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起爆水

燃費一番のプレゼントにて入手した添加剤である。冷却液に混入して燃費を改善するという。主成分はケイ酸アルミニウム、すなわち、砂(ネコのトイレ用にも使われる)である。どこにでもある白い砂を砕いてやれば一丁上がり。9500円という異常な価格設定は、砂粒を4ミクロンまで細かくするのがたいへんに面倒であり、さらに砂粒に何らかの魔法を掛けるのが大変なこと故の結果なのだろうか。

このようなもので本当に排ガス濃度が低くなるのなら、また、本当に黒煙が少なくなるのなら、国土交通省に「粒子状物質減少装置」として登録するとよい。触媒や吸着装置を新たに導入するのは莫大な費用がかかるが、それに比べて 1/100 以下の出費で済むのなら、東京(他、規制のある地域)の運送業者から「ひっぱりだこ」になるに違いない。

まずは、冷却水に起爆水を混合して走ってみたところ、「なんだかいつもより静かになったなあ」という印象を持った。先入観からそのように感じられたのかもしれないが、不思議なものである。そして、ガソリンスタンドに寄って帰路についたところ、「エンジンがうるさくなったなあ」と感じた。人間の感覚なんていい加減なものなのかもしれない。

http://www.sre-net.co.jp/kibakusui/

 

起爆水を入れたあとで通勤(60km程度/week)をメインに街乗りで使用した。

以下に示す3回分の走行の中には休日にエンジンを止めないで走る時間が多く含まれるので、通勤だけで使用する場合(=暖機のために無駄なガソリンを使う)よりもかなり良い燃費が期待できると想像していた。

さて、結果はいかに。

それでは、驚きの数値を見ていただこう。

走行 260km、燃料消費 39.48L(2週間) 6.59km/L

これはいったいどういうことだろう。近年、こんな悪い数値は見たことがない。

前回(上記)の給油時には、時間をかけて燃料をたっぷり口元まで入れたため、実際の消費量よりも給油量が若干多かったと思われる(=燃費が悪く見える)。ただし、今回は、同じように口元までいっぱいに給油したため、燃費の正確性は高い。

走行 314.8km、燃料消費 45.4L(3週間) 6.93km/L

やはり燃費の向上はなかった。長時間エンジンを止めることなく走り続けた日が多い(好条件下での走行距離も当然多い)のにも関わらず、この結果ではダメである。

さて、三度目の正直である

走行 292.7km、燃料消費 43.46L(3週間) 6.73km/L

これだけ連続して7km/Lを割ってしまうとは…もう我慢できない。

仏の顔も三度まで。

もったいないが、冷却水を全部入れ替えることにしよう。

起爆水を入れてから、燃費の悪化もさることながら、暖機中に(水温60℃付近で)エンジン不調(プラグ失火のような症状)が起きるようになった。また、アイドリング時の吸気管内負圧が−500mmHgに達しなくなってしまった。

考えられることはただ一つ、サーモスタットに砂が噛みこんでエンジン制御に異常をきたしたのだろう。

1年しか使用していないクーラントを捨てるのは忍びないが、濾過して再使用するのは面倒なので全量交換してみると、明らかにエンジンの調子が回復した。その状況を鑑みると、やはり冷却水に固形物を入れるのは間違っていると思われる。

無料でもらったから良いようなもので、こんなものに高い金額(8190円)を出して買っていたとしたら、販売会社にクレームをつけるところである。

起爆水を排除してからの燃費は、次のとおりである。

走行 281.3km、燃料消費 41.9L(5週間) 6.71km/L

冷却水のエア抜きのための長時間アイドリングにより燃料を無駄遣いし、また、通勤での使用が大部分(長時間走行はわずか1日だけ)であった影響で、あまり燃費は伸びなかった。

高速道路がおおよそ半分(93km)を占める走行での燃費は次のとおりである。

走行 184.8km、燃料消費 17.89L(1週間) 10.33km/L

高速道路が多く(250km)を占める走行での燃費は次のとおりである(高速道路は渋滞なし、巡航はいつもどおり5速ギアで3500rpm*をできるだけキープした)

走行 303km、燃料消費 27.0L (1日) 11.22km/L

* GC8Cインプレッサのギア比は、5速 3000rpmで約100km/hとなる。

高速道路が215kmを占める走行での燃費は次のとおりである(高速道路は渋滞なし)

走行 490km、燃料消費 47.48L(3日間) 10.32km/L

起爆水を排除してみると、高速では12km/L、一般道では8〜9km/Lというのが通常の燃費であることを再確認することができた。

これはまさに霊感商品である。損害はクーラント代3000円、1日の時間、エンジン不調による精神的苦痛ぐらいであるので、賠償請求をするほどではないが、効果が出たという人に聞きたい。エンジンが壊れたらどうするの? 出費は大きいよ!!

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上のように冷却水を入れ替えてみたものの、依然として水温が高くなったときにだけ変な音が出ることが気がかりであった。 その音は冷却ファンが回って水温が少し下がると音が止まるので、サーモスタットに砂が噛みこんだ(サーモスタットに水が流れるときに部品が震えている?)ことを確信し、サーモスタットを交換した。もちろんクーラントも新品にした。出費は2100円+1280円であった。

参考 Soft99 GIGAS 使用時の燃費推移はこちら

    トラックリン使用時の燃費推移はこちら

 

燃費一番 では、プレゼントを受領したユーザーは使用した感想を述べる義務を課せられている。それは、燃費を気にする多くの人に役立つことがこのサイトの意義だからである。

そこで、私は上記のとおり正直に書いた。しかし、燃費一番には掲載されなかった。ユーザー評価を掲載するか否かは商品提供者(すばるメディア)の検閲後になるからである。

燃費一番で悪い評価が付いた商品を見ない(良いことばかり書かれていて、本当なのかと疑ってしまう)のは、私の評価と同様に情報隠蔽がなされているからであると分かった。

宣伝文句の中には「○○台(かなり多かった)のクルマで使ったが問題はなかった」と謳っていたが、単に悪い評価を隠していただけで、やはり宣伝文句は嘘だったと確信した。

それに騙された人は数多くいるだろう。

起爆水の製造元であるすばるメディアは、2008年2月の公正取引委員会の排除命令(燃費向上の標榜が不当表示である)に対して反論しようと審判請求したが、同年11月にそれを取り下げた

 

燃費向上の根拠を出そうとしたのだろうが、公取委の命令によって販売不振に陥り、同年7月10日には事業を停止(倒産)したとのことである。

 

すばるメディア(株)

代表 : 青木 一晃

所在地 : 福岡県筑紫郡那珂川町松木1-136

 

いかがわしい商品を作ってたんと儲けてから退散するとは、この男はずる賢い人間である。

被害を受けた多くの人から損害賠償請求はなかったのだろうか。

しかし、その後も似たような霊感商品が次々に現れており、善良な市民を騙す輩の多いことに憤りを覚える。

 

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