仕打ちである。

スカイラインクーペはさらに売れないので、スムーズなエンジン特性を持っているのに、それを表立って宣伝しなかった。

かくてZ34のフルモデルチェンジは素晴らしいという結論となった。

世の中にはBMW M3という普通の(バルブトロニックを使わない)エンジンを積む乗りやすいモデルがある。そういうもの(スロットルバルブが8個あるので、微妙なコントロールはシングルスロットルより難しい)を知っているにもかかわらず、敢えて自らの製品を貶める行為によって新技術(でもBMWの二番煎じ)の評価をしてもらおうとするなんて、あまりに馬鹿げている。

技術の 日産よ、大丈夫か。

 

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7段ATのギアリングは何とも不可思議な設定である。

日産(JATCO)は5段ATでも2種類のギアリングを持ったトランスミッションを用意しているので、そのうちにまともな設定がなされた7段ATが出るだろう。

   

V36等の5段AT

 

Z34等の7段AT

 

 

ギア比

(Overall)

ステップ比(%)

 

ギア比

(Overall)

ステップ比(%)

1

 

3.841

(15.04)

 

 

4.923

(16.53)

 

 

 

 

61.2

 

 

64.9

2

 

2.352

(9.210)

 

 

3.193

(10.72)

 

 

 

 

65.0

 

 

64.0

3

 

1.529

(5.988)

 

 

2.042

(6.854)

 

 

 

 

65.4

 

 

69.1

4

 

1.000

(3.916)

 

 

1.411

(4.737)

 

 

 

 

83.9

 

 

70.9

5

 

0.839

(3.286)

 

 

1.000

(3.357)

 

 

 

 

 

 

 

86.2

6

 

 

 

 

0.862

(2.894)

 

 

 

 

 

 

 

89.4

7

 

 

 

 

0.771

(2.588)

 

Overallで考えると5段ATと比べて7段ATは5速までの範囲でやや低いギア比を持つ。7段ATの3-4-5のステップ比は5段ATより良いので、ハイスピードサーキットで好都合である。

しかし、街乗りではあまりメリットはない。高速巡航では7段ATのトップギアが燃費を稼ぐだろう(5段よりも80%以下のエンジン回転数でいい)。

ただし、5-6-7は近すぎる。5→6は、7000rpmシフトで6000rpmに落ちるだけ。6→7はもっとひどい。

1速をもう少し高くして、全体をバランスよく配分できないものか。

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