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CROWN

ATHLETE 3.5

G-package

567万円(税込)

2008年2月、クラウンが13代目になった。

シャシは基本的にZERO CROWNのものを引き続き使っているという。これまでMark X、Lexus GS、ISという兄弟車で利用されてきたシャシが最新のモデルでどのように熟成されているのか確かめるのは楽しみである。

13代目の外観を見てみると、ZERO CROWNが古く見えてしまう。躍動的で若々しいイメージをうまく作り出している。しかし、ドアを開けると室内はなぜかオジン臭い。スイッチ類が少なくなって扱いやすいと思うものの、ZERO CROWNと比べて高級感はない。

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駐車場からゆっくりと動き出すと、操舵力がきわめて軽いという印象を受けた。M/C後のZERO CROWNで軽くなって以来同じような仕様であり、ステアリングホイールのサイズも依然として大きいことから、これは客のニーズに合致しているのだろう。

道路に出て赤信号までの道のりをゆっくりと進むためにアクセルペダルを僅かに踏んでみると、思った以上に穏やかなスロットル設定になっており、他のクルマと同じように扱うともどかしさを感じるほどであった。ZERO CROWNはここまで穏やかではなかったように思う。まあ個人的にこの設定変更は好ましい。

横浜の山手のあたりを流してみると、ZERO CROWNで感じられたわざとらしさやこわばった感じがすっきりと取り除かれていることが分かった。カーブでのローリングの進行具合、速度の高まりに応じた騒音の増加、操舵量に応じた反力など、起こるべきことが自然に現れるように感じられたのである。

乗り心地においても突っ張った印象がなくなり、しなやかさを感じるものになっていた。ZERO CROWN登場時には「45%扁平の18インチを標準で付けるなんて」と驚いたタイヤ設定であったが、今の時代ではそんなに違和感がなくなっていることから、タイヤそのものや脚の設定にそれなりのチューニング方法が確立されてきたのだろう。

試乗車(G-package)は567万円という高価なモデルであるが、普通の3.5アスリートは487万円で設定されている。それらの差は本革シート、前後席の電動シート等の有無なので、標準的な3.5アスリートで充分だと思う。

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今回の試乗でクラウンが熟成された乗り味を得たことが分かった。Lexus GSも徐々に改良されていると思われるが、G-BOOK mX Pro(G-Link)のようなレクサス専用に用意されていたもてなし(コンシェルジュのサービス等)がクラウンでも受けられるようになると、GSの売れ行きに変化が現れるかもしれない。また、クラウンがイージークローザー(半ドアを自動で閉める機能)という分かりやすいもてなし装備を標準設定(2.5Lはトランクだけ)するというのもレクサスにとっては脅威だろう。まあ社内で切磋琢磨してもらえば、客としては嬉しいものである。13APR2008

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【後席】

ハイブリッドの試乗の後、帰り道は販売員に運転を任せて後席の乗り味を確かめてみた。

3.5アスリートもやはりクラウンの一員であり、後席に座る偉い人(お年寄りが多い?)の居住性が重視されているようである。前席のシートバックにあるグリップは乗り降りの手助けになるし、後席シートバックは意外に左右のサポート性が良く、カーブでは椅子が体の揺れを抑えてくれる。また、ドアが開く角度が大きく、乗り降りしやすいよう設計されているのが分かる。

一般道走行中の乗り心地は、アスリートといえども十分に安楽で居心地が良かった。アスリートでこれだけ快適なら、快適性で優るというロイヤルはどんな乗り味なのだろう。これまでロイヤルには興味がなかったが、それを知りたくなってしまうというのは年を取ったせいなのか。。後席で一つだけ気になったことは、ドアの内張りが硬く、脚を広げて踏ん張ると膝小僧が 当たって痛くなることである。日産FUGAでも同じことを感じたのだが、こういう状況をメーカーはまったく想定していないのだろうか。ちょっとクッション材を入れてやるだけでいいのに。21JUNE2008

HYBRID

619万円(税込)

新型クラウンに ハイブリッドモデルが追加された。基本的にはレクサスGS450hと兄弟関係にある。新しいモデルなので、クラウンには何らかの進化した点があるかもしれない。 ちょっと探ってみよう。

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【1回目】

クラウンハイブリッドのある店へアスリート3.5に乗って向かった。GS450hの記憶は薄れているので、ハイブリッドの比較対照はアスリートである。

ハイブリッドに乗り換えてスタートスイッチを押してみた。するとメーターパネルの中の液晶ディスプレイに動く画像が現れ、やがて通常のメーター表示のような画像を表示した。これはなかなか未来的で面白い。機械的に針が動くメーターは目の前に存在しないので、表示方法をいかようにも変えられる。通常の表示では速度計とパワーメーターが主体となり、エンジン回転計は出てこない。

エンジンが始動しないままシフトセレクタをDに入れて動き出すと、いつの間にかエンジンが始動して走っている。スムーズなつながり方はレクサスLS600hに匹敵する。

加速感はモーターの後押しを感じるもので、アクセルペダルを踏んだ瞬間に力が発生するので頼もしい。ペダルをいっぱいに踏むと、トヨタのハイブリッドらしい滑らかで力強い加速感を得られた。GS450hよりもギア比が高い(加速力が劣る)というものの、これで十分である。

走行中のエンジン回転数が分からないのは何となく気持ち悪いものだが、アスリート3.5と比べて明らかに静かでスムーズに走るので、エンジンのことは考えないようにした。もはやエンジンもモーターもクルマを推進させる動力源に過ぎず、どれだけ加速したいのかをアクセルペダルを通じて命じてやれば、適正な仕事をしてくれるというだけになった。燃費 効率やトルク特性を考えてエンジン回転数を運転手自身が選択するというのは時代遅れであり、クルマ任せが一番ということなのである。

EVモード(エンジンを始動させない)での走行は残念ながら試せなかったが、発進直後の静かさを維持するという場面を想像することはできる。

乗り心地はなかなか快適であった。やはりアスリートよりもボディが180kgも重い(1840kg)と上屋が揺れにくくなるのだろう。

減速時にはハイブリッドらしい回生ブレーキがあるはずだが、違和感を抱かなかった。プリウスのように頑張ってエネルギーを回収しようとしていないのだろうか。それが原因かどうか分からないが、ブレーキペダルの踏み込みに対する減速感が甘く、ハイスピードからのブレーキングで少し不安を感じた。車体の重さも影響しているとは思うが。

試乗車にはサンルーフが備わっていたので、前席の頭上空間は狭く、圧迫感があった。着座位置をあと10mmぐらい下げられるといいのだが。。まあこんなことを言えるのは試乗車にバリエーションがあったからで、メーカーオプションの有無で迷ったときに実物を確認できるのは重要であり、トヨタ販売店はよく考えている。

最後にトランクを開けて広さを確認すると、奥行は69cmあり、まあ日常の荷物なら飲み込んでくれるだろう。幅は十分に広く取ってあり、ゴルフバッグも入る。ただし、4人でゴルフに行くのは依然として難しい 。スペアタイヤを積まなかったら、トランクはもっと広く(深く)なるのに、どうしてそれを実施しなかったのか???21JUNE2008

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【2回目】

今回は燃費計測を主たる目的にして、万博記念公園の周辺を走ってみた。

エコノミードライブをしてやろうと意気込んでスタートしたが、ニュータウン内にある店を出てからしばらくは信号待ちの時間が多く、ちょっともどかしい気持ちになった。まあエンジンは止まっているはずなので燃料を消費していない のだが、バッテリを使った分の充電には燃料を使うので。。

エアコンをONにして停車していると実のところエンジンが回っているかどうか分からない。ファンの音にかき消されてしまうのである。プリウスならエンジンが回っていることを意識するのだが、クラウンは静かなのである。モニター表示をエネルギーの流れを見られるものにしておくのがいいかもしれない。

エアコンといえば、レクサスIS350の革シートの表皮の穴から冷気が出るのが印象的であったが、クラウンハイブリッドでも同様に、明らかに人工的に冷やされた空気が出てくることが分かった。新型クラウンの装備は充実しており、もはやレクサスに遠慮などしていないと感じられる。

急加速や急減速を避けて、幹線道路を穏やかに走ってみると、8km/L台だった累積燃費はどんどん値を大きくしていき、10km/Lを超えた。ハイブリッドといえども、チョコマカ走るよりも巡航すると燃費が良くなるものである。

今回はバッテリ容量が十分にあったのでEVモードでエンジンを回さない走りも試してみた。ところが、走り出すとあっという間にEVが解除されてエンジンが回ってしまった。この機能は40km/hまでの速度域で有効であるとのことで、郊外では使えない機能ということが分かった。

そこで、幹線道路から降りて店まで200メートルぐらいの信号で停止したときに再びEVモードを選び、燃費を少しでも改善できるよう頑張ってみた。そして、最終的に店に戻った時点の燃費は10.9km/Lであった。

果たして、この燃費は良いのだろうか。我がレガシィターボで同じような走りをすれば、もっと良い燃費になりそうだが。。12JULY2008

Royal Saloon 2.5

Navi package

426万円(税込)

12代目(ZERO CROWN)ではアスリートが大ヒットし、13代目でも引き続き人気がある。しかし、個人的にはロイヤルサルーンのほうがマスクのデザインはまとまっていると思っている。また、内装の木目調パネルは木の色のほうが良いと感じている。ただし、木目調パネルの使い方は好みではない。オーディオ機器の前の蓋の部分(王冠マークも含めて)は気に入らない。

デザインはまあいいとして、肝心の走りはどうなのだろう。

エンジンを始動してしばらく観察すると、水温計が少し動き始めてから8割がた適温になるまでエンジン回転数は1000rpmを維持しており、そこから適温になるまでに徐々に規定アイドルまで下がっていった。販売員から説明を聞いていると、動き出すまでに時間を要したのである。エンジンが冷えていると雑音が大きくなるので、十分な暖機は評価を誤らせないために有用であった。

ゆっくり動き出すと、操舵感が滑らかで非常に軽いのが印象的であった。スロットルペダルの踏み込みが浅いエリアでの微妙な反応のしかたも良好であった。道路に出ると、まずはロードノイズの少なさに感心した。タイヤは215/55R17のdB(住友か横浜か、確認していない)であり、静かさが売り物のロイヤルサルーンにマッチしていると思われた。

試乗のメインコースは暗闇の山道とした。ロイヤルサルーンはタイヤサイズを17インチに格上げしたことから、ZERO CROWN(16インチ)よりも脚をしっかりさせたのだろうと考え、それを確かめるべく山を選んだのである。

普通のペースで山道を走る限り快適で安楽な走行をすることができたが、徐々に速度を増していくとローリングが速く、ステア操作に対してクルマの動きが遅れる現象がみられた。脚もタイヤも柔らかいため、ある程度は仕方がないが、ZERO CROWNの記憶と比べると、スポーティになったわけではないが、より自然な運転感覚が得られるという点で熟成されていると感じられた。

フルスロットル加速を試してみると、トヨタの2.5L(6気筒)は音が軽快でパワフルだなという印象に変わりはなかった。

メインターゲットのお年寄りにとっては、ロイヤルサルーンは十分な走る性能を持ち、快適な移動ができるクルマであると考えられた。23NOV2008

ATHLETE 3.5

487万円(税込)

ロイヤルサルーンとアスリートの比較をしてみようと考えて、上のロイヤルサルーン2.5で店に戻った直後にアスリート3.5で出発した。本来なら2.5Lモデルのほうが良かったのだが、試乗車はこれしかないため仕方がなかった。

店を出て走り始めると、ロードノイズがロイヤルサルーンと比べて格段に大きいことに気付いた。タイヤがRE050(POTENZA)であることが主要な原因だと思うが、こんなにもタイヤによって差があるというのは驚くべきことである。

山道を走るとスロットルとステアリングの反応が良いのが明確で、アスリートはとても軽快に走るモデルなんだということを再認識した。ステア操作をした分だけ正確に曲がるという点で運転手の満足度は高い。

このモデルにはステア操作に連動してヘッドランプの照射方向が変わるという装備が付いていたが、山を走ってみてもそれを意識することはなかった。13代目クラウンはいろいろなところに電子制御が組み込まれているのだが、それを運転手に感じさせないようにしたことがZERO CROWNからの進化したポイントだという。ステアリングギア比が車速によって変化することもまったく気付かないので、ヘッドランプが動くのも同様だったのだろう。

プロジェクタ式のロービームは照射範囲の上端がきれいにカットされるため、夜の闇の中では遠方が見えずに困ってしまった。なお、ハイビームにしても何故か遠くが見えず、山道であまり速度を高めることはできなかった。

速度をあまり高められない道路で、視界が悪いためにカーブでは必要以上に減速して走っていた。そのため、フロントのブレーキ負担が大きくなり、店に戻ったときにはホイールがパッドのダストで黒くなっていた。

ブレーキローターの直径は320mm以上あると思われ、対向4ピストンのキャリパもごついため、キャパシティは十分にあるはずだが、ペダルタッチはふんわりとしたものであった。トヨタ(レクサス含む)のクラウンベースの車両では、フローティングキャリパのモデルに比べて対向ピストンキャリパのモデルはコントロール性が良いのが特徴であるが、試乗車はちょっと本調子ではないような気がした。

山道でロイヤルサルーンとアスリートを比較したところ、明らかに味付けが異なることが分かった。まあ一長一短というところであるが、アスリートのタイヤを別の銘柄にすれば良い感じになるのではないかと勝手に想像する。

-------- 余 談 -------

クラウンハイブリッドが履くタイヤ銘柄はダンロップのヴューロである。これはノイズが少ないモデルだということで、確かに試乗したときに静かさを感じた。ハイブリッドはエンジンノイズが小さいため、タイヤノイズが聞こえると却って騒音を意識することになるので銘柄を変更したのだろう。

帰り道、RE050を履くレガシィが発するロードノイズに聞き耳を立てたところ、アスリートよりも雑音が多く感じられ、クラウンの素質を思い知ることになった。23NOV2008

 

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