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アース線追加

    

 

巷では所謂アーシングが大人気だが、1万円も出すような効果が本当にあるのだろうか。 自動車のホワイトボディは200kg以上あるし、スポット溶接は各所に数多く打たれており、電導体としては十分な容量を持っているはずである。アース追加で効果が現れる理由として一般的に説明されているような素材としての鉄と銅の電気伝導性を比較するのはおかしいと思っている。

クルマで最も多く電力を使うのは始動時のスタータであるのは周知のことで、1.5kWぐらいの電力を使う(100A以上の電流が流れる)。そのエネルギーを引き出すためにわざわざ重い鉛蓄電池(安いというのも理由)をクルマに設置しており、スタータへつながるアース線(マイナス側)はその近くのエンジンブロックやトランスミッションに20SQ以上の太い電線を設置することで対応している。始動が済んで定常状態になったエンジンが使う電力を考えると、例えば点火に使うエネルギーはいくら多く見積もっても100Wもない。したがって運転時は純正アース線の余裕は十分過ぎるものと思われる。ただ、エンジンとバッテリを結ぶ線がその1本だけで心許ないというイメージは何となくある。

アーシングの効果については科学では計り知れないこともある ということで、当方でもお金をかけずに試してみようと思い、倉庫で眠っていた電線(0.75sq)を引っ張り出して来て追加アース線を作ってみることにした。上の写真のようにバッテリマイナス端子からインマニに6本、ボディに2本、オルタネータ近辺に1本、そして純正アースポイントに3本追加で結線してみた。合計で12本、線の断面積はすべて合わせて約9sq なので、市販品(1本8sqの線がよく使われている)より容量はかなり少ない。

結果は予想どおりエンジン性能に何ら変化は感じられない。何も体感できないというのは追加線が細すぎるからか ただ鈍感なのかは分からない。いちおう確認のためアナログ指針のテスターで抵抗値を測ってみると、当然の如く結線前も後もバッテリ・ボディ間、バッテリ・エンジン間の抵抗値は ほぼ0Ωであった。

要するに、アース増設によって効果を得たという声は、純正のアース線を外したり付けたりしているうちに接点についていた塗料が剥がれ落ちて抵抗が減る(本来の役割を果たす)ことによるものと思われる。

最近、わりあいに信頼できる雑誌でアーシングを詳しくテストしたものを発見した。それはデジタル表示のテスタでバッテリとボディ等の間の線の電圧降下を測るというもの。電圧降下は、十数mV(純正アース)から 数mV(アース線追加後)へ 1/3程度に減少したというものだった。しかしこの程度の微妙な変化がエンジンパワーの差として本当に現れるのだろうか。やはり疑問が残る。

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市販アース線の追加

追加アース線の価格は低下しており、いまや7.4SQの線が4本入った「究極のアースキット」を1780円で買うことができる。

上記のように0.75SQの線の接続では効果はみられなかったものの、「太い線を追加すれば何らかの効果が現れるかもしれない」という微かな期待を込めて追加結線した。7.4SQの太い線を1本インマニ上に追加してみたが、やはり何も変わりはなかった。どうやらアース線はすでに十分間に合っているのである。

なお、初めてアーシングをしたEP82においては、スターターの回転が力強くなったという。スタータからのアースライン(エンジンアース)の容量が最小限に設計されている場合、こういう効果が出るのはよく理解できる。

インプレッサからレガシィに乗り換える際にアース追加線を移設した。

 

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