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SKYLINE Coupé(V36)

370GT

type S

5AT

398万円(税抜)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セダンよりもかなり浅く

なったトランクスペース

段々畑はなくなった

 

トランクの床下にはスペアタイヤが備わり、その下にマフラーが横置きになっていた(これはオプションのマフラーだが、レイアウトは同じ)

2007年10月、V36のクーペが発売された。

V36セダンのデザインは大人が乗ってもカッコイイと思えるものであったが、走りの味に子供っぽい部分が多くみられ、なんとも残念な出来であった。

現在のスカイラインは若者から支持されるクルマではなく、オジサンの乗り物になっているので、大人が楽しめる味わいを持っていて欲しい。

果たしてクーペの仕上がりはいかに。

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試乗車にはFUGAに続いて19インチホイールが装着されていた。セダンより短く、低く、幅広くなったボディとともに、分かりやすい格好良さがある。

ドアを開けると、今や珍しくはないが、ガラスが少し下がり、半ドアを防ぐ気の利いた機能が働く。したがって、ドアを閉めるときに気合を入れる必要はなく、スマートな振る舞いが可能になっている。

運転席に座ると、セダンより明らかに着座点が低いのが分かった。そしてシートのフィット感が良く、気に入った。ダッシュボードやメーターの位置は、この低い着座位置とバランスが良い。シートが最下位の状態であってもボンネット端の盛り上がりがはっきり見えるので基本的に問題はないが、バックをする際の視界が良くないという一面もある。

店舗の敷地内で動かしてみると、ステアリングがかなり重いと感じた。アクティブステア仕様の存在は特に意識しておらず、ノーマルのステアリングシステムだと思って運転を開始した(ここまでカタログはまったく見ておらず、試乗車がどんなグレードなのか知らなかった)

ATをDレンジに入れたまま国道に出てゆっくり走り始めると、なんだか穏やかなクルマだなと感じた。セダンと比較してやろうという意思はまったく持たずにスロットルを開いたのだが、「これはスカイラインなんだ」と思い起こすと、あの唐突な発進加速がみられないことについて意表を突かれた感があった。

スロットルを多めに開いてみても、過渡特性が穏やかで駆動力のコントロールが容易なので、嬉しくなってしまった。日産もやればできるのである。そして、排気音が静かなことにも感心した。

以上のように 乗り始めてわずかな時間でセダンに抱いていた不満点の多くが解消していることを感じた。セダンでもこのように改良して欲しいと強く思ってしまう。

 

路面状態の良くない路地に入ってみると、ギャップで強い衝撃を受けた。基本的に脚はかなり硬い設定のようである。19インチタイヤ(RE050)の硬さも影響しているのだろう。

凸凹があまり多くない普通の路面においてはフラット感が強く、快適な乗り味を見せてくれた。

曲がりくねった道を走ってみると、ヘッドランプの照射場所がステア操作に連動することが分かった。最近、こういう装備を有するクルマは多いが、私には初体験であった。進行方向が照らされるというアクティブAFSはなかなか便利なものである。

ブレーキペダルのタッチはなかなか良好であった。対向ピストンキャリパを備えているクルマは総じて初期タッチが穏やかで、踏力と減速感のリニアリティが高いものである。強い制動は試していないが、街乗りでもフィーリングの良さが感じられるのはありがたい。

 

店に戻って後席とトランクの使い勝手を確かめてみた。

身長175cmの私が運転した状態のままの運転席の真後ろに座ってみると、まずは頭がリアガラスにぶつかってしまった。長いホイールベースのおかげで足元には余裕があるのだが、頭上空間に余裕は残されていなかった。165cmぐらいまでの人なら頭上を気にせずに座ることができるだろう。BMW3erクーペ(E92)は後席の頭上空間に不足はなかったので、スカイラインの設計に不満がある。

クーペは定員が4名である。つまり後席は2人掛けで、センター部分はプラスチックでカバーされて座りにくいようになっている(座れないこともない)。何故か知らないがセンターアームレストは存在しない。贅沢品であるクーペなら、アームレストぐらい用意しておいて欲しいものである 。なお、同様に4人乗りのE92には当然のようにアームレストが備わる。

トランクはセダンと比べてかなり浅いが、床面は平らになった。床板の下には特段の収納スペースはなく、すぐにスペアタイヤ(テンポラリ)が現れる。どうしてこんなに浅いのかと思って車外から底を覗いてみると、なんとマフラーが横置きになっていた。この消音器が高さを取っているのである。セダンはスペアタイヤ部を避けて縦に2本の消音器が入っている (スペアタイヤ収納部を深く掘り込むことができる)のだが、オーバーハングが短いクーペではセダンのようにはできず、レイアウト変更を余儀なくされたのだろう 。BMWはスペアタイヤを持たないので、E92のトランクはもっと深いが、E90よりもさらに大きい段差があって使い勝手は良くないため、優劣は付けがたい。

余談だが、助手席のシートポジション調整は電動である。高さ調整もできるのは嬉しい。

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店でカタログを見ると、19インチホイールのモデルには アクティブステアが標準装備されることが分かった。そして、試乗車がType Sであることも分かった。

セダンではアクティブステア仕様のステアリングはノーマル仕様より軽い設定であったのに、クーペのアクティブステアは操舵にかなり力を要する。ただし、それはまあまあ自然な感触であり、BMW 5erのような違和感はなかった。

今回の試乗で、セダンで感じた子供っぽいセッティングがクーペには存在しないことを知った。これは大人のためのクーペと呼んでもいいだろう。ようやくスカイラインらしいクルマを出してくれたことは喜ばしい。雑誌情報によると、セダンでも子供っぽい動きは 密かに改善されているという話なので、日産を少しだけ見直さねばならない。

(06OCT2007)

 

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