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オイル添加剤(追加用)の実態は

自動車の愛好家は、いや、量販店でオイルを自ら選んで交換を依頼する一般ドライバーでも、オイル添加剤に関心を示したり実際に入れた経験がある人は多いだろう。

走りが良くなって、ガソリンの節約になって、エンジン寿命が延びて、音が静かになると言われたら、誰しも興味を抱くものだ。

しかし、だんだんと分かってきた。

以下に示す一例は「木を見て森を見ず」であり、良い一面はあるものの悪い面を見ていないことになる。

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【ひとつの事例】

今回取り上げるのは特に新しいものではなく、過去に私が試用したものであるが、そのときには成分分析の結果の重要性に気付かなかった。

日本化学工業という会社のオイル添加剤である。地球環境を保護する製品だという。

SUPER OIL 2001を添加したオイルの成分分析結果を見ると、三菱石油のオルビス(市販エンジンオイル)に元から入って いる成分リン亜鉛、カルシウム)が、添加前に比べて異様に高い値を示すことが分かる。つまり、これらはSUPER OIL 2001の成分の一部なのである。これらは摩擦を減らしたりゴミを分散させたりする添加剤(市販エンジンオイルに元から入っている)に一般的に含まれるの金属イオンであり、SUPER OIL 2001の成分は元々のエンジンオイル(製品)に含まれている添加剤成分の濃縮版に過ぎないということが推測できる。

では、他の金属イオンを見てみよう。

SUPER OIL 2001の添加後は、鉄やアルミの成分が減っている。これはピストンやシリンダーなどの磨耗が減ったことに違いない。摩擦を減らす成分の増量が有効に働いたのである。

ここまでの話では、効果ありと言える。

では、三菱石油のオルビスオイルは添加剤成分をケチって作られた製品なのだろうか。そして、SUPER OIL 2001で成分を追加してやらねばならないのか。

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【最適な添加剤の分量とは】

市販エンジンオイルに初めから添加される基油以外の成分(添加剤と呼ぶのでまぎらわしいが)の量は、どうやって決められているのだろう。

化学製品(添加剤)の価格が高いから、本来必要と思われる量よりも減らして配合しておこう。そんな考えで作られる製品はほとんどないだろう。消費者が選択の基準にする最新のAPI規格を満たすためにはある程度の成分分量が必要になるはずである。まあ安価なオイルではAPI規格を通すだけの最低限の量を、高価なオイルでは最適な量が配合されていると考えていいだろう。

では、「最適」とは、何に対して最適なのだろうか。

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【環境を考えると】

カストロールのオイルには昔からリンの含量が少ないと謳われてきた。リンは触媒をダメにするからである。

リンや硫黄が悪さをするのはよく知られたことであり、詳しくはBPのホームページにある。また、バルボリンのホームページを見てみると、亜鉛も触媒に悪さをするそうである。

つまり、低公害エンジンを成立させるためには、エンジンオイルにとって重要な摩擦軽減や清浄分散作用を司る成分を減らす必要があるのだ。触媒やDPFが長期間正常に機能するほうが重要課題ということである。

その結果、リン、硫黄、亜鉛を減らしても総合的に充分な性能を確保できる(木だけを見るのではなく、森を見て)オイルが研究されているのだろう。API規格を満たしているオイルを使えば、エンジンに厳しい短距離走行の繰り返しでも10万kmぐらいまで調子を維持できるよう考えられているはずである。

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【添加剤は要るのか】

低公害エンジンが主流となった今、単にエンジンオイルの中に含まれる添加剤成分を追加するだけのSUPER OIL 2001のようなものはエンジンの機械部分にとっては嬉しいだろうが、触媒にとっては害になり、使ってはいけないと言える。

燃費が良くなっても触媒がやられてはダメである。地球環境を保護するのが目的なら、こんな製品は引っ込めるほうがいいだろう。

他にも様々な名前で販売される「自分で入れるオイル添加剤」については成分が分からないため何とも言えないが、添加剤成分(元から入っているもの)を補強するという謳い文句の製品はSUPER OIL 2001と同様だと思う。

エンジンオイルとしては色々と成分の規制があるのに、自分で入れるオイル添加剤の成分に規制がないのは変である。良識のある会社は成分を開示してくれるといいのだが。

今までに成分開示の求めに対してきちんと答えてくれた会社が1つだけあった。その会社の製品は改良を続けながら今も販売され続けている。私もエアコンやパワステのオイルに添加したり、ブレーキに塗ったりしている。エンジンオイルには入れたことはないが。。。

  

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