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MARK X

250G

S Package

Relax selection

試乗車は16インチ

(18インチホイールはオプション)

299万円(税込)

マークXが第二世代になった。プラットフォームは初代と同じ(すなわちZERO CROWN)で、それを熟成したという。外観はカッコ良くしたというが、フロントマスクは平板な感じでなんだかカッコ悪い。クラウンに似た最近のトヨタ流のフロントフェンダの形状とうまくマッチしていないように見える。

運転する前に試乗車をちょっと観察してみたところ、フロントグリルにXのマークがなかった

リラックス・セレクションというのは、助手席に電動調整が備わるのが特長であるという(どういうこと???)。それはスライドとリクライ ニングだけの調整ができるものあり、初代のノーマル250Gにさえ備わっていた高さ調整は省略されてしまった。悲しいコストダウンである。そして、リラックス・・・ではないモデル、すなわちノーマルの250Gでは、助手席電動シート は廃止されて手動になった。これには参ってしまう。私は初代マークXを見て「助手席の乗員が差別されていないのはいい!」と喜んだのに、そういう人はあまり多くなかったのか。本当にそれが一般の意見なのだろうか。

サンルーフ付きの試乗車のリアシートに座ってみると、頭上空間にあまり余裕がなく、髪が天井に触れた。全高は1435mmもあるのに困ったものだ。そう思ってサンルーフのない展示車(標準タイプ)に乗り込んでみたが、なんと ! 同じだった。サンルーフが格納される部分は天井の途中で終わり、後半部分(後席頭上)は屋根の鉄板に近いところまで持ち上げてあるのは気が利いているといえる。しかし、元々が低いのでは話にならない。

トランクを開けてみると、奥行がかなりあり、率直に広いと感じた。そして、初代にあったゴルフバッグの積み方の指南書(ラベル)は2代目には見当たらなかった。 つまり、あまり工夫しなくてもゴルフバッグが入れられるということだろう。

Sパッケージには黒い内装 、滑りにくいシート生地、黒い木目などが備わっている。それに対して標準タイプでは明るい茶色の内装、さらっとしたシート生地、茶色の木目になり、ちょっとオジサン臭いが明る いイメージになる。個人的には真っ黒は嫌いなので、標準タイプのほうに魅力を感じる。

2代目の250Gの標準タイプには16インチタイヤが標準設定となり、どいうわけかSパッケージも同じサイズを履く。試乗車を見たとき、標準タイプかと思ったのに、それがSパッケージだと聞いて 目を疑った。18インチはオプション(10.7万円)というのだ。初代のSパッケージは18インチホイールが標準設定されていたのに、客からは「黒の内装が欲しいが、18インチはいらない」という声が多かったそうである。タイヤ交換代が高いからというのが理由らしいが、バカじゃないかと思う。社外品のホイール付き4本セットならタイヤ代にちょっとだけ上乗せしたら買えるし、純正の中古ならもっと安い。クラウン、GS、ISなどとも共通なので豊富にあるし、そこから16インチか17インチで揃えたらいいのだ。

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ここからは乗ってみた感想を。

ATのセレクタの横には「NORMAL/SPORT/SNOW」のスイッチがあり、まずはこれをNORMALで走らせてみた。

このスイッチはATのシフトスケジュールのみならず脚(ダンパー)の設定変更も兼ねているらしい。昔はTEMSとECTのスイッチが別々にあったものだが、トヨタでは簡単な方向(バカチョン)へ進めていくようだ。アウディやポルシェでは別々にコントロールできるようになっているのに。まあユーザー層が異なるのは明らかだが。。。

NORMALでの走りは何ら不自然なところはなく、初代とは大きく乗り味が変わった。オジン臭さはなく、すっきりとした走り味はかなり良かったと言える。

NORMALからSPORTにすると、ATのシフトポイントが若干高回転寄りになり、脚(ダンパー)の減衰力が少しだけ高まるのが分かる。これはかなり微妙で、初代のように大げさな演出はしないようになった。したがって、切替をした直後には変化を感じるが、しばらく経ってしまうと「今はどっち?」と判断が付かなくなってしまうかもしれない。

SPORTの状態で中速S字カーブにいつもよりちょっと高めの速度で入ってみると、レクサスHS250hで感じたようなふらつきはまったくなく、しっかり安定した姿勢で曲がってくれた。ブラインドカーブなので限界にはほど遠い速度ではあったものの、16インチタイヤ (横浜dB)でも何ら問題はないことが分かった。

S字カーブをフルスロットルで立ち上がると、その加速感は2.5Lとは思えないぐらいに力強かった。レギュラーガス仕様ということでパワーが落ちているはずなのだが、普通の人はこれで満足できるだろう。たぶんフルスロットルを踏む機会はめったにないはずだ。

「NORMAL/SPORT/SNOW」のスイッチの横にECOスイッチもあるが、これを押してみても何が変化するのかよく分からなかった。ECOスイッチを押さなくても通常走行時にはECOのグリーンランプがメーター内に点灯しているし、アクセルペダルをグッと踏めば力強く加速する。ECOスイッチはどうやら強制的な我慢モードではないようだ。

もう少しで店に戻るという時点で、アクシデント発生!!!

突然、マクド渋滞の列から飛び出した軽自動車に危うく接触しそうになったのだ。10cmにも満たない超接近戦にはちょっとビビッた。

その際の急ハンドルにおいて、脚が意外にしっかりしていることが分かった。

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以上のようにチョイ乗りではあったが、まったく不満のない乗り味を示してくれた。これはセダン好きの人なら第一候補になるだろう。

しかも安い。もしSパッケージを選ばなかったら30万円も安いじゃないか。でも何故だ??? 18インチが付いていないのに、どうして30万円も差があるのだろう。

250G“リラックスセレクション”
2,690,000円
250G
2,674,250円
250G“Fパッケージ”
2,380,000円

ちょっと調べてみたところ、Sパッケージにはつまらない装備がいろいろ付いていた。こんな程度なら250G リラックス・・・がいいと思う。それを確かめるために今度は標準タイプの250Gに乗ってみよう。15NOV2009

250G

Relax selection

フォグランプ、サンルーフはオプション

269万円(税込)

今朝の新聞に「250G リラックス・・・が減税対象ということで売れている」という記事があったが、なんだか変なことが書かれていて、読者に誤解を招きそうな内容であった。最近の新聞記者のレベルの低さはよく取り上げられるが、この記事を書いた人のあまりにも表面的で短絡的な思考には驚いた。誤解が生じないように、こちらに分かりやすく書いておこう

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近所のトヨペット店で話を聞くと、やはり標準タイプのリラックス・・・がよく売れているという。そして試乗車もリラックス・・・が用意されていたので、先のSパッケージと 標準タイプの乗り味を比べてみよう。

乗り込んでみると、内装はシートやドアトリムの色と素材、そして木目の色が異なるぐらいで、Sパッケージとの違いはあまりない。あとは・・・そうだ、アルミペダルとパドルシフトの有無もあるが、そんな程度 のもの。あなたはそれにいくら払えるか?

国道を他車の流れに合わせて普通に走らせてみると、静かで快適でなんら不満はなかった。これはよく出来ている。

ちょっと逸れて住宅街へ通じる急坂を上ってみると、6段ATは適切なギアを選んで穏やかに走り、ECOスイッチをONにしてみても特に変な動きは見せず、アクセルを踏めば適切な加速が得られた。

平坦路から下り坂にかけてSPORTスイッチをONにして走らせてみたが、あまりエンジン回転を高めることはなく、スロットルOFFでは1000rpmを維持しながら坂を下った。これがトヨタらしいのかもしれないが、SPORTスイッチを押したならもう少しエンジンブレーキが掛かるような設定のほうがいいのではないか。マークXに乗る人は自分でシフトダウンなんてしないと思うから。

通勤でよく通った下りの連続カーブ(30Rぐらい)で動きを確かめてみると、ロール感は若干大きいが、マンホールの蓋の凸凹による操縦性への影響はほとんどなく、乗り心地はかなり良かった。この設定はなかなかのもので、 このモデルに対して「ロール感が大きくて曖昧なステアリングインフォメーションは受け入れ難い」という人は少数派だと思う。その少数派の人であってもSパッケージなら不満を述べることはないのではないか。

復路は曲率半径が大きくて、しばらくの間フルスロットルを維持できる長い登り坂を選んだ。SPORTスイッチONのままDレンジでアクセルペダルをいっぱいに踏んで加速をすると、レギュラーガス仕様の2.5Lとは思えないほどの気持ちの良いフィーリングをここでも味わうことができた。次に 、エンジンの中回転域(2500〜3000rpm)でのフィーリング確かめるべくシフトレバーを右に倒してギアを3速に固定し、スロットルを開いていくと、あれ? 唐突に2速にギアが落ちた。なんじゃこれは!? 擬似マニュアルシフトでギアの固定ができないなんて。。。こんな不真面目なロジックは受け入れられない。困ったクルマである。「運転手が急加速を必要としている」とクルマが勝手に認知するのもいいが、そんなことをしたいのなら欧州車のようにキックダウンスイッチを設けるのがいい。それがONになった場合にだけ緊急加速が必要と認識し、いかなる状態(スイッチのポジション)であっても全力加速に移行するというのが適切ではないか。

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今回の試乗車の内装はアッシュブラウンという色であった。私はもう真っ黒に飽きたので、茶色がいいと思っているのだが、アッシュブラウンはちょっと暖かみがないので、シェルという色のほうが好みである。カタログには注文時にシェルの選択ができると書かれているので、見積書を「内装色:シェル」「外板色:アイスチタニウム」で依頼した。ところが、出来上がった見積書に書かれた内装色はアッシュブラウンだった。はて?と思って販売員に確認すると、シェルは外板が白またはシルバーに限って選べるそうな。。ちょっとそれはいただけない。カラーコーディネートとか言っていたが、プレミアムタイプならどんな外板色でも内装はシェルしか選べないじゃないか。まあそのうちに選択肢が広がると期待しよう。

総支払額を見ると安い。クルマ好きのオジサンたちに人気が出るのも分かる。 カーステレオやETCがオプションであったり、助手席の電動調整が簡素化されていたり、コストダウンはいろいろとあるものだが、この価格でこの乗り味なら文句は言うまい。果たして 、今の時代にしては珍しく注文から納車まで4ヶ月待ちという人気車になってしまった。21NOV2009

350S

352.5万円(税込)

マークXにもとうとう3.5Lエンジンが載ることになった。IS、GS、クラウンアスリートと同じエンジンを積めば 生産コストを下げられるということなのかもしれない。クラウンロイヤルには3.0Lがまだ残っているというのに。。。ロイヤルもマイナーチェンジで3.5Lに替わってしまうのだろうか。

新型では、2.5Lがレギュラーガス仕様になった(出力が低下した)ことから、ハイオク仕様の3.5Lのパワーはその56%増しとなり、かなりの差が付いた。

運転手にはそれがどのぐらいの違いとなって感じられるのか。ちょっと確かめてみよう。

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試乗車は350S。なんだか変わった呼称だ。350GのSパッケージではないのは何故だろう。トヨタの意図はよく分からないが、まあ深い意味はないと思っておこう。

運転席のドアを開けてみて、アレッ!?と声を発してしまった。これはマークXの3.5Lに間違いはないよね??? それなのに、シート調整が手動式じゃないの。いまどきそんなのあり?

シート位置を手動で調整し、次にステアリング位置を、と思って手を伸ばすと、そこにはチルト&テレスコの電動スイッチがあった。なにこれ? ちょっとおかしいんじゃないの? チルト&テレスコは手動であっても無段階に微調整できる のが普通だが、シートは手動だったら10mm刻みの大雑把な調整しかできない。微調整ができるのが電動シートのメリットなのに、それを採用しないのは運転手とクルマの一体感を大事にするスポーティ仕様としてちぐはぐな感じがする。シートは電動、ステアリングは手動でいいんじゃないのか(多くのクルマはそうなっている)。

また、ポジション設定の際にフットレストに足を乗せて踏ん張ろうとしたところ、なんだか足の裏に違和感を抱いたので目視してみると、それはかなり寸足らずであった。いったいこれはどういうことなんだろう。私は左足ブレーキングをするため、フットレストの上に足が乗 っている時間は短いが、右足ブレーキングをする人は常に左足はフットレスト上にあるため、違和感を持ち続けることになりはしないか。

思わしくない印象でスタートしてしまうことになったが、とりあえず一回りしてみよう。

350Sのタイヤサイズは235/45R18で、初代より幅がワンサイズ太くなった。クラウンでも225/45R18なので、兄貴分を追い越してしまったことになる。銘柄はDUNLOP 2050であった。

215/60R16のタイヤを履く250Gに乗って新型マークXのハンドルはやや重いと感じていたので、350Sはもっと重いだろうと想像していたが、実際はほとんど同じであった。当たり前かもしれないが、それなりに調整されているようだ。

最初は暖機を兼ねてゆっくり走らせてみると、250Gと同様に静かで優しい乗り味のクルマであった。「S」を冠するわりに冷間始動時の排気音もまったく吼えず、尖ったところのないクルマであった。

途中、路面状態の悪いところを通ることになったので、これはいい機会だと思ってSPORTスイッチをONにしてみたところ、脚の動きを規制する(ダンパーの減衰力が高まる)のが明瞭に感じられた。不整路面でSPORTを選ぶと優しい乗り心地ではなくなるため、NORMALに設定 しておくほうがいい。NORMALであれば太く重い18インチタイヤを履いていても脚が上手にいなしてくれて乗り心地が良い。SPORTは路面がよく整備された山岳有料道路などで使うのがいいだろう。

スロットル特性やATの変速パタンもSPORTスイッチONでは活発な走りに貢献するような設定になるようだが、あまり大きい差異はなかった。そして、ステアリングの重さの違い には気が付かなかった。

3.5Lエンジンのパワーを確かめてみるために周囲の交通がなくなった隙にフルスロットルを踏んでみたが、思ったほどの加速感はなかった。とても上品で穏やかな味付けであるため、スカイラインの3.5Lと比べると物足りない。まあスカイラインの暴力的な味付けが好みというわけではないが、SPORTスイッチONのときにはそれに近い味であってもいいのかなと思う。

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マークXは2.5Lエンジンの力強さが印象的であったため、私には3.5Lエンジンは不要である。VGRS(可変ギア比のハンドル)が付いていることも一切感じられなかったし、VDIMの世話になることもまずないだろうから、世間の多数と同様に250G リラックス・・・を選んでしまう。

そうだ。書くのを忘れていたが、新型マークXのリアドアのガラスは全開にすることができる。最近のセダンのリアドアガラスは最後まで下がらないものが多いので、これは良いものだ。22NOV2009

 

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