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MARCH

12E

4AT

116.5万円(税別)

2006年6月1日に発売されたCONRANとの合作デザインを採用したマーチ、キューブおよびラフェスタの情報を得るために店を訪問した。マーチとキューブはそろそろ古さが目立ってきて売れ行きが悪くなってきたため、また、ラフェスタはガラスルーフのインパクトが弱くなってきて売れなくなったため、CONRANの名を借りて目を引こうとしたのだろう。しかし、いろいろな車種で特別内装仕様を一斉に出すと、個々の効果が薄まってしまうと思う。日産の売り方は相変わらず下手である。

"CONRAN"の実車はいずれも店頭に存在しなかったが、シート生地見本があったので、触れてみた。マーチ用の赤い花柄のシート生地は意外に分厚く、さすがに10年間擦り切れずに使えるようになっているんだ、とまったく関係のない方面で感心してしまった。もちろん花柄は洒落ていて、なかなか魅力的なものであるとも思った。

その "MARCHCONRAN" のベース車両となったのが、今回の試乗車12Eである。

最近のコンパクトカーは安全性確保のためかどんどん重くなり、1tを超えるのが当然になったが、マーチは大半のモデルが1tを切る。12Eは950kgであり、Vitzの1.0よりも軽い。

では、走りがどんなものなのか、山道で乗ってみることにしよう。

まずは先行車に続いてゆっくりと走ってみると、ATの制御がとても滑らかで、タコメータが付いていないので回転数は不明であるがエンジンは低回転で運転し、穏やかな気持ちでドライブをすることができた。

乗り心地も穏やかで、突き上げたりフワフワしたりすることもなく、なかなか快適性は高かった。

40〜50km/h程度でカーブを左右に曲がりながら山道を走ると、ステアリングの奇妙な重さが気になった。単にパワーアシストが弱いだけではなく、何かがステア操作の邪魔をするような感触が出ていたのである。マーチがベース車になっているブルーバードシルフィの電動パワステはとても自然なフィーリングになっていたが、本家のマーチはパワステの部品や制御のアップデートがあまり取り入れられていなのか、アシストの違和感が大いにあった。極低速時にとても軽いのは歓迎するが、走行中の電動アシストの癖をもうちょっと消してもらいたいと感じた。

4気筒1.24Lエンジンは、Vitzの1.0(3気筒)よりも音質がまろやかであった。音はやはり4気筒に軍配が上がる。また、フルスロットルにするとかなりの上り坂でも加速し、単独走行では特に不満のない動力性能を示してくれた。

1.5Lモデルならもっと俊足なのだと思うが、1〜2名乗車の日常の女性の運転では12Eのパワーに何ら不足はないと言える。

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マーチをベースにしたコンパクトカー「キューブ、ティーダ、ノート、ウィングロード、シルフィ」には乗ったことがあったが、本家のマーチには初めて試乗した。その結果、外見に似合わず意外にしっかりしたクルマであることが分かった。シルフィのような大きさにまで膨らませることが可能なBプラットフォームのベース車は、しっかりと将来を見越した作品だったのである。こんなに良く出来たクルマなのに販売が低迷するというのは、目新しさがなくなったことと、ライバルが数多く台頭してきたことが原因だろう。クルマの販売は難しい。

 

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