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HONDA

INTEGRA

iS

いまや日本車の小型2ドアクーペは、セリカとインテグラの2車種しかなくなってしまった。タイプRばかりが目立つインテグラであるが、タイプRと同じ型式の標準エンジンを備えたiSの出来を確かめるべく乗ってみた。試乗したのは5段ATで、ホンダ純正オプションであるModuloの16インチのアルミホイール、GOOD YEARのタイヤを装着していた。

走り出してまず感じたのはシートの座り心地の良さ。インプレッサWRXとよく似た張りのある表皮を持つシートは背もたれの形状がWRXよりも良くFitし、無闇に体が沈み込まないのが気に入った。おそらく長時間運転しても疲れないのではないかと思われた。サイドサポートは幅が広いため、標準体型の人ならば、WRXのように常に締め付けを感じるようなことはない。スポーツ走行には向かないが、車両の性格を考えると、また、日常の使い勝手を考えると適正なものと思われた。また、シートスライドのノッチ間隔は細かく、微妙な設定が可能なので、車両との一体感を得るために非常に役立つ。大事なところがしっかり出来ているのは良い。ステアリングホイールは360mmφぐらいの小径タイプで回しやすいが、フィーリングは昔ほどではないがホンダの味が残っていた。回している間は軽いが、動き始めに少々引っ掛かりが感じられる。だが、それほど気になるものではなかった。ATはこのクラスの国産車では贅沢な5段であるが、ギアのステップ比はやや大きく感じられたのが残念。ボディ剛性感はさすがにタイプRのために新設計したボディをベースにしているのが効いていて、しっかり感は充分。ホンダというとペラペラボディのイメージがあったが、そのイメージはそろそろ消さないといけないと感じた。脚はやや硬めに設定されているものの、余計な動きがなく、突き上げもなく快適なものであった。

全力加速はしなかったので、性能は分からないが、日常走行ではトルクの出方に不満はなく、静かで快適で、2人で乗るクルマとしては勧められる。なお、リアシートの足元は広く、ヘッドルームもある程度残る。ただし、頭上はガラスである。後席の乗員も2〜3時間の乗車ならさほど不快ではないと思われる(身長175cmでもOK)。荷室は浅いが、広さはほどほどに確保されているので、実用性もある。なお、ドアバイザー(雨よけ)は低速度域から風切り音が出るので、お奨めしない。

全体を通してiSは乗りやすいクルマだと思った。要改善ポイントは、ATのギア比をもっとCloseさせることぐらい。内装の安っぽさは、値段が安いので仕方ないと諦めよう。

Fit

W type

買うつもりはまったくないが、日本の小型車で最も売れている理由を探す目的で乗ってみた。

コンパクトカーといいながら、かなり大きいのが印象的。Vitz(初代)よりもかなり長いので、室内長も当然長く、荷室はなかなか広い。Alfa147より荷室は広いかもしれない。前席下の燃料タンクによる床の出っ張りは、後席の人のフットレストになって都合がいい。これはFitデビュー時に座って以来ずっと思っていたのであるが、いまだにどの雑誌にも書かれていないのが不思議である(リアシートに乗った感想は報告しないのか???)。

運転してみると、ポジションがしっくり来ない。着座位置が高すぎ、ステアリングホイールが遠すぎる。ステアリングホイール位置は上下調整はできるが、前後調整もできるように改善して欲しい。また、シートスライドのノッチ間隔がインテグラより広いのはコストをケチった結果であろう。

トランスミッションは無段変速のCVTながらクリープが設定されており、使い勝手は良い。走行中のエンジン回転数は一定を保とうという設定で、加速しようとアクセルを踏んでも少ししか回転を上げないため、静粛性を保つのには都合がいい。しかし、全力加速のためにフルスロットルにしても回転が一気に上がらず、じわじわ上昇するのはダメである。そのせいもあって加速の鈍さはこれまで乗ったクルマの中でワーストである。いくら燃費が良くても1.34Lエンジンでこの走りは許すことができない。フルスロットルにしたときだけでも何とか別の制御(燃料増量、回転数を急に上げる等)を入れてもらいたい。また、噂されている1.5L搭載車の早急な追加が望まれる(1.5Lが発売された。下の記載を参照↓↓↓)。

パワーステアリングのアシストは電動で、これのフィーリングに難癖をつけている雑誌記事が多くあるが、実際はまったく問題がなかった。ホンダの一連のフィーリングで、最初渋く、回れば軽いというものであった。ただし、速い操舵はしていないので、アシストの追従性は不明である(雑誌では、速い操舵でのフィーリングを言っていると思うが、一般にそのような操作はしないことが多い)。脚が硬いという雑誌記事も多く見かけるが、そんなことは前席ではまったく感じられなかった。少なくともインテグラiSよりはかなりソフトであることは確かである。シート表面の張りがVitz、マーチと比べてとても強いので、このクラスの平均から見てそういう印象を抱く人もいるのかもしれない。ただし後席での乗り心地は不明。

街乗り専用として軽自動車と同列で見てみると、広い分だけ使いやすいと思うが、ただそれだけのものである。どうしてこれが爆発的に売れているのか分からない。おそらくほとんどの人は試乗もせず、皆が買うから良いと思って買うのだろう。昔の(今でもそうかな)日本人が何も考えずにカローラに乗っていたことを思い出してしまう。自分の生活、趣向に合わせた別の選択もあることを考えて欲しい。

Fit

1.5T

待望の1.5Lモデルが出たので、乗ってみた。内外装は1.3Lモデルと同じである。トピックスはトルクフルな1.5L VTECエンジンと、変速比を7段から任意に選べる機能を持つCVTを備えることの2点。

CVTの変速モードは従来のシフトレバーで切り替えるもの(D、S、L)に加えて、任意あるいは自動で7段階に刻むことも可能になった。Dレンジのままステアリングホイールのスポーク脇にあるボタンを押すと、自動の7段変速になり、そこから+−のスイッチを押すと任意にギアを選択できる手動の7段変速となる機能が追加された。

Dレンジでの走りは、通常は1.3L車と同じように回転をあまり上げないで走るが、フルスロットルにするとキックダウンの如く一気に高回転まで吹け上がり、なかなかの加速を見せてくれる。これぐらいの速さがあれば不満はない。そして、7段自動モードでの走りは、MTのように1段ずつ固定ギア比を使ってトントンとシフトアップしながら加速していくが、この機能を加速時には使う意味はまったくない(無段階変速のほうが高効率)。これの存在意義はエンジンブレーキの調節が細かくできるということに尽きる。長い下り坂では有用だろう。MINIのCVTは低負荷で無段階変速、高負荷で6段階に刻んで変速するスケジュールが組まれているが、Fitはその両方を味わうことができるという面で気が利いている。さすがに日本車である。

ステアリングのフィーリングは、定常状態から回し始めるときに重さが増していた。しかし、最初は渋く、動き始めると軽く回るフィーリングは、1.3L車より奇妙な感触になっていた。

脚の設定も変わったようで、乗り味は落ち着いたものであった。乗り心地に硬さは全く感じられなかった。1.3L車と同じでありながら今回改めて感じたのは、シートのフィット感が良く、革巻ステアリングホイールの握り具合も適切であったこと。1.3L車で気になっていた運転ポジションについても、背もたれを立て気味に設定すればさほど問題はないことが分かった。Fitでは、寝そべったポジションで運転するのは許されないのである。コンパクトカーの正しい運転姿勢をクルマが教えてくれる。

結論として、走りを重視する私としてはFitのベストは1.5Lである。文句はパワステの設定だけである。あと、細かいことではあるが、重量税を考えると、1tを10kgだけ越える車重は何とかできなかったのかと言いたい。小型バッテリの採用や軽量ボンネットフードなどの軽量化対策は取られているが、もう少し頑張ってもらいたかった。

1.3Lのほうは、経済性が何より大事な人は選んでも構わないが、個人的には重量税と燃料代の差があっても走りの違いは大きいので、1.5Lを選択するほうがいいと思う。

ACCORD

24TL

245万円

アコードがフルモデルチェンジをしたので試してみた。

24TLは最上級グレードであるので装備が充実している。シート調整は運転席が8Wayの電動式、助手席は手動式である。エアコンの温度設定は全モデルで左右独立コントロール可能としている。国産のこのクラスで採用するのは初めてだろう。全モデル5段変速となるATもクラス初のことだろう。ステアリングホイールの調整にテレスコピックも備わるのもこのクラスでは珍しい。245万円でよくこれだけのことができたと感心する。

走ってみると、パワステの具合がとても良く、これまでのホンダ車が持っていた特有のフィーリングは完全に消えていた。電動アシストということは全く気が付かない。2.4Lモデルは電子制御スロットルが採用されており、オルガン式のアクセルペダルはとても滑らかに動く。そのため、スロットル開度の微妙な調整がとても行いやすくて良い。BMWはアコードを見習ってもらいたい。エンジンは、走行開始時にオドメータが51kmだったので、3000rpmしか回さなかった。その範囲において、4気筒なのにとてもスムーズで快適であった。ATは、変速ショックを少なくするようなセットアップで、ややトルコンがルーズな印象を受けたが、問題視するほどではない。Topギア(5速)に入るのは、約60km/h以上となる。ボディ剛性感は特に高いとも思わなかったが、乗り味はすっきりとしており、路面のショックもうまく吸収してくれる。

荷室の広さはボディの大きさから見ると不満があるが、奥行きは長く取ってある。そこで愛用の釣竿を入れてみたところ、いちおう入った。荷室の形状は奥に行くほど狭くなるため、細長い物を入れるのは得意ではない。リアシートバックは荷室内の紐を引っ張ると倒すことができる(6:4分割)ので、2〜3人乗車時には大きい荷物でも収納可能である。

今回はエンジンの高回転を試さなかったので、200PS/6800rpmというのを体験できなかったが、回せばおそらく速いのだろう。いずれにしても街乗りでは快適で、ファミリーセダンとして使うのに適当である。ただし、スタイリングがブサイクなので、興味をもって近づいてくれる人がどれだけいるのか心配してしまう。

 

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