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SKYLINE(V36)マイナーチェンジ後

250GT

標準車

7AT

329.7万円(税込)

2010年1月にV36はマイナーチェンジ(M/C)を受け、グレード体系や仕様を変更した。

M/C前の「GT」はいわゆるスタンダード(簡素な仕様)で、普通の人は「GT Type V(GT+20万円)」を選ばざるを得ない状況になっていた。ところが、M/C後はGTよりも装備を簡略化した「GT Aパッケージ」なるものが追加され、それがいわゆるスタンダードの扱い( ライバルMARK XではFパッケージに相当する)になり、そして「GT」は普通の人が選ぶのに相応しい装備を持つグレードになった。

「GT」の装備を見てみると、カーナビゲーションおよびETCが標準装着され、エアコンの左右独立温度設定もできるようになり、VDC(ESC)もやっと標準装備になった。 そうなると気掛かりなのが価格設定である。それは、なんと! M/C前と比べて48万円もアップしたのだ!!!

ナビゲーションやカメラ類(サイド&リア)が標準装備になるのは良いことだと思う(普及することで備品の価格が低下する)のだが、あまりに も急激な価格差を示されると戸惑ってしまう。MARK Xに同じような装備(ナビ、カメラ、ETC)を付けてみると、価格は310万円ほどであり、V36は割高であると感じてしまう。

それでも、V36には強い武器が備わる。それは、なんといってもFUGA(Y51)から採用されたJATCO 7段ATである。

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では、このM/Cでどのように変わったのかを乗って確かめてみよう。

【外観】

写真で見るとイメージが大きく変わったように感じられたが、実物はあまり変わっていない。スモールランプの点灯状態が変更されたというが、M/C前のオーナーでもなければ分からない。ホイールデザインも変わったが、どうということはない。なお、試乗車のタイヤ(225/55R17)はTOYOであった。

【内装】

センターの カップホルダーの周辺の処理が変わったように見えたが、大したことではない。着座位置は相変わらず高いままで、残念ながらこれは変わっていなかった。一番大きい変更はメーターの文字がくっきりと見やすくなったことである。これは価値がある。

【乗り心地】

エンジンを始動してまず感じたのは、静かさであった。M/C前はもっとゴロゴローと音が鳴り響いた記憶があるのだが・・・何かのまちがいか。

セレクタをDに入れて敷地内をゆっくりと動かしてみると、操舵力が軽くなっていることに気付いた。これは明白である。M/C前はBMWの真似をしたかったのか分からないが、やたらに重いハンドルに不満があった。したがって、この改良はとても好ましい。

道路に出て少し走らせたところでV36の最大の改善ポイントを感じることができた。それはATのフィーリングである。7段ATはシフトショックのないクイックな変速でポンポンポンと4速まで滑らかにシフトアップしていった。この軽快なフィーリングは素晴らしいもので、あの5段ATはいったい何だったんだと言いたくなってしまう。今回の試乗では速度が高められなかったため、ギアポジション「6」までしか経験できなかったが、 メーター上で68km/hぐらいでも「7」に入れるのを拒否するぐらいにギア比が高いということから、高速道路での燃費の良さが期待できる。

7段ATのおかげでエンジン回転数があまり高まらないせいかエンジンはゴロゴロといわなくなり、とても静かに走行することができた。M/C前は同乗者のみならず運転手までもが不愉快になるぐらいに騒がしかったのに、この変貌ぶりは何ということだ!!!

走り出してからのハンドルの感触は「私はこういうのを望んでいたんだ!」というフィーリングで、ブッシュのよじれ感のないダイレクトさがあり、剛性感があると想像させる適度な重みを備え、ギアの精度が高そうな滑らかさがあった。もうこれで何も言うことはない。

そして、M/Cで大きく変わったのはスロットル特性である。これはもう長年の苦しみからやっと解き放たれた気分であり、無用な緊張感を抱かずに運転することができる。どうして今までこれができなかったんだ! おそらく「5段ATで活発に走らせるためには仕方のない演出だった」と日産は言うのだろう。それが、7段ATを得て、ようやくまともになったのだ。

さらに、M/Cで劇的に変わったのが乗り心地である。硬くて荒っぽい乗り味だというのがM/C前のモデルの印象なのだが、それが嘘のように滑らかで心地良い乗り味になっていたのである。やればできるんじゃないか !!! 試しにカーブに勢いよく入ってロール感を確かめてみたところ、そんなに脚が柔らかいと思うことはなかったので、単純にバネをソフトにしただけではないのだろう。おそらくダンパーの動きを良くしたのだと思う。

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私は単にJATCO 7段ATの搭載に興味を持ってV36に乗りに行っただけなのだ。それ以外にはまったく興味がないまま・・・

それなのに、短い試乗時間の中でM/C後のV36は改良が全面的に施されていることが分かって、正直、驚いた。内外装を少し手直しするだけの小手先のM/Cが多い中、このV36の仕事は細部に亘って手が入った大掛かりなものであり、素晴らしいと言える。まあM/C前があまりに出来が悪かったと言ってしまえばそれまでだが、これは本当に良いクルマになったと思う。

V35の登場で「こんなのスカイラインじゃない!」と思った人は多いだろう。そして、V36は大幅にカッコ良くなって「これ ならスカイラインと呼んでもいいかな」と気持ちが傾いた。でも、乗ってみるとV36は荒削りでガッカリした。そんな人も少なくないはずだ。そして今回のM/Cである。

もし、私と同じようにM/C前のモデルに乗って購入を躊躇した人がいるなら、ぜひともM/C後モデルに試乗して欲しい。きっと「これなら買ってもいい」と思うはずだ。 07FEB2010

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4WDに15年以上も親しんでいる私は、RWD(FR)に戻るのには少し迷いがある。RWDを買ってしまうと昨日のようなリスク を冒した試みができなくなってしまう。でも、そんなことは数年に1度のものなので、リスクをとってドライ路面で楽しく走らせるほうを重視するという考えも大いにあり得る。難しい問題だ。

 

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