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椅子について思うところ

大学生時代に腰痛を発症してから、腰への配慮を忘れて無理をすると、発作(ぎっくり腰)が起きることがまれにある。最近は急激な腰痛に襲われる前に「ちょっと危なそう」という予兆を感じるようになった。

そんな状態なので、日常のいろいろな場面で椅子に座ったときの腰の落ち着き具合が気になってしまうのである。

学生時代はクルマでのスポーツ走行が楽しみであったので、腰のことよりも上体の安定性を考えてシートを選んでいた。身体のサポートがうまくいくと、結果的に腰にも優しく、BRIDEのバケットシートは長時間の運転でも疲れなかった(尻には厳しかったが)。

就職して最初の担当部署では会社のクルマを使って得意先を回ることになったが、当時のカローラ(100系)のシートは見栄えは良かったがクッションがブヨブヨで、初めて長距離(会社所在地から仕事の拠点まで240km、4時間)の移動をしたとき、「これは駄目だ」と思った。そしてまもなくRECARO LX(並行輸入品)を装着することになった。LXを選んだ理由は、仕事場に乗って行っても恥ずかしくないフォーマルなシートがRECARO以外に存在しなかったからである。もちろん腰 への負担軽減も考えるべきであったが、そこは宣伝文句を少し信じていたので思慮なしに買ってしまった。しかし、LXのバックレスト形状は私の身体には合わず、残念なことに腰に疲れを溜めるだけのブランド品 に成り下がったのである。ただ、カローラのシートよりは遥かに良かったので、2年間ほど使った。

その頃は出張で飛行機を利用する機会が多く、しばらくはマイレージなどを気にせずに時間の合う航空会社の便に乗っていた。当時ANAはRECAROを多く採用しており、それはLXと同じようなバックレスト形状で、身体にフィットしなかった。

1995年ごろ、クルマ用RECAROとしてAM19シリーズが発売されてから、シート形状、構造が大きく変わり、どういうわけかバックレスト形状までも修正され、身体へのフィット感がずいぶん良くなったものである。

職場の部署が変わり飛行機の利用がさらに多くなり、周りの人がマイレージの話をするようになったので、ANAのカードを作った。なぜANAにしたのか忘れたが、便数が多く便利だったのかもしれない。そのうちにANAの機内からRECAROのロゴが消えて、バックレスト形状の違和感が減った。テーブルのストッパにRECAROという文字を見なくなってから何年経つだろうか。

2006年、海外出張でJALを使って以来、1万マイルに達するまで国内線もJALを使うようになった。そして、JALの機内で久しぶりにRECAROのロゴを見た。そのシートは頭の左右に保持形状がなくなり、シートバックが薄くなり、かなり小ぶりに見えるようになった。燃料費高騰の折、機材の軽量化を進めるに当たって軽く 作られたRECAROが採用されたのだろう。シートバックが薄くなったことにより、膝の前に十分な余裕が出来たことは嬉しいものである。バックレスト形状に少しの違和感があったが、AM19のようなフィット感があり、ANAが採用していた頃のRECAROよりはずっと感触が良くなっていた。RECAROの背骨モデルはAM19設計時に新しくなっているようである。

RECAROは使用目的によって製品のバックレスト形状を変えているようで、モータースポーツ用は良くフィットする。そこから想像すると、どうやら私はシートに座るときに腰を丸めているようである。

今、BL5レガシィのシートは腰がバックレストに強く当たっているのが明確に感じられるが、BMWのシートのように深く沈み込むことがないため、疲れは少ない。難点は座面が小さすぎることと横方向のサポートがまったく感じられないことである。社外品に替えてもいいのだが、普通の形状 (スポーツ用ではない)のシートはRECARO STYLEまたはTRENDぐらいしか見当たらないのが不満である。日本のシートメーカーはどうして普通の形状のリプレイス品を販売しないの か。いくら日本人にとって椅子の生活の歴史が短いといっても、まともな製品は作れるだろうし、ブランド崇拝をしない客もそれなりにいるだろう。

 

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