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TIIDA LATIO

2005年5月

15M

CVT

153万円(税別)

TIIDAの販売が好調である。マーチをベースにして安く仕上げながら、見える部分を素人受けするように作ったことが大成功につながっている。

今回はLATIOに乗ってみた。第一印象は、スタイリングにTIIDAのようなまとまりがなく、無理やりトランクをくっつけたような違和感があった。

運転席から見える景色は当然ながら基本はTIIDA(ハッチバック)と同じで、足踏み式駐車ブレーキペダルが中途半端な位置に留まって左足ブレーキングができないことも言うまでもない。木目調パネルやシート表皮(15M)が異なるだけである。

シートにはリフターが付いているが、いつものごとく最下位にして市街地での試乗を始めた。LATIOではあまり着座位置の高さに不満を抱くことはなかったものの、ステアリングホイールが遠すぎることに違和感を持った。テレスコピック方向の調整をできるようにしてもらいたい(これはすでにVitzにも付いている装備である)。それゆえ、シートバックをかなり立てて運転することになった。

混雑した街乗りでは静かな走行を可能にするのがCVTの良いところである。通常は3000rpmも回さずに走ることができるので、エンジン音はほとんど聞こえない。CVTのかすかなシャリシャリ(チリチリ)音が聞こえるだけである。

一方、急加速をする場合はかなり室内に音が充満する。フルスロットルでは5500〜6000rpm弱で徐々にエンジン回転数が高まっていくが、あまり心地良い音はしない。速度の乗りは1.5Lとしてはまあまあ良いのではないだろうか。基本的には全開加速時の快適性は考えられていないようである。

シートは低反発性クッションを採用しているというが、あまり体に馴染まず、フィット感はいまいちであった。表皮の手触りもあまり高級感はなく、TIIDA 15Mのような合皮とのコンビネーションのほうが良かったと思う。また、シートのセンターにラインが通っていることにより、ステアリングホイールがセンターからずれていることが判明した。エンジンルームを極力小さく設計したことのツケがこういうところに回ってきたのだと思う。

乗り味は、路面の変化を拾って常に細かく揺すられている感じがして、快適といえるものではなかった。リップルコントロールなどという機構がダンパーに付いているらしいが、どういう役目を果たしているのか分からなかった。だいたいVitzと同じ類の安っぽい乗り味であった。

ステアリングは、微小舵角であっても戻りたがる力が強く働き、違和感を抱いた。電動パワステの味付けはTIIDAと変えられているのかもしれないが、いずれにしても気持ちの良いものではなかった。

さらに、TIIDAで認知しなかった発進時の急な飛び出し感もLATIOにはみられた。スロットルの特性も変えられているのかもしれない。

トランクは外部から開けられるようになっているのは良い。ドアロックが開いている状態では、電磁スイッチを押せば開いてくれる。スカイラインで廃止した外部スイッチをLATIOで採用しているというのはどうも理解できない。日産という会社はポリシーがないのだろうか。まあスカイラインのコンセプトをモデルチェンジのたびにコロコロと変える会社なので、統一した考えはないのだろう。

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LATIOは、街中で何も考えずに運転する人には「粗」が見えにくいと思う。しかし、クルマと真面目に対話をしようとすると、反応が普通ではない(期待とは異なる)ため、疲れてしまう。

余談であるが、MARCHのロゴが入ったフロアマットが前席でジャストフィットしていて少しショックを受けた。プラットフォームの共用というのが具体的に目に見えた瞬間であった。

2005年6月

18G

CVT

176万円(税別)

新エンジンを搭載したLATIOの試乗車が用意された。1.8Lエンジンはセレナやラフェスタの2.0Lと同じ系統(MR○○DE)であるが、1.8Lは今のところTIIDA/LATIOにしか積まれていない。

1.8LにはGグレードしか存在しない。Gは1.5Lモデルにもあるが、1.8Lモデルには特別にサイドウィンドーの下にクロームメッキのモールが備わる。外観ではそれが唯一の差別ポイントなので、LATIOユーザーにしか分からない。室内においては運転席に電動調整シートが備わる。エンジンおよびそれらの違いによる価格差は11万円である。

11万円の差額を払ってもいいかどうか、乗って確かめてみた。

運転席の電動シートはリフト、リクライン、スライドの3方向にしか動かず、前端を持ち上げる動きはできなかった。これは大いに不満である。もうひとつだけモーターを取り付けてやれば、ポジションの自由度が大いに増すのに、ケチな考え方をするものである。

Dレンジにシフトを入れてスロットルペダルを僅かに踏んでみると、動き出しは穏やかで、1.5Lモデルのような唐突な飛び出し感はなかった。トルクに余裕のある1.8Lモデルでは「子供だまし」を使わなくてもよくなったのだろう。発進してすぐにロックアップクラッチは作動し、ゆっくりと流れに乗って走る分には2500rpmも回ることはなかった。急な上り坂でも回転数を上げずに徐々に速度を高めることができ、CVTはなかなか良いものだなと改めて思った。普通に走る分にはとても静かで良い。

1.5Lモデルより30kg重いが、同じタイヤ(185/65R15)を履いているため、電動パワーステアリングの設定は変えられていないと思っていた。しかし、フィーリングは大いに異なり、違和感をほとんど覚えることがなかった。1.5L発売時から1.8Lモデルが出るまでの間に熟成されたのだろうか。

乗り心地はサイドのゴムが厚いタイヤを履いていることから穏やかなものであったが、1.5Lモデルのような細かい揺れはほとんどなかった。こちらも熟成期間の賜物なのだろうか。それともボディの重さが功を奏したのか。マークXのひどい乗り味を体験した荒れた路面も走ってみたが、尖った突き上げはなく、穏やかに乗り越えてくれた。

フルスロットルの加速も試してみたところ、やはり1.5Lよりも明らかに加速Gが強く感じられた。音はさほど大きくならず、なかなか良かった。

簡単な試乗での感想を述べると、11万円の差額は払っても損はしないと思った。

最後にTIIDA/LATIO全般に注文をひとつつけると、着座位置を20〜30mm下げてもらいたい。営業車仕様以外には全車にリフターが備わるのだから問題はないはずである。現状ではフロントガラス上部の青い帯(トップシェード)が通常の視線の中に入り、目の前がとても暗いのである。夜間走行で問題になるかもしれない。

LATIO 18Gはクルママニアには受けないが、クルマにこだわりのない人が定年退職の記念に買うのはいいかもしれない。もう少し上級のものが欲しいというのなら、まもなく出てくるシルフィ(ラフェスタと同じプラットフォームを使用)を待つのもよいだろう。これにも同じエンジン(MR18DE)が載るらしい現実にはマーチと同じプラットフォームにMR20DEが載った。

 

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