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Z4

2.5

5AT

450万円

Z4は写真で見るだけではボディの面が奇妙に映ったが、実物を見るとなかなか良いデザインだと感じた。形それぞれに一応意味があるというのが分かる。

乗ったのは2.5Lエンジンを積んだモデルで、オプション装備として革シート、電動ソフトトップ、17インチホイール、225/45タイヤが装着されていた。

BMWに乗るといつも思うことであるが、シートの高さ調整の幅が大きいのが便利である。ステアリングホイールも前後・上下に動くので、サーキット走行から街乗りまで自在に運転姿勢を選ぶことができる。

このクルマには面白い装備がある。スポーツモードのスイッチを入れると、電動パワステはアシスト量を減らし、スロットルはペダル移動量に対するバルブ開度を大きく素早くし(M3にも同様の装備あり)、ATはエンジンを高回転まで使うように(シフトレバーをDsにするのと同じか)スケジュールを変更するという。

まずは「SPORT」を選ばずに動かしてみる。ステアリングは軽く、とてもスムーズに回ってくれた。発進のギアは通常2速が選択され、スロットルの反応はリニアで、E46セダンのようなスロットルバルブの悪い癖は消されていた(3.0iも同様であればいいが…)。深くスロットルペダルを踏み込むと1速にダウンシフトして素早い発進加速が得られる。速度を上げるとステアリングの重さが大きく変化するのが明確に分かった。さすがに電動パワステは自在にセッティングできるようである。

カーブの多い道へクルマを進めて「SPORT」ボタンを押してみると、ステアリングがずっしりと重みを増した。ATは低いギアを選択してエンジン回転は高まり、デュアルパイプマフラーが高らかに吼えた。排気音は音量、音質ともにE46セダンと同じような感じであった。

「SPORT」ではあまりにステアリングが重いので、タイトターンが多い道では繰り返し操作するのがちょっと辛い。高速ワインディング路で使うのが適当だろう。山坂道を景色を見ながら楽しんで走る程度なら「SPORT」を押さず、軽いステアリングを回し、Tipシフトを使ってエンジン回転をコントロールするというのがよいと思う。

今回、PORSCHE BOXTERで走ったコースと同じ道を辿ったのであるが、BOXTERと比べると車体のしっかり感にかなりの差を感じた。BOXTERは屋根(モノコック構造の一部)がないことを全く意識することなく走ることができたのに、Z4は明らかに一般的なオープンカーに備わる独特の乗り味を感じさせられるのであった(ふと、ユルユルのCappuccinoを思い出してしまった)。それでも、Z4はロール感が小さく、乗り心地がソフトで、ステアフィーリングも良く、コーナーリングが楽しいBMWの味は出ていた。また、Cappuccinoで感じたリアタイヤの近くに座るという違和感(操舵輪が遠く感じること)も無かった。

信号待ちの間にソフトトップを開けてみると、モーターによる作業は約10秒で完了した。2.5iに標準の手動式ソフトトップは、閉める(ロックする)時にとても強い力でレバーを内側へ引っ張る必要がある(外側から押してくれる助手を雇いたいと思ってしまう)ので、電動トップのオプションは是非装着したい。

走行中はトップを閉じたままであったので、Z4にスポーツカーの運転の楽しさという価値を見出すことはできなかった。操縦だけを考えれば、E46セダンのほうが走りは楽しいと思う。ただし、Z4にはオープンカーという最大の特徴がある。これを生かせる環境にある人は乗ってみると良いかもしれない。

 

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