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XSARA

BREAK

1.6

クサラはFOCUS、GOLF、BORA、307などのクラスに属しており、車両価格はそれらを意識し、5ドアセダンは216.9万円に設定されている。このクルマのサスペンションは普通の金属バネと普通のダンパーである。

雑誌に「C5より乗り味が高級」と書いてあるのを見て、何が高級なのか探る目的で乗ってみた。

試乗の結果、強く印象に残った点が2つある。1点はステアリングに伝わるインフォメーションが無いこと。単に操作が重いだけで、今どのぐらい切ってどういう路面をトレースしているのかまったく感じ取ることができなかった。もう1点はATのシフトスケジュールがエンジンを生かしていないこと。発進後、1stでほとんど走らない間に2ndにシフトアップする。しかも1stで走っている間のスロットルに対する反応が変に鈍い。2000rpm以上回すと元気が良くなるエンジンなのに、1stギアでその辺を使わないのは勿体ないと思った。エンジンは206や307に載せられているものと同一であるため、重量があるクサラには不足気味で、ある程度回してやるほうが走りは快適になるはずである。

クサラのシートはC5よりも好印象であった。シートバック全体が柔らかく体を受け止め、巷でいわれる「吸い付くような感じ」というのが嘘ではないことを経験した。BMW 3erのシート(腰部分だけ凹む)とは比べ物にならないぐらい快適であった。ただ、シートのクッション性は良いのだが、サスペンションは意外なほど突き上げが強かった。タイヤが硬いせいもあるのだろう。

2.0Lモデルは、1.6Lモデルと装備がほぼ同じで33万円高でカタログには存在するが、2002年モデルの販売はすでに終わったという。排気量が違っても装備が同じであると、低価格(低排気量)のモデルのほうが売れるとのことで、販売は1.6Lが主だったらしい。そこで、排気量による差別化を大きくするため、2003年モデルから2.0Lにはより高級なEXCLUSIVEグレードを導入するという。残念ながらそれによって価格も上がることだろう。

C5と比べると、XSARAの荒削りな面が顕著に感じられ、「C5より高級な部分」はあまりつかみ取れなかった。また、ライバルに対しても優位性は見出すことは難しかった。唯一シートの心地よさを除いては。。

C3

1.4

4AT

C3が日本に導入された。最初のデリバリーは1.4L車のみ。エンジンとATはPEUGEOT206と同一の仕様である。ただし、307と同じようにTipシフトが装備されるのが新しい試み。

外観は見てのとおり丸くて可愛いものであるが、女性に媚びるようなものではなく、フェンダーアーチの力強さや鋭い前後ランプ形状などでファンシーになるのを防いでいる。フロントガラスまで丸みを帯びているのが面白い。デザインだけに惹かれて買う人も多いのではないかと思う。

さて、運転席に座ってみると、ステアリングホイールは前後上下に調整が可能で、シートもリフターがついているので、適切なポジションが設定できる。天井が高いので、街乗りの時には視界確保のためにアップライトポジションをとることも問題なくできる。ただ、リアシートでは、ルーフ形状のとおり天井が明確に落ちてくるのでそれほど余裕はないが、頭がつかえる人は滅多にいないだろう。

荷室の床面積は標準的であるが、深さがかなりある。その深さを生かして、仕切板でレイアウトを色々と設定できるので、使い勝手は良いと思う。

動力性能は、1.4Lでしかも4段ATなので、かなり貧弱ではある。ATのシフトスケジュールや変速ショックは日本車と異なり、206と同じようにギクシャクしたもの。Tipシフトを試してみても、ギア比が大きく離れているためショックが大きく、面白みに欠けるものであった。ロックアップクラッチをできるだけ作動させようとするのは効率を考えると良いとは思うのだが。

パワーステアリングは電動式で低速ではとても軽いので、街乗りは楽ちんである。ただし、185/60R15という大径タイヤを履くため、小回りは効かないのが難である。最小回転半径はカタログに書かれていないので、数字は分からないが、5mぐらいではないだろうか。

シトロエンを名乗るクルマであるので、やはり乗り心地にも触れておかねばらない。シートはこれまでにない硬めのクッションを持っているが、しっかりとした掛け心地はとても良く、このクラスのものにしては素晴らしい出来である。サスペンションも前述の大径タイヤをコントロールするため、やや硬めになっているが、不快感はなかった。

今回乗った1.4Lモデルは、ATの設定だけがダメであり、それ以外に文句はなかった。奥様の買い物グルマとして使うのであれば、1.4Lモデルで問題はないだろう。スタイリングが気に入れば買ってもいいと思う。一家に一台という場合で、1.4Lの走りにどうしても我慢できない人は、2002年末ごろに導入される1.6L センソドライブ(セレスピードと同じMTベースのクラッチレスの変速装置)仕様のクルマを待つとよい。

1.6

センソドライブ

5段変速

 

 

1回め(運転席にて)

1.6L DOHCエンジンにセンソドライブが組み合わされたモデルが2002年12月に導入された。1.4L車は75PSで1070kgの車重を動かすのでアンダーパワーの印象が拭えなかったが、110PSで1080kgを動かす1.6L車ならば動力性能に関する不満は解消するかもしれないと期待して乗ってみた。

センソドライブはALFAのセレスピードと同じ仕組みで、トランスミッション自体はマニュアル仕様と同じものを使用し、クラッチとシフトチェンジをロボット操作するものである。AUTOモードによる自動変速およびパドル或いはシフトレバーによる任意のシフトのいずれも可能。普通のATのようなトルコンロスがないのはいいが、MTと同じように変速時にはクラッチを切るのが必須なので、スムーズに加速するようにコンピュータを制御するのは結構難しい。実際の走りはどうだろう。

まずはセンソドライブをAUTOモードにしてゆっくりと交通の流れに乗って走ってみる。スロットルをわずかに開いて加速する状況では、シフトアップのタイミングが早く、かなり低回転を使う燃費重視の走りを見せる。C3はヤングファミリー向けの街乗り車両なので、このようなセットアップがなされているのは理解できる。具体的には発進は1300rpmぐらいでクラッチをつないで走り出し、2000rpmちょっとでアップシフトをする。低負荷時のアップシフト操作はゆっくりとしており、クラッチが切れている間の減速感はAlfa147よりも強く感じられた。負荷を増やしていくと、変速時間はやや速くなるが、変速時の減速感はどうしても気になってしまう。クラッチが切れている間はアクセルを戻してやると良いというが、AUTOではクルマと息を合わせてタイミングを計ることができるまで若干時間を要する。パドルシフトを使って手動シフトをすれば比較的タイミングを取りやすいが、短時間の試乗ではコツをつかむには至らなかった。ダウンシフトは、セレスピードと同じように絶妙な中吹かしを入れてくれるので変速ショックはまったくなく、確実に人間より上手である。

試乗車は下ろしたての新車であったが、フルスロットルの加速(120km/hまで)も試してみた。1.6L DOHCは、5800rpmで最高出力を発生するエンジンでありながら、5800rpm以上の回転でツインカムらしい勇ましい音を奏でるのが楽しいと感じた。といっても6600rpmで自動的にシフトアップするので、楽しい時間は一瞬で過ぎ去ってしまうのが惜しい。トルク感は全域フラットで、盛り上がりは特に感じられない。そんな実用エンジンでも高回転域にはちょっとしたトッピングが効いているという感じがする。加速感はホンダFitの1.5Lより若干穏やかな印象を受けたが、1.6L NAとしてはこんなものだろう。

ブレーキは1.4Lモデル(F/ディスク、R/ドラム)よりグレードアップされ、四輪ディスクになる。踏み応えはややオーバーサーボ気味であるが、軽く踏んで良く効くというのは悪くない。すぐに慣れるだろう。100km/hからのフルブレーキングでは、姿勢変化が少なく、ABSも安定しており、プジョー307と同じように安心してブレーキが踏める設定になっていた。また、大径タイヤのおかげでグリップが良く、減速感も十分であった。

内装やシートは1.4Lモデルとほぼ同じであり、シートはシトロエンにしては硬めであるが、一般的に見ると柔らかく体を受け止めるものと言える。直進時は安楽な座り心地で良いのであるが、カーブを曲がるときにはクッションが潰れてしまうので体が安定せず、どうも好ましくない。C3の使い道としては、やはり街乗りが多いと想像するので、まあこれでいいのかもしれない。

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2回め(後席にて)

ALFA147セレスピードのオーナーと神戸の店に同行し、「センソドライブ」と「セレスピード」のフィーリングの違いのチェックおよび後席の乗り心地のチェックを行った。

試乗コースは、国道2号線から表六甲に通じる急坂を上り、そして下る、六甲山トンネル料金所を折り返し地点とするルートであった。

147オーナーの運転するC3のセンソドライブは、世田谷で乗った新車とは違って、変速が素早くなっているように感じた。運転手はセレスピードを日頃から使いこなしているので、勘がうまく働いているのかもしれないが、「C3は147より変速が上手である」というコメントを出していた。後席で私が感じた変速フィーリングの違いは、「ショックを感じさせないようゆっくり変速するセレスピード」と「素早い変速をしても多少のショックは半クラッチでごまかしてしまうセンソドライブ」という感じであった。ダウンシフトもセンソドライブのほうが素早く、中吹かしを入れてギアチェンジするのは一瞬で、しかもショックなく終わるので、カーブの手前で必要もないのにパドルを引きたくなるだろうと思った。

後席は、座面が適度に硬く、なかなか座り心地は良かった。街中を走っているときは、フワフワ感がなく、突き上げも弱いので、快適であった。山道に行くと、フラットな路面ではコーナーリング中でも安定した着座姿勢を維持することができた。これは、滑りにくいシート表皮も貢献している。ただ、表皮の起毛により衣類との摩擦が大きくなることから、乗り降りがしにくいという面もある。一方、コーナーリング中にギャップを拾うような状況では、リアサスペンションがきれいに動かず、よく分からない横方向への奇妙な動き(バンプステアか?)が感じられた。

 

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