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5MT

197.4万円(税込)

ホンダFitに追いつくためにコルトという懐かしい名前で頑張ってきた三菱であるが、デビュー時の軟弱なイメージがずっと付きまとい、また、リコール隠し等の問題もあったため、欧州仕様と同じエンジンを載せたマイナーチェンジおよびコルトプラスの追加(2004年10月)によるアピールは極めて力の弱いものであった。 その時にRALLIARTと称する1.5Lターボエンジンを搭載したグレードも追加されたが、せっかく他社にはない設定だったのに、あまりにさりげない外観(Lancer Evo.と大いに異なる)により、残念ながら日の目を見ることはなかった。

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2006年5月、コルト&コルトプラスのターボモデル(RALLIART)のマイナーチェンジが実施され、コルトはVersion-Rを名乗ることになった。ただしコルトプラスは名称変更されていない。今回の変更点で最も目立つものはボンネット上のエアアウトレットである。これはLancer Evo.用の部品を流用したものという(コルト&コルトプラス)。

ボディ補強、エンジン改良、そしてVersion-Rにはオーバーフェンダを装備するなど、様々な変更を受けたことから、ようやくスポーティモデルとして世間に認知されるようになった (TVや雑誌で取り上げられ、私の知るところとなった)。

これまではトランスミッションがCVTのみの設定であったこともスポーティモデルという認識を阻害する要因であった。今回、マニュアルトランスミッションがVersion-Rで選べるようになったことにより、イメージを一新することができた。

店頭にはMTの試乗車が用意されていたので、乗ってみることにした。

シートはコルトの「M」グレードと共通のセミバケットで、RALLIART専用品ではないものの、なかなかサポート性とクッション性の良いものであった。Lancer Evo.用と同じRECAROもオプションで設定されるので、 それが気になる人はLancerに乗って確認してみるといい。個人的には16万円程度の差額を払ってRECAROを付けたいと思う。その理由は、サポート性のみならず、着座位置の低下も期待できるからである。

1.5Lで113kWという出力は、2.0L 206kW(Lancer, Impreza)を見慣れた目には物足りないというイメージを抱いてしまったが、走っているうちにそんなことはどうでもいいと思うようになった。2000rpmちょっとまで回してやれば上のギアにチェンジすることを許容してくれるエンジン特性は頼もしく、さすがに三菱の技術は素晴らしいものだと感じた。エンジンそのもののポテンシャルもさることながら、ターボチャージャの使い方も上手なのだろう。ターボの過給を感じるのは、だいたい2500rpm(2速ギア使用時)からであった。

クラッチペダルは軽く、シフト操作も軽いので、マニュアルトランスミッションであることに苦痛を感じることはなかった。エンジンや駆動系の感触はトヨタEP82ターボとよく似たものであり、ライトウェイトスポーツの 気楽な楽しさがあった。

ステアリングの操舵力はパーキングスピードでは意外なほどに軽かった。スポーティモデルに長年乗ってきた客の中にはハンドルが軽すぎると述べる人がいるらしいが、走り出せば重くなるので、 個人的にはこれぐらいが適正ではないかと思う。

乗り心地はLancer Evo.8 MRと比べて突き上げ感が強く、小さいギャップはうまくいなしても大きい衝撃はなかなかきれいに吸収することはできていなかった。ダンパーにコストを掛けられないクルマなので仕方のない話である。 購入資金とは別にダンパーを買うお金も用意しておかねばならない。

タイヤはADVAN Neovaを履いていた。なかなかマニアックで面白いのであるが、コルト専用のチューニングを施すほどの数量が出ないと思われるので、市販品と同じようなスペックで装着されたのだろう。乗り心地が良くなかったのはNeovaのせいかもしれない。

Lancer Evo.の弟分のような外観や内装を採用することにより、三菱のスポーティイメージを具体化する作戦はなかなか良い。200万円を切る価格を設定するためにカーステレオの類は一切装備していないが、これは仕方がない。Lancer Evo.を買えない三菱ファンはコルトVersion-Rに興味を持ってくれるだろう。ノーマルのコルトはよく知らないが、Version-Rは全般的に出来の良いクルマであった。

05AUG2006

 

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