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車両の組み立て精度やいかに
クルマにステレオを付けるためにインパネを分解したり、掃除のためにシートを外したり、フォグランプを付けるためにバンパーをずらしたりしたことはあるだろうか。 そんなとき、ネジが斜めに刺さっていたり、部品がうまく噛み合っていなかったのを発見したことはないだろうか。 大衆車は短時間で生産されるので、機械を用いた組み付け工程が多く、正常といえない組みつけ方をされた部品がどうしても出てくる。 |
当方が最近経験した例を挙げてみよう。
その1: 2006年9月に買ったBL5型レガシィSpec.Bは、最初から手放し運転で真直ぐに走らないという症状が出ていたため点検してもらうと、一般的には注目することのないアライメントデータ(SAI角)が狂っていた。 その原因は、エンジンメンバー(サブフレーム)の取り付け位置の偏り(中心にない)であることが判明し、メンバーの位置修正をしてもらった。
その2: 高速道路で穴ボコに落ちたことが原因で、ステアリングセンターがずれて、手放し走行で左へ勝手に寄っていく動きが強くなった。どこかに不具合が発生していると考え られたので点検してもらった。 しかし、ホイールベースの左右差はなく(巻尺による)、キャンバ角の左右差もなく(簡易な角度測定器による)、アーム類の取り付け部の損傷もなく、特段の異常を見つけることはできなかった。 そこで、次に舵取り装置の取り付け部を点検することにした。 点検といっても、できることはあまりない。目視するだけである。 ステアリングラックの取り付けボルトを緩めてみたが、特に異状はなかった。その状態で、取り付け位置を本来あるべき場所に落ち着かせるため(歪みを取るつもりで)タイロッドを左右に揺すってラックをガタガタさせた後、取り付けボルトを締め直した。ただそれだけであった。 作業後に試走して、びっくりした。 今まで感じていたレガシィのステアリングの変な感触が消え去ったのである。
これらのことから考えられるのは、ステアリングラックの位置がタイロッドと一直線上になく、少しずれて取り付けられていた (ステアリングホイールとタイヤの間に意味のない抵抗が存在した)ということである。 ほんのちょっとした作業であったが、クルマを運転するときに感じる質がまったく別物に変身した。高速道路の穴ボコに落ちなければ、レガシィの本質を知ることなく廃車まで共に過ごしていた ことだろう。 これは自分でもできる作業なので、試してみるといい(実際、帰宅後にオイル交換のついでに再度緩めてから締め直した)。
上記のことから、メディア等に貸し出すメーカーの広報車(寸分の狂いもなく組み立てられたクルマ)と一般の店舗に配備される試乗車 (ある程度の誤差を含んで組み立てられた一般に出回るクルマ)との間に差がある場合も多いと想像できる。つまり、雑誌に書かれている感想と自分のクルマの乗り味が異なるということが起こるのである。 (13OCT2007) |