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LAFESTA

20S

CVT

177万円(税別)

 

電動スライドドアは10万円(税抜)のオプション

これはプレーリーの後継だという話であるが、いまだに売れているストリーム、ウィッシュのマーケットに遅れ馳せながら殴り込みをかけようというものである。

外観のデザインはウェストラインが低くてガラスが大きく、側面は垂直に近く立っているので、ライバルと比べるとあまりスポーティなものではない。女性ドライバーをターゲットとした使いやすいファミリーカーとして作られたのだろう。

今回、日産のお店を訪問した際に販売員がしきりに「エンジンを試して欲しい」と言って試乗を勧めてくれたので、一回りしてみることにしたのである。

ラフェスタに載るMR20DEは、日産の直列4気筒の新しい二本柱の一つで、レギュラーガソリンで200Nmのトルクを発揮する優れものである。

運転席に座ってみると、運転姿勢では頭上のガラスルーフを見ることはできないが、室内の明るさは格別で、とても快く運転できるのではないかという予感がした。

動かしてみると、まずはハンドルの重さに強いインパクトを受けた。ラフェスタは女性ドライバーが主なユーザーになると考えて作られたと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。電動パワステの違和感を消したかったのかもしれないが、なんとも奇妙な感触であった。また、ATのセレクタのパワーアシストにも違和感を持った。電気スイッチにすれば何ら問題ないのに、変なところに拘りを持っているのは不思議である。

国道へ出てスロットルを少し開けてみると、エンジンはシャラシャラと軽い音を立てて回り、なんとなく内部の抵抗が少ないエンジンであることを想像させられるものであった。発進時のトルコンへの依存度合はTIIDAと同じように小さく、スタートダッシュは得意ではないが、効率の良さそうな設定がなされていた。スロットルを開いてもあまり回転数を上げないようセッティングされているので、普通に走るのなら2000rpmキープでいける。

ちょっとした登坂(インプレッサでは通常2速3000rpmで走り、3速2000rpmではちょっと苦しい道)においてもラフェスタは2000rpmキープのまま走ることができ、低速トルクのあるエンジンが上手に生かされているのが分かった。平坦路を60km/hで走るとエンジン回転は1300rpmぐらいでしかなく、「5.96」という驚異的な変速幅を持つCVTを上手に使い燃費を稼ごうとしていることが感じられた。おそらく100km/hでは2000rpmぐらいだと思われるので、高速道路での燃費はとても良いと想像できる。

乗り心地はしっかりしており、カーブでもロール感は少なく、TIIDAとはまったく別の次元の心地良さがあった。「TIIDAが150万円なら安い」と述べたが、もう少しだけ足せばもっと快適な乗り味が得られることを知った。ラフェスタの乗り味は、外観の印象と大きく異なり、運転席では普通の乗用車として扱ってもよい感触であった。子供の送り迎えのために動かす主婦の乗り物ではなく、むしろ走りを楽しむ男性向けではないかと感じた。

2〜3列目に乗って走行をすることはなかったが、停車中に座った限りの感想を述べると、背もたれが極端に小さく、ヘッドレストが適正な高さに上がらないことに不満を感じた。2〜3列目の乗員としては小柄な女性や子供しか対象に考えていないようである。セレナでは3列目までしっかりと座ることができたが、ラフェスタは明らかに1列目優先で作られている。日産は「日常で乗る人数を考えてクルマを選んで欲しい」という戦略を持っているかもしれない。すなわち、ラフェスタは2人乗りのクルマなのである。2列目はめったに使わず、3列目は常に倒して平らな荷室にしておくのがよい。

夫婦だけの世帯でラフェスタを選ぶというのも悪くないと思う。いや、2.0Lエンジンのクルマで15km/Lという燃費を誇る経済車であり、しかもTIIDAよりも運転手を楽しませてくれるので、男性がドライブのために積極的に選んでもいいとさえ思う。ただし、前述のとおり2、3列目は大人が乗れないシートなので、4人家族で使うことはおすすめできない

Highway STAR

CVT

203万円(税別)

 

 

電動スライドドア、インテリジェントキー等は13万円(税抜)のセットオプション

 

ハイウェイスターとは何か、というのをプレサージュに続いて体感してみよう。

外観はエアロパーツ が存在するというのが売りのようであるが、特に役に立つようなものではなく、並べてみれば「違うんだな」という程度のものである。ちょっとした差別化がオーナーの満足度を高めるのだろうか。

タイヤサイズは専用の195/60R16(直径640mm)である。ノーマル車は195/60R15(615mm)を履いているので、単純にホイールサイズの1インチ分だけ 外径が大きくなっている。ラフェスタにとって最適なサイズとはいったいどれぐらいなのだろう。なんとも不思議な設定である。まあこれはラフェスタだけではなく、レガシィやアテンザにも同様の設定があり(215/45の17または18を履くモデルがある)、疑問は解決しない。なお、ノーマル車でも195/60R16を選ぶことができるというのも疑問に輪をかける。ただ、タイヤ交換の際には195/55R16(620mm)、195/65R15(635mm)、195/70R14(630mm)など、いろいろなサイズのもの を選択できる(メーカー指定ではない)というのはユーザーにメリットがあるかもしれない。

今回の試乗コースは家の近所に限定されていたので、極力通らないようにしている凸凹の激しい路面(下水工事の埋め戻しで路面が盛り上がっていたり、マンホールは飛び出しているものもあればへこんでいるものもある)を走って乗り心地を確かめてみた。専用チューニングされているという脚は、特に何かを感じさせるものではなく、適度に凸凹をいなしながら難なく走ることができた。路面がタイヤを叩く音が室内にこもるのは少し気になったが、価格を考えればこんなものなのかもしれない。

電動パワステは車速や操舵量によって操作感が大きく変化し、とても違和感が強かった。日産が使用している電動パワステの中にはもっと違和感の少ないものがある(シルフィ)ので、ラフェスタ用の部品もアップデートして欲しい。

ステアリングシフトは今回は使わなかったが、高速道路や山道でのエンジンブレーキ利用時には便利に使えるはずである。

アルミペダルは単なる飾りであるが、ゴムペダルのようにパッドの角が磨り減らないのがいい。ただ、滑り止めの箇所が減ったらどこまでの部品を交換することになるのだろう。

ラフェスタは1列目はなんとかまともに座れるが、2列目と3列目は大人が座れるシートではないので、実質的に「2人乗り」のクルマと言える。ガラスルーフはシェードを開けると確かに室内は明るくなるが、残念ながら1列目の人にはほとんど恩恵はない。2人家族でラフェスタを買う家庭はあまりないかもしれないが、どうしてもラフェスタが 欲しいというのならば、ガラスルーフは装着しないという手もある(7万円安)。2〜3列目に座る子供を喜ばせたいと思う向きはガラスルーフを装着するといい。

決して外観がカッコイイと言えないラフェスタにちょっと手を加えてハイウェイスターというものを設定しているが、何をしても格好が悪いことには変わりはない。些細な差別化をするだけで喜んで客が買うのだろうか。その心理はよく分からない。やはりラフェスタもプレサージュと同様に何がハイウェイスター という名を表しているのか理解できなかった。

ノーマル車でも意外にカーブでの姿勢が安定しているし、乗り味は悪くないので、無用な装備で高価格を設定するグレードを選択する必要はなく、20S-P(178万円)でいいのではないか。

 

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