----------------------------------------------

FAIRLADY Z

初期モデル

Version T

5AT

340万円(税抜)

十数年の歳月を経てZがフルモデルチェンジし、Z33が発売されたので乗ってみた。

Ver.Tは革シートを備えたTouring用モデルである。ブレーキキャリパはシングルピストンのフローティングタイプであり、ローター径は296mmで16インチホイールも装着できるぐらい小さい(17インチホイール装着)。見た目は貧弱であるが、街乗りでは効きに問題はない。実質的に何ら不満はないが、AT車には brembo のキャリパを装着することはできない(初期モデル)ので、せめてZ32に付いていた住友電工の4PODキャリパを付けるなど見た目の違いを少なくする配慮もあるといい(AT車にbremboをつけている人がいた/2003年1月、渋谷にて)

V35スカイラインではライバルに備わる様々な技術や装備を取ってきたが、Z33はドアを開けたときにガラスが10mm程度下がるというBMWの装備を採用した。真似は情けないものの、これは実用的で良い。2ドア車はドアが重いので、スマートに閉めようとすると半ドアになりやすいということがようやく分かったようである。

クルマに乗り込むと、着座位置はZ32よりかなり高く設定されており、前方視界は良く、車幅も分かりやすい。シートはとても小さく、日産車にしては(GT-Rを除く)サポートが強いタイプで、常に締め付けられて窮屈である(インプレッサより狭い)。脇を締めるのは良いが、肩甲骨をサポートするショルダーサポートはどうも具合が良くない。AT車はそんなに強いサポートは要らないので、大きく体を包むような形状のシートを付けてもらいたい。座り心地はソフトで悪くない。

走り出すと、VQ35DEエンジンはスロットルペダルを少し踏んだだけで反応し、ポンッと飛び出してしまう。BMW 330iに比べれば我慢できる程度であるが、もう少しだけ穏やかな発進ができるよう改めてもらいたい。スロットル操作を繊細にしないとスムーズに動かすことができないクルマは、渋滞の多い街乗りでは疲れてしまう。エンジン音は豪放で、あまり調律されたものではなく、心に響くものではなかった。しかし、アメリカンV8を模したVG30DETTの音よりはマシになっていた。低い速度で2ndギア固定でフルスロットルにすると、低回転域から太いトルクで加速していき、ピークを感じずフラットに回っていく。刺激はないが、速さは充分である。カタログで見ると左右のバンクから排気が集合する部分の形状が非常に悪いので、その部分のマフラーを変えれば、さらにエンジンのフィーリングや音が良くなるだろう。チューニング屋さんからすぐに排気系部品は出てくるはずである(すでにトミーカイラは綺麗な排気管を採用している)。

脚はV35スカイラインセダンより硬めであるが、突き上げはなく、街乗りにちょうど良い。V35もこのぐらいの設定にしてもらいたいものである。そして、Z33はもっと硬くてもいい(そういう人に向けてBILSTEINやNISMOのオプションあり)。ステアリングのフィーリングは良好で、ギア比も適当と感じた。Z33はV35セダンとステアリングギア比が同じであると聞くが、V35セダンで感じたようなステアリングギア比が異常に速いという違和感はまったくなかった。硬いサスペンション設定とのバランスが良いのだろう。

Z33は運転を楽しむクルマなので、おかしなことを言うかもしれないが、室内に小物入れの類が少ないのは不便である。ドアポケットは使い物にならないし、ドリンクホルダも使いにくい。車検証が入る程度でいいのでグローブボックスも欲しい。不便なところまでPORSCHEを見習う必要はない。

ちょっと乗っただけであるが、Z33は300万円のクルマとしてはよく出来ていると感じた。

FAIRLADY Z

初期モデル

Version ST

6MT

360万円(税抜)

bremboのブレーキを備えたMTの試乗車があったので、Ver.Tと比べるために乗ってみた。

フロントブレーキは直径324mmのローターを持つ。これは17インチホイールを履くインプレッサSTI(GDB)のローターよりわずかに小さい。したがって、17インチを履くことは可能と思われるが、見てくれを良くするために18インチタイヤが装着される。

室内の意匠はVer.Tと同じであり、窮屈な小さいシートが備わる。AT車にはゆったりとしたシートが欲しいし、MT車にはR34GT-Rのような肩を覆う形状のしっかりとサポートするシートをつけてもらいたい。運転席と助手席のシート形状を変えるという中途半端な小細工をするよりも、AT車とMT車で意匠を変えるほうが良いのではないかと思う。MTのシフトレバーはガッチリとした硬いフィーリングで、気合を入れて操作しないとうまくいかない。しかもタッチが硬いわりにストロークが大きいのは変な気がする。街乗りではインプレッサSTIと同様にちょっと疲れる。スポーツ走行時には良い具合になるのかもしれないが。。。また、クラッチペダルの重さは37kgmのトルクに対して妥当だと思われるが、渋滞ではやや辛いかもしれない。コストをかけられるのなら、GT-Rのようにブースターを装着して軽い踏力で操作できるようにしてもらいたい。

ATと組み合わせたVQ35DEは、荒っぽさがなくて使いやすいエンジンであったが、MTとの組み合わせになると感じが変わる。大排気量らしく踏めば踏むほどトルクが湧き出し、パンチがあってとても頼もしい。フルスロットルでの加速はスタートから3rdギアの途中までしかできなかったが、威勢のいい排気音とともにかなり速く走る。トルク特性はフラットで、回転リミッタは6500rpmで働く。MT仕様はもう少し高回転まで回って欲しいが、280馬力規制の中では最適なセットアップがなされているのだと思う。AT車では分からなかった低回転域の特性を調べるために4thギアで1500rpmで走ってみたところ、スナッチが起きているような振動を感じて「低回転はダメなのか」と思ったが、スロットルを少し開いてみると、グイグイっと加速した。実際には1500rpmという回転数は充分使える範囲なのであるが、V型6気筒の持つ振動特性、排気音などが入り混じって嫌な音を発生させていたのだと考えられる。

脚回りのフィーリングはVer.Tとかなり違う。サスペンションはおそらく全車同じ設定のはずだが、Ver.STでは路面からの突き上げがかなり大きく感じられた。見てくれだけのために採用された18インチが重すぎるのかもしれない。ブレーキに干渉しない17インチホイールに替えるか、18インチを履くなら軽量ホイール(例えばOption設定のRAYS製)にすれば解決するだろう。

ブレーキフィーリングは、「さすがにbremboだ!」という感動は残念ながらなかった。雑誌に書かれているように、街乗りでのフィーリングは普通のシングルピストンキャリパのブレーキと大差はない。パッドが悪いだけかもしれないが。。。サーキット走行をすれば、ローター容量が大きいため限界は高いと思うが、日常走行においてはbremboキャリパの優位性は外見だけである。

FAIRLADY Z

ROADSTER

2005年9月 M/C後

Version T

5AT

422.1万円(税込)

2005年9月にマイナーチェンジが入り、内外装の意匠の若干の変更と脚の設定変更を受けたZ33。実質的な部分を挙げると、ホイールは全車18インチになり(デザインが変わった)、ブレンボではないブレーキのサイズが大きくなり(296mmからFUGAと共通の320mmへ)、ダンパーの設定変更によって乗り味が改善されたという。変更点が多いので、残念ながら価格も上がってしまった。

試乗車は Version T のロードスターであったので、まずはソフトトップの開閉を試してみた。作動させるにはブレーキを踏んだ状態を維持しなければならず、ポルシェのように走りながら動かすことはできない。幌は収納するための専用のボックスがあるので、それを開け閉めするのに時間がかかり、一行程を終えるのに約20秒待つ必要がある。わざわざ複雑な機構を取り入れたのは、ライトウェイトスポーツカーのような軽さよりもオープン時のスマートな外観を保つことが重要だと考えたからなのだろう。

12月の夕暮れ時はとても寒くなっていたので、残念ながら幌を閉じてから走り出した。Z33に乗るのは3年ぶりで、ロードスターに乗るのは初めてなので、従前と比較することはできないが、渋滞路で感じたステアリングの滑らかなフィーリングとスロットルの穏やかな反応はとても心地良いと感じた。ATのシフトフィーリングも良好であり、路面の変化も上手にいなし、2000rpmシフトでそろりと走るときにはまったくの乗用車感覚であった。ただし、遮音性は意外なほど良くなく、窓が開いているのではないかと思うほど車外の音は筒抜けであった。今まで乗った幌型のクルマでそんなに気になることはなかったので、もう少しスマートに乗れるよう考えてもらいたい。また、ベース車であるV35スカイラインのステアリングホイールにはテレスコピック機構が付いたが、Z33には付いていない。どういう訳か知らないが、早く対処して欲しい。

前方に空きができたのでスロットルを深めに踏んでみると、ゴロゴロバラバラという排気音を立てながら豪快な加速をした。エンジンの味付けは初期モデルと変わりがないようで、同じVQ35を積むFUGAとはまるで別のフィーリングであった。Z33専用の野蛮なアメリカンフィーリングは楽しいものである。

ちょっとした曲がり道でやや高めの速度で走ってみると、クルマ全体のしっかりした感触は十分なものであることが分かった。脚が柔らかいため、車体の剛性感を掴み取るのは難しいが、BMW Z4より全体的にややソフトな乗り味であった。強めのブレーキングも試してみたが、踏力に対する減速の度合いが強力すぎて、慣れるまでは唐突なブレーキングになってしまうことに違和感を抱いた。BOXTERほどの踏力が要るのでは日常で疲れるが、もう少し幅を持たせたフィーリングを望みたい。

Z33はサーキットのスポーツ走行が似合わないクルマになり、2by2も消滅したので、どうせ乗るならクーペより50万円高いがロードスターを勧めたい。ロードスターではATモデルがVer.TとVer.STにしか設定されない(標準車にはMTしかない)のが残念である。Tipシフトでのロックアップ領域が広いということから、ATでも走りを楽しむことが可能と思われるので、全グレードにATを設定して欲しいのである。

ELGRAND

M/C前

V

エルグランドは、日産の店舗間の移動に使っただけである。

このような大きいワゴンに乗るのは初めてで、運動性能が低いのではないかと心配していたが、何ら問題なく、普通に走った(当然といえばそうであるが)。

脚回りは柔らかく、試しにセンターラインに埋め込まれている突起を踏んでみても、衝撃はソフトにいなしてくれた。その分ローリングは大きいが、不満はない。ステアリングのパワーアシストはとても強く、据え切りも簡単にできるため、大柄なボディを力を入れずに自在に操ることができる。スカイラインやフェアレディZと同じVQ35エンジンは36kgmのトルクを低回転で発生するので、力強くクルマを推進してくれる。5段ATも滑らかで、安楽な移動をするには適当である。ただし、Tipシフトの方向にシフトレバーを動かしたとき、ロックアップクラッチが解除されるのはダメである。

運転手は楽しくないので、セカンドシートに乗せてもらうのが一番良いだろう。

 

戻る

 

inserted by FC2 system