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OUTLANDER

G

CVT(6段変速付き)

7人乗り

254万円(税抜)

低迷を続ける三菱自動車からなかなか意欲的な作品が発売された。アウトランダーは新設計のプラットフォームを採用し、今後ランサーなどに展開していくという。技術的な注目点は、アルミのルーフパネルである。ランサーEvo9で採用した軽量化&低重心の技術をごく普通のSUVに展開するというのは面白い。SUVのような重心の高くなる車体形状のクルマには効果が大きいだろう。

試乗車は乗車定員が7人ということなので、3列目を見てみた。通常は荷室の床下に隠れているので、使うときには紐を引っ張って起こしてやる必要がある。床下に収納できるぐらいの椅子であるため、さすがに座面とシートバックは薄っぺらで、実際に座ってみることはなかったが、足元の狭さゆえに大人が長い時間を過ごすことは不可能であると思われた。1列目と2列目は十分に広く、シートの感触も良かった。5人乗りモデルもあり、それは2万円安く、40kg軽いが、その程度の差ならばほとんどの人が7人乗りを選ぶだろう。

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今日は私の前に試乗した客はいなかったようで、エンジンを始動するとアイドリングが1500rpmぐらいになった。新車なので十分に暖まるまで待とうと思い、その間に自慢のRockford Fosgateのオーディオを聴いてみることにした。すでに試聴用にCDが挿入されており、音楽が始まったが、ボリュームを絞った状態でもドンシャリがすごく強調された音であった。「これはおかしい(客をだまそうという設定になっている)!」と思って調整機能を探してみたところ、案の定BASS、TREBLE、PUNCHがかなり大きめ(すべて9 ←最大値か?)に設定されていた。BASS:0、TREBLE:0、PUNCH:1 にしてみると、なんともおとなしい音になった。Rockford Fosgateのオーディオにはプリセットで色々な設定が存在するので、好みに合わせて音場空間(4種)や音響特性(5種)を選ぶと良いだろう。音の変化を楽しむのは結構面白い。

アイドリング回転が下がったところで動かしてみると、極低速時のステアフィールは適度に重くてスムーズで、良い感触であった。スロットルの反応も適当で、発進で飛び出すこともなく、鈍いこともなかった。新生三菱の第一印象はとても良かった。

平日の昼前なので、山道は空いているだろうと想定して進路を決めた。

予想とは裏腹に遅い先行車に行く手を阻まれながら走った山道でのステアリングとスロットルの感触は第一印象と変わらずとても良かった。ATの変速設定はD、DsおよびTipシフト(パドルシフトも可)の選択ができる。Dsレンジに入れてスロットルを少し多めに開くと、Dレンジとは使うエンジン回転数の差異が大きすぎると感じた。自動変速で山を走る場合には、DとDsの間にもう1つの設定が欲しいと思ってしまう。そういう場合は自分で好みのエンジン回転数を選んで走ればいい。シフトレバーをDに入れたままでステアリング裏のパドルを引くと、6段階にCVTの変速比を区切ることができ、左(ダウン)と右(アップ)をチョンチョンと引いて遊ぶのはなかなか楽しいものであった。ただ、変速の際のショックはかなり大きく、意図的にコツンという動きをもってスポーティな印象を演出しているように思われた。2WD状態での不用意なダウンシフトは氷結路では危ない(タイヤがロックする)かもしれない。

助手席の販売員がちょっと身構える程度の速度で走ってみても、ステアリングは正確で、車体のローリングは非常に少なく、ブレーキは短いペダルストロークで確実に利いてくれた。サスペンションの動きも良く、乗り心地は225/55R18という大きい(重い)タイヤを履いているとは思えないぐらいによくチェックされていた。コーナーリング時の脚の横ずれも感じることがなく、全体的に非常に優れた素性を持ったクルマであると思った。

シートは、写真ではホールド性の良さそうなタイトな形状に見えたが、実際はかなり大ぶりで、サイドサポートの世話になることはなかった(アメリカンサイズ)。それでも横Gがかかる状況で十分に姿勢が維持できたのは、表皮が滑りにくい材質でできていることと沈み込みが適切であったからだろう。

駆動方式は室内のダイヤルで自在に2WD、4WDオート、4WDロックの3種類を選ぶことができる。構造はセンターデフ式ではなく、電子制御カップリングによって後輪に駆動力を伝えるタイプの簡単な4WDだという。タイヤが鳴らない程度の走りではFWDと4WDオートの差は認知できず、4WDロックではややステアリングが切りにくくなるという程度であった。低速でステアリングを大きく切る機会が多い街乗りでは2WD、晴天の高速道路では4WDオート、雨天の高速道路では4WDロックというのが良いのではないかと思う。

おとなしく走っているときの室内はとても静かで、HYUNDAI(ソナタ)と共通の新エンジンが功を奏していると感じた。ただ、スロットルを深く踏み込んでいくと、CVTのノイズが盛大に室内に侵入してしまうのが玉に瑕であった。

燃費は、上りを勢いよく走ることがあった往路は芳しくなかったが、下りの復路では静々と走ったので、トータルで8.5km/Lを表示した。普通に走れば9km/Lぐらいにはなるだろう。2.36Lのエンジンで1.6tの車体を動かしているとは思えないぐらい素晴らしい数値である。レギュラーガソリン仕様というのも良い。

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三菱の次世代小型車の核になる技術を含んだ最初のモデルであるアウトランダーは、予想外に良くできたクルマであった。あとは信用をいかにして取り戻すかである。

 

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