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CX

1.5L 4AT

4WD

181万円(税抜)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユーロチューンドサスペンションキット

トヨタは昔からスターレットなどの生産をダイハツの工場に委託してきたが、トヨタとダイハツが両社で同一の乗用車を売ることはなかった。1998年にトヨタがダイハツを子会社にしてから、ダイハツのストーリアをデュエットという名でトヨタが発売し、共同販売が開始された。テリオス/キャミ、アルティス/カムリなどが続き、その後は両社の共同開発によるクルマ作りでブーン/パッソを発売し、今回のビーゴ/ラッシュという流れが形成された。

ビーゴは一見するとRAV4の小型版という感じに見える。RAV4が大型化した今、5ナンバーサイズのコンパクトSUVのニーズを満たすために作られたように思える。ところが、車体寸法を見て驚いた。なんとホイールベースは現行RAV4より20mm長いのである。これは縦置きエンジンのFRをベースにしていることで可能になったものと思われ、極端に短いオーバーハングが印象的である。

テリオス/キャミを街でほとんど見かけないことを考えると、実質的にそれらの後継モデルとなるビーゴ/ラッシュは、トヨタとダイハツが両社で売ると言ってもなかなか販売台数を稼ぐのは難しいのではないかと思う。それなのに新規の車台を開発して儲けが出るのかと心配したが、ビーゴは国内よりも海外向けに多く出されるようである。そのため、既存のFFモデル(ブーン)をベースにした形だけのSUVにしなくてもよかったのであろう。

SUVの入門用と言うべきクルマなので特に目新しい装備や機能はないが、リアシートのリクライニングは2段階しか選べないブーン/パッソと異なり、細かく多段に調節できるし、オートエアコンもCXグレードには標準装備される。ちょっと値が張るので、ブーンよりは上級に見えるような仕立てになっているのである。なお、エアコンのスイッチは新型bBと同じであり、ダイハツ製品であることを窺い知ることができる。エンジンもbBと同じダイハツの3SZである。

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今回は通勤路を普通に走ってみた。

運転席はフィット感がなかなか良く、適度にソフトなクッションは快適走行が期待できるものであった。しかし、シート位置をペダル優先で合わせると、ステアリングホイールが非常に遠いことに困惑した。かなり背もたれを立てても手が充分に届かないので、脚を少し犠牲にした。駐車ブレーキは足踏み式で、解除したときに高い位置に上がるため、左足の置場には困らない。そこで、左足ブレーキングができると思ってブレーキペダルを探したが、ペダルはかなり右寄りにセットされていたので、右足で踏むことしかできなかった。珍しいペダル配置である。

ATをDに入れて走り出すと、1速はどれだけスロットル開度が小さくても20km/hぐらいまで維持されることが分かった。20年ぐらい前にはこういうシフトスケジュールのクルマがあったが、今の時代には珍しいものである。大したことではないのであるが、1速ギアに入っているときはATからのノイズが大きく聞こえたため、気になったのである。

2〜4速は特に違和感はなく、ごく普通に変速をこなしてくれた。今回は低速の環境で運転を強いられたので、4速でロックアップが働くまで速度を高められた時間が少なく、ロックの瞬間を明確に感じることはできなかった。ごく短時間だけ60km/hを超えたときにスロットルをOFFにしてみると、タコメーターの針が動かなかったので、その時点ではロックアップクラッチが作動していると考えられた。

エンジンは2SZ(VitzやBELTAの1.3L)と同じようにやや騒がしいのが気になったが、アイドリング時の静かさが際立っていたので、走行中の音が耳障りに感じたのかもしれない。まあ取り立ててどうこういうエンジンではない。

強めのブレーキングをしてみると、ペダルタッチがかなりソフトで、奥までスポンジーに入っていった。これは走行距離が少なさゆえに仕方がないのかもしれない。ローターとパッドの面が馴染めば少しは改善されるだろう。

住宅地の中をクネクネと曲がりながら下る坂をスロットルOFFで走っていて、ちょっとブレーキペダルに足を乗せるとATが自動でダウンシフトした。自動的にエンジンブレーキをかける仕掛けが付いているのは便利かもしれないが、予期せぬ動きにはちょっと戸惑ってしまうので、あまり余計は世話を焼いて欲しくない。

カーブでの車体の動きはかなり大きく、横Gを受けながらマンホール等のギャップを踏んだときの上屋のヨレヨレとした動きは怖かった。オフロード用の背の高いクルマの動きはこんなものなのかもしれないが、三菱アウトランダーは変な動きをしなかったので、これは改善できるのではないだろうか。オプションで用意されるユーロチューンドサスキット(「エクステリア」の項にあるのは解せない)を組むとマシになるかもしれない。このオプションが本当にヨーロッパ仕様の脚であるのなら、わざわざ日本向けに不安定な脚を設定しなくても良かったのではないかと思う。色々なセッティングを作るのはお金がもったいない。

4WDのセンターデフをロックするスイッチがあったので、試しにロックしてカーブを曲がってみたが、交差点ぐらいの曲率のカーブならタイトコーナーブレーキング現象を感じることはなかった。トレッド面の柔らかいタイヤが適度に滑って誤魔化してくれたのだろう。通常はロックする必要はないのであるが、ちょっと試してみたかったのである。メーター内にロックしていることを示すランプが点くが、警告は鳴らないので、不用意にロックしないよう注意が必要である。

舗装の上で普通に走る分にはなんということのないクルマであるが、ビーゴにはライバルがいない(PAJERO ioはスマートな街乗りSUVではない)ので、多目的にクルマを使おうと考える人に選んでもらえるだろう。最低地上高は200mmもあるので大抵のところに踏み込めるし、それでいて乗り降りに不便を感じることはない。荷室は奥行きが70cmほどあり、後席は6:4の分割で倒せるので使い勝手がいい。全長が4.0m未満、全幅が1.7m未満というサイズは取り回しが良いし、フェリー代金が安いのも嬉しい。

 

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