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エコカー減税について

トヨタの新型マークXにエコカー減税に合致させるために設定された仕様があるという。

 

まずはその件について書かれた新聞記事を見てみよう(下のほうに貼付)。要旨は次のとおり。

 

装備を増やして重くなり燃費が悪くなったのに、そちらの方がエコカーの対象になるなんて変じゃないか

 

「エコカー減税 裏あり」とのことだが、単純に表層だけを見ればそのとおりに見える。しかし、「裏」にはさらに裏がある。それに言及せずにこの記事を書くのはクルマを詳しく知らない読者に誤解を与える可能性が高い。

まあ記者もクルマを知らないということなのだと思うが、それならこんな記事を書くべきではない。

 

 

カタログの燃費欄を見ると、いつも気になることがある。

同一車種の同一エンジン、同一変速機のモデルにおいて、1510kgのクルマと1520kgのクルマがあった場合、ほぼ間違いなくカタログ燃費に差がある。

また、カタログの注釈に「▲▲を装着して1520kg以上になると燃費は●●になります」という表記もよくあるが、いったいどうして全てのメーカーのクルマにおいて1520kg以上になると一律に燃費が悪くなるのか。なぜ その重量が1520kgなのか

例えばレガシィなら、セダンの1440kgとワゴンの1510kgでは燃費が変わらない(14.0km/L)のに、1520kgになった途端に燃費が悪くなる (13.0km/L)のを不思議だと思わないか。

 

そもそも、カタログに載っている燃費というのがまやかしなのである。

燃費を気にして運転する人ならすでに分かっていることだと思うが、だいたいカタログ燃費の7割ぐらいいけばいいと思っているはずだ。

 

本来ならカタログに載せるデータは実態を反映したものであるべきなのだが、カタログ燃費の数字は机上のデータなのである。国土交通省に届けられる燃費データは、車両を道で走らせた場合の燃費を測るのではなく、ローラーの上で実走行に相当すると考えられる 負荷をかけた状態で燃費を測ったものである。その負荷は車両の重量によって決められており、1510kg以下と1520kg以上ではクラスが異なるのだ。

実際のクルマが道で走った場合には1510kgと1520kgで走行抵抗はそんなに大きな差がつくものではないはずだが、ローラーの負荷の区分がその間に存在するため、差がついてしまう。

もしその負荷の区分が10kg刻みで設定されていたなら、それに応じて小刻みな燃費の違いがカタログに表示されるだろう。しかし現実はそうなっていない(250kg刻み)ので、エコカー認定の燃費基準が現在の区分に従って1510kg以下と1520kg以上のクラスでそれぞれ設定されてしまうのは仕方がない。

そもそも10・15モードの燃費を使う限り問題は解決しない。制度の欠陥はそこにあるのだ。

 

今後は燃費の表示がJC08で統一されるようになるだろうから、区切りが少し細かくなる(110kg刻み)ため、こんなに大きい記事になることもないだろう。

しかしこの記事はいったい誰を非難しようとしているのか。国の税制? それとも、アメリカで起こっているトヨタ(レクサス)叩きが日本にも波及してきたのだろうか。

朝日新聞 21NOV2009

  

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