VAPOR LOCK
「ベーパーロック」という言葉を聞いたことはありますか? ほとんどの人は免許を取るときの教科書や更新時にもらう交通の教則本、あるいは運転技術の本などで読んだことはあるでしょう。 それは、ブレーキの使いすぎで過熱のため効かなくなるというヤツです。 しかし、実際に体験した人は、そう滅多にいないんじゃないでしょうか。 ベーパーロックは以下のように起こるのです。 --------------------------------------------------------------------------------- 学生の頃、トヨタディーラーの店で中古車(S58年式)を買ったとき、ブレーキ液は新品(無論DOT3)に交換済と聞いていたので、ブレーキに関しては1年間は心配無用だと思っていました。その時の私の考えは、フレッシュなDOT3の沸騰(←これがベーパーロック)のタイミングと 純正ブレーキパッドが フェードするタイミングとを比べたら、フェードのほうが早く起きるものと信じていたため、フェードを感じたらゆっくり走ると良いと思っていたのです。その車のブレーキは真空倍力装置(バキュームブースター)が付いていないという化石のような設計(レース車両にもついていないが)で、街乗りでも力をこめてペダルを踏まないと十分な制動力が出ないという代物でした。クルマはスタンダードグレードのノーマル車だったので、当然の如く鉄ホイールを履いていました。それに乗って信州に旅行に行った折、買って間がないので嬉しくて友人と2台で競争するように山道(下り)を全力(スロットル全開⇔フルブレーキ)で走って遊んでいたのです。1.3Lのノーマルエンジンではさほどスピードは出なかったので、あまり効かないブレーキでも全力で踏むと何とか減速できていました。しかし何回も全力で踏んでいると足が疲れてきて、フェードを感じることができなくなっていたのでしょう。10分ぐらい走って下りの右カーブ(ガードレールの向こうは谷)へのアプローチ、減速しようとブレーキペダルに足を乗せたところ…まったく反力がないままペダルは床まで到達し、減速感ゼロ。次の瞬間「抜けたぁー」と叫んでいました。同乗者がいたので かなり焦りましたが、比較的緩いカーブだったのが幸いして内側後輪を派手に浮かせながら何とか曲がることができ、大事には至りませんでした。停車してブレーキを冷やしてから、念のため同乗者は友人のクルマに移ってもらいました。沸騰したブレーキ液は冷えると気泡は消え、制動力は戻りましたが、その後はおとなしく走ったのはいうまでもありません。 べーパーロックの恐ろしさは経験してみないと絶対に分かりませんが、こんな体験は二度としたないものです。 ここではベーパーロック経験者から安全のために提案をしたいと思います。次の3点を考慮してみてください。
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