------------------------------------------------------------------------------------------------------

どれぐらい走ったらオイル交換するのがいいか

クルマに関心の高い人はオイル交換の適正なタイミングがどれぐらいなのか気に掛かるようで、インターネット掲示板でよく話題になっている。今時クルマを大事にしようとする人が珍しい中、微笑ましいことである。

それに答える人たちはそれぞれに意見(信念)を持っているようだが、経験に裏打ちされたものはほとんどなく、他人から聞いたような話ばかりでうんざりする。

あるサイトで、サーキットを走ることのないZ33に乗る整備士が2500〜3000km毎に合成油でオイル交換(フィルターも毎回交換!)しているというのを見かけた。 薀蓄はかなりのもので、整備士として様々な経験を積んでいそうな彼には、短期間でオイル交換をしなければならないという何らかの信念があるのだろう。だが、それは残念ながら書かれていなかった。

ともかく、オイル交換時期は一律に5000kmなどと言えない事情がある。

---------------------------------------

【ガソリンスタンド】

GS店員はクルマのことを何も知らない人が多い。そのことはクルマ好きの客にはよく知られている。アルバイト店員などは無闇にオイル交換を勧めるものだが、あまり信じてはいけない。その人が整備士であるか否かはあまり関係がない。私が働いていたGSではノルマがなかったので、普通の自家用車に関しては本当に問題になりそうなクルマ以外にオイル交換を勧めることはなかった。

しかし、ルートバンのようにちょっと過酷に使われるような車両(会社と契約)については、店長が車両ごとにしっかりとタイミングを把握していた。それらは3000kmぐらいで交換していたのに、かなり汚れた真っ黒な廃油が出ていた記憶がある。やはりそういうクルマは酷使されていたのだろう。

私は自分のクルマで3000〜4000km、家のクルマで6000〜7000kmを目安にオイル交換していたが、ルートバンのように真っ黒な廃油は出なかった。クルマの使われ方によってオイルの汚れ方が違うので、交換時期も考えるべきであることを学んだ。

---------------------------------------

【自動車ディーラー】

ディーラーでは点検整備で入ってくる車両の使用状況をいちいち把握していない。そのため、一律に6ヶ月毎のオイル交換をするようだ。いろいろな使われ方をしているクルマであっても、点検整備に出すという時点でそれなりにユーザー自身がメインテナンスの必要性を考えているということなので、それでいいのだと思う。6ヶ月で15000kmという走行過多のクルマはあまりないと思うが、それでも整備書のとおりなので問題は起きないだろう。

通常、ディーラーでは「故障しなければいい」というレベルでクルマを扱っている(大事にしない)。

---------------------------------------

【私の経験】

調子よく乗りたいのなら、潤滑経路に汚れを溜めないことが重要だと考える。その汚れは自分の目で確認すべきである。汚れる原因は、外部からのゴミ、オイル成分の変質、燃焼により発生するススなどがある。それらを考慮しながら交換時期を考えるといい。

  • 外部からのゴミ:走り方によって空気(ゴミを含んでいる)を吸う量が変わるので、例えば燃料使用量500Lごとにオイル交換(激しく走ったら3000km、 大人しく走ったら6000km)というのも考えたことがある。しかし、舗装された道で使う限りあまり気にすることでもない。エアークリーナーを整備書どおり替えれば良いだけである。

  • オイル成分の変質:(1)オイル交換をサボっていると、添加剤(清浄剤)の効き目がなくなって汚れが溜まる。中古で買ったKP61スターレットのエンジンを分解したとき、スラッジの酷さに驚いたものである。まあそれでも雑誌等で悪い見本として出てくるような黒い固形物はあまりなかったので、致命的な問題は起きなかったのだろう。分解時に金ブラシでスラッジを擦り落とした後は、3000〜4000km毎のオイル交換(Castrol GTX7のSF〜SGグレードを主に使用)を続けていたことから、次の分解時にも汚れはまったく溜まっていなかった。 サーキット走行や山道での高負荷走行が多かったのに汚れが溜まらなかったのは、パワーの低さ(エンジン温度が高くならないためオイルが劣化しにくいこと)と早めのオイル交換によるものと思われる。

(2)サーキット走行などの高負荷で油温が上がると、添加剤の消耗が早くなるらしい。GC8インプレッサターボではサーキット走行(30分×3)を3回 (高負荷は3時間程度)した後に交換していた。その間の距離は通勤等の日常走行も含めて3000〜8000km(通常5000km)であった。そういう使い方をしたエンジンのヘッドカバーを5万km走行時に開けて汚れを直接目で見たところ、オイルがあまり流れない場所に少しだけスラッジが付着していた。このことから、ある程度ハードな走行をしても、合成油を使っていれば5000km毎の交換で何ら問題はないことが分かった。また、ノーマルエンジンではサーキット走行のたびにオイル交換をする必要はないことも分かった。なお、ドレーンから流れ出る廃油はいつも透明度を残していた(真っ黒ではなかった)ことから、廃油の汚れ具合とエンジン内の汚れ具合に直接の関連がないことも判明した。

(3)家のクルマ(1.5L OHC キャブレター仕様)では6000〜7000km毎にオイル交換(SE〜SFグレードを使用)をしていた。一度ヘッドカバーを開けてカム周辺を目視してみたところ、スラッジの付着はなく、とてもきれいであった。大人しく走らせていれば(油温が高くならなければ)清浄剤の劣化は抑えられ、エンジンはクリーンに保たれるようである。

  • 燃焼によるスス:暖機をしないクルマではオイル自体が真っ黒になるのは早いが、潤滑経路に汚れが溜まるかどうかまだ確認できていない。オカンの原動機付き草履の廃油はいつも汚いので、今度ヘッドカバーを開けて状況を自分の目で見てみよう。

----------------

【私の考え】

クルマの使用状況(負荷の大小)に応じてオイル交換時期は変えるべきである。

直列エンジンならヘッドカバーを開けるのは容易なので、まずは5000km走ったらカバー裏やカムシャフト保持部分(オイルの流れが少ない箇所)の汚れ具合を見て、オイル交換時期を判断すればいい。単に廃油の汚れで判断してはいけない。

水平対向やV型はヘッドカバーを外すのが面倒なので、負荷の大小によって5000〜8000kmぐらいを交換サイクルに設定するのがいいだろう。パッキンからのオイル漏れ等でヘッドカバーを外す機会があるのなら、それは絶好のチャンスになる。内部の汚れ具合を見て、今までの自分の行動を振り返ることができるのである。そうやって知識を蓄積していくのが大事だと思う。

もちろん汚れ具合だけで交換時期を決めるのではなく、他の要因も考慮するといい。エンジンによっては低粘度のオイルを使っていると、ある時期から騒音が大きくなるという 変化を経験をすることがある。そのような変化を感じたのなら、それはオイルに備わる性能の何かが劣化したというサインなので、そこを交換時期にしてもいいだろう。ただし、その時点でオイルが使いものにならないレベルなのかどうかは別の話である。例えば、BL5レガシィターボではSAE40のオイルを使うと4000kmぐらいでガラガラ音が出てくるのだが、もしかするとメーカー指定粘度のSAE30(5W-30または10W-30)では新油でもその音が出るかもしれない。 仮にそうなら、その交換時期 (4000km)は早すぎるといえる。そこで、次回は5W-30のMagnatecを使って本来(メーカー指定粘度のオイルを使ったとき)の挙動を再確認してみようと思う。

  

戻る

inserted by FC2 system