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Focus

C-MAX

2.0

4AT

280万円(税込)

欧州ではコンパクトハッチバック(MEGANE、Focus、GOLFなど)は主にパーソナルユースとして大量に販売されてきたが、近年、大衆車メーカーはセニック、C-MAX、GOLF PLUSなどのコンパクトハッチバックをベースにしたファミリー向け5人乗りコンパクトカー(monospaceというボディタイプ)を出してくるようになった。ドイツでの失業率が高くなり、もはや1人に1台というのは贅沢だと思う時代になってきたのだろうか。

欧州では2代目Focusが発売される前からC-MAXは販売されていたが、日本にはFocusよりもかなり遅れてやって来た。内外装の雰囲気から、このC-MAXは2代目Focusと兄弟であることが感じられる。ノーマルFocusのなんとなく腰高で中途半端なデザインと比べて、C-MAXはまとまりの良さが感じられる。後ろから見たときの丸っこいかわいらしさがなかなか魅力的である。

運転席に座って、まずはシートを最も低い位置に設定してみた。そのときの尻の位置は床面からかなり高いところにあり、膝を曲げて腰掛けるスタイルになった。そんな姿勢でも車高が高い分だけ頭上空間は充分な余裕があり、開放的な視界が得られた。居住性重視のC-MAXを用意するのなら、2代目ノーマルFocusは全体的に低い屋根の格好優先のクルマに路線変更しても良かったのにと思う。

C-MAXに備わるシートリフターは、ノーマルFocusと同様に全体が上下するだけのものであり、前端のみの上下(座面角の調整)はできない。これでは電動シートの意味がない。手動式にして価格を5万円下げてくれるほうがありがたい。

運転手がアップライトポジションを取ることにより、後席乗員の膝の前にはノーマルFocusよりも余裕があった。また、前席クッションの下の空間が広く(高く)、後席乗員はつま先を充分に深く入れられるため、快適性は高い。後席に2人しか乗らない場合は、中央席を後ろに跳ね上げてから左右席を斜め後方中央寄りにスライドできるという面白い機能を使うことができる。これにより、後席乗員はさらに広々とした空間を得ることができる。

荷室の床面積はノーマルFocusとあまり変わりはないが、背高スタイルのため、床面から目隠し板までの実用となる高さ(深さ)は充分にある。奥行は80cm程度しかないのに、深さがあるために広く感じられる。

試乗は渋滞の中の短距離走行であったため、あまり感想を述べられない。

乗り心地はソフトな感触で、ステア操作やブレーキング時の車体の揺れの大きさから脚は柔らかく設定されているように感じられた。これはノーマルFocusとは趣を異にする。

4段ATの変速の感触は加速中にはさほど意識に上ることがなかったが、信号での停止直前にギアが1stに入ってガクッと前進する駆動力を感じることが多く、ちょっと快適性に難があった。また、ブレーキのビビリ音も相変わらず発生していた。

ノーマルFocusと同様に、本質的なクルマとしての機能は優れているのかもしれないが、繊細な心に響く魅力に欠けるのが今のフォードの問題である。日本で台数を多く売ろうと思うのなら、VWを見習って、日本人に受け入れられる細やかさを身に付けなければならない。

 

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