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PREMACY

20S

4AT

16インチタイヤ装着車

 

196万円(税抜)

ファミリアをベースに3列シートを設定し、6/7人乗りを実現した初代プレマシーであったが、あまりにも狭く、後発のストリーム、ウィッシュなどに対してまったく歯が立たない状態になってしまった。

そこで2代目はファミリアよりも一回り大きくなったアクセラをベースに仕立てたというので、どのようなものなのか乗ってみた。

【運転席にて】

運転席に乗り込んでみると、全体的なデザインはアクセラと似ている。ステアリングホイールは前後&上下に動かすことができ、シートも上下に動かせるので、ポジションの自由度は高い。アクセラベースであるため、良いところは継承している。

アクセラと車体の幅は同じでも、高さが150mmも増しているため、かなり広々と感じた。シートはやや硬めの設定で、走る前からアクセラ譲りの走行性が期待された。

ATをDレンジに入れて動き出すと、いきなりドカンと飛び出して驚いた。アクセラより220kgも重いため、スロットル設定を敏感にして鈍重な動きをカバーしようとしたのかもしれないが、このセッティングは最低である。このような客をバカにしたやり方は許容できない。ATのギア比(ファイナル)も低くなっており、力不足を補おうとしているようであるが、4段ATではちょっと無理がある。

今回の試乗コースは箕面の山を選んだ。

山に入るまでの一般道では、ザワザワという発生源の分からない騒音が室内を満たし、何となく気分が悪くなった。信号で停止しているときの静かさは格別なので、走行時との差が大きく感じてしまうのであった。

山に入ると、珍しく猿が多く出ていたためクルマを停めて見ている人が多く、工事中の区間もあったため、満足に走ることができなかった。したがって、今回は観光速度で走ったときのフィーリングだけしか述べられない。

ステアフィールは、すっきり味のアクセラとはまったく異なり、路面感覚を伝えてくれない曖昧なものであった。切り込んでいっても重さがほとんど変化せず、戻していく方向にも力が必要だと感じる(実際は舵角60度ぐらいまでは自動復元する)奇妙なものであった。特に舵角が60度ぐらいからセンターまで戻すときは運転手が自分で力を入れてやらなければならないのは違和感がある。どうしてこんな変なことになってしまったのだろう。

山道で左右に頻繁にGが移動する状況では、ロール角は大きくないのになんだかフラフラするのが気になった。シートが悪いのかボディが悪いのか分からないが、アクセラがベースとは思えないぐらいの気持ち悪さであった。

エンジンは3500rpmをちょっと越えたあたりで突如として元気になるのが気になった。スロットル開度を変えていないにもかかわらず、急に加速Gが高まるのは気味が悪い。日産のようにもっと低速トルクを重視したセッティングにするほうが良いと思う。

ATの自動変速は滑らかで、ダウンシフトもとてもスムーズであった。また、メーター内に現在のギアを示してくれるのはとても良い考えであると思った。他のモデルにも是非採用して欲しい。

【2列目にて】

途中で販売員と運転を交代し、2列目に移動した。このとき、一旦クルマを降りてスライドドアから乗り込んだ。

車内での移動はいちおう可能なのであるが、障害物を避けながら歩かなくてはならず、なかなか大変なのである。障害物を挙げると、1列目の左右移動時はシフトレバーの箱、1列目と2列目の間は肘掛と駐車ブレーキレバー、2列目と3列目の間は肘掛(センターシート用背もたれ)というふうに、ほとんどすべての移動に苦労を強いられるのである。

2列目のシートはなかなか出来が良く、1列目とさほど変わらない乗り心地を示してくれた。横Gが頻繁にかかる山道では、肘掛がセンターにしかないことに不満を持ったが、ドア側にはスライドドアゆえ出っ張りを作ることができないのである。普通のドアとスライドドアは一長一短があるということを初めて知った。シートに肘掛を埋め込んでおくことはできないのだろうか。

ザワザワした騒音はなぜか感じられず、フロントタイヤもリアタイヤも遠くに存在するため上下動(ピッチング)も大きくなく、2列目がプレマシーの最上の席であることが分かった。

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高さが1.6m級の6/7人乗りファミリーカーはスライドドアを持つことがファッションのようで、アイシス、ラフェスタが先行している。プレマシーがそれらに対して持っているアドバンテージは何だろう。

アイシスを見たことがないのでラフェスタと比べるだけであるが、2列目シート自体の出来はプレマシーのほうが良い。それ以外はリアにディスクブレーキを備えていること、2列目のセンターシートが収納式であること及び3列目を分割して倒せる機能を持つことぐらいがプレマシーの売りものである。

このような種類のクルマを買う人がどういう趣向を持っているのか分からないが、ニーズに対応すべくトヨタ、日産、マツダがそれぞれの提案をしているのは面白い。

今回は走る機能に関してベース車(アクセラ)との違いの大きさにいささか驚いた。日常の走り味を気にする私にとってはラフェスタのほうが好みに合っていた。

PREMACY

20C Limited

4AT

1,828,572円(税抜)

初めて2代目プレマシーに乗ったときの印象は上記のとおり芳しくなかった。そこで、もっとスポーティな設定がなされていると想像できる23Sに乗ってみようと思って店を訪れた。しかし、試乗車は限定車の20Cリミテッドであった。

これは20Cをベースに15インチアルミホイール、HIDランプ、黒いインテリア色などを装備したモデルである。ベース車の価格は176万円なので、装備を考えるとお買い得な設定なのかもしれない。

今回は、短距離ながらカーブの連続する道を走ってみた。そこに至るまでの道での感触は前回の20Sと異なり、ベース車のアクセラと同じ類のステアフィーリングが認められた。20Sと20Cに車両として大きい差異はないと思うが、個体差があったのだろうか。

カーブを勢いよく走ったときのフィーリングはなかなか良好で、とても安心してタイヤが鳴るまで攻め込むことができた。195/65R15というサイズゆえ捩れが大きく限界が低いので、扱いやすかったのである。コーナーリング速度は同サイズのタイヤを履くVW GOLF4よりも圧倒的に高く、リアの安定性も良く、サスペンションの設定は優れている。また、シートのホールド性がとても良いことも安心してカーブに入っていける要因であった。ただ、上り坂ではフルスロットルを維持し続けても速度の乗りがいまいちであった。

クルマの基本的な性能は良いのであるが、走行中に感じる騒音や路面からの情報伝達の仕方には注文をつけたい。走っているときの音と止まったときの音のギャップがあまりにも大きいことは20Sのほうにも書いたが、防音や遮音をもっと考える必要がある。路面情報も芸のない伝え方をしてくるので、もっとうまくいなすことを考えるべきである。とにかく安っぽいということが目に付く(体感する)のである。事実安いので文句を言うべきではないのかもしれないが、10万円高くなってもいいので、質感を上げて欲しい。味の良いクルマになるのなら10万円ぐらいで誰も文句は言わない。

試乗車には電動両側スライドドア(オプション:13万円)が装備されていた。これは運転席のスイッチによって左右のドアを開閉できる便利なものである。車両が停止してさえいればドアは開閉でき、そのときにギアポジションがDであってもサイドブレーキが引かれていなくても関係はない。とにかく止まっていればドアは動く。安全を考えるとそれでいいのかなと思うが、駅のロータリーで素早く乗り込んで素早く立ち去るという状況を想定すると、これも仕方がないのかもしれない。

マツダのクルマは依然として安物臭さを感じてしまう。フォードグループの中で大衆車を扱う位置付けなのでどうすることもできないのだろうか。見てくれはともかく、走り味だけでも質の高いものにしてもらいたい。

 

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