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1.3 X

CVT

132万円(税抜)

アルミホイールはオプション

2代目Vitzの派生車種としてRactisが出て、さらにBeltaが出てきた。ホイールベースはRactisと同じ2550mm(Vitzより90mm長い)、全長は4300mm(Vitzよりも550mmも長い)もある。トヨタの最小セダンといいながら、このサイズは私が乗る初代インプレッサとほぼ同じである。Vitzは一人に一台、Beltaは一家に一台という考えの人に買ってもらいたいのだろう。

運転席からの眺めはVitzとほとんど同じように見える。直接比べると違う箇所は多いのかもしれないが、センターメーターの見え方やセンターパネルの印象が同じなのである。センターメーターは相変わらず見辛いと思うが、ステア操作をしているときでも表示がスポークに隠れることがないので、そういう場面でのみ有用である。

Beltaの駐車ブレーキは足踏式ではなくレバー式なので、フットレスト周りの空間に余裕があり、左足ブレーキングを難なく行うことができるのは良い。この点は日産のBプラットフォーム車より好ましい。

2分ほど暖機してから走り出すと、Vitzと同じようなノイズが車内に入ってきて、兄弟車であることを実感した。

Beltaはシートも脚も何もかもが柔らかくできていて、乗り味はかなりソフトに振られており、なんだか昔のカローラ(90系〜110系の頃)に似ていると感じた。兄弟車の中では、硬いRactisとVitz RS、中庸のVitz(RS以外)、柔らかいBeltaという性格分けがなされている。

ステアリングの操作感はVitzよりも明らかに改善されており、Ractisと同様にとても自然なフィーリングになっていた。

走り始めはかなりノイジーだった室内は、エアコンから出る風が暖かくなるにつれて静かになり、ちょっと不思議な気分になった。Xにはタコメータがないため、エンジン回転数が分からないが、冷間時にはエンジン回転数を高めに維持して暖機(触媒の活性化)を促し、温まればエンジン回転を下げて静かに走る設定になっているのだろう。レンタカーで乗ったVitz 1.0でもそういう経験をしたことを思い出した。

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BeltaのXというグレードには1.0Lと1.3Lがあり、価格差はわずか6万円である。装備はまったく同一で、エンジンのみが異なるという分かりやすい設定に好感を抱くが、1.0Lモデルに126万円(税抜)ものプライスを設定するというのはちょっと困惑してしまう。ともかく1週間後に1.0が試乗車として入るというので、乗り比べてみようと思う。

1.0 X

CVT

126万円(税抜)

試乗車が1.0Lモデルに入れ替わったので乗ってみた。

Beltaは上記のとおりVitzよりもはるかに大きい躯体を持つ兄弟車であるが、カタログを見ていて面白いことに気付いた。1.0Lエンジンを搭載するモデル同士で車重を比べると、なんと10kgしか違わず、Belta 1.0Xはわずか990kgに過ぎない。この現象は日産のシルフィとウィングロードとの関係においても同様に存在し、セダンボディがいかに剛性を確保しやすいかということをまざまざと見せ付けられた。

それでは、雨の中を1人で1.0Xに乗って走ってみよう。

動き出しは冷却水温が低いことを示すランプが点灯中であったことから、ゆっくりと走ることにした。その時の音はゴロゴロとしたVitz 1.0と同様のものが感じられ、やはり3気筒エンジンは騒々しいと思いながらしばらく穏やかに走ってクルマを温めた。エンジンに負荷を掛けないように気を遣って走っても60km/hぐらいまではすぐに到達し、街乗りで1.0Lというハンディを特に意識する必要はなかった。

1.0Xはとても細いタイヤ(165/70R14)を履いているので、濡れた路面でのグリップが満足できるものなのか確かめてみた。まずは交差点を曲がる際にちょっと速い操舵をして横Gを急に掛けてみたが、意外にもあっさりと駆け抜けてしまった。ローリングは大きくてしっかり感は薄いものの、動きに特に問題はなかった。次にフルブレーキングを踏んでみたが、ABSが顔を出すまでにかなりの減速Gが発生し、なんら不足を感じることはなかった。

タイヤのテストをしている間にエンジンやトランスミッションが温まったはずなので、全開加速を試してみることにした。前述のように普通に走れば60km/hぐらいまでは気がつかないうちに出ているのだが、30km/hぐらいから意図してフルスロットルにして80km/hに達するまでの時間はかなり長く感じられた。他車の流れに乗ることは容易なのに、自転車や原付などを追い越そうとすると途端に辛くなるのはどういうことなのか。おそらく60km/hまでの緩加速には長い時間を要しているのだが、周りが一緒に動いているため、気分的にそう感じないだけなのかもしれない。

乗り味は1.3Xと同じように柔らかくて快適であった。20分ぐらい経ってふと気付いたが、エンジンの音が気にならなくなっていた。低回転でも中回転でもゴロゴロした音は意識することなく走れるので、フル加速が極めて遅いことを念頭に置いておけば、1.0Xは街乗り用としてなかなか良いのではないかと思った。街乗りでは1.0Lと1.3Lの違いはほとんど感じなかったので、実際に買おうと思うのなら、高速道路で加速の余裕を比較してみるといいだろう。また、自動車税と重量税に違いがあるので、本体の価格差6万円以外に維持費も考慮すべきである。

美しいということが愛称の由来だというが、あまり所有してワクワクするものではない。ライバルであるTIIDA LATIOが旧モデル「プラッツ」のようにハッチバックをベースにしていることが明確に感じられる不細工なスタイリングなので、それよりはマシである。まあ体面を汚さずに荷物と人を運ぶ道具としては良くできている。

 

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