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山奥の自動販売機で缶コーヒーを買うと

4月下旬の話である。天気が良い日には、まだ体が暖かさに慣れていないせいか暑く感じてしまう。そんな折、東京に大きい鍾乳洞があるという情報を得たので、避暑に訪ねてみた。

それは奥多摩にあるというが、多摩地区と呼ばれるエリアに住んで8ヵ月を経過しながら山奥には行ったことがなかったので、地図を頼りに探してみることにした。

周辺の地名から近くまで来たことが分かったので、歩く前に喉を潤そうと飲料の販売所を探したところ、青梅街道沿いの小さい商店の前に自販機を見つけた。駐車場にクルマを停めて家内に缶コーヒーを頼んだ。買ってきてくれたのは、香料がキツイために私は滅多に買わない製品だった。コーヒーに入れる香料はおいしさを引き立てる為に存在するのだろうけど、あまり余計なものは入れてもらいたくないと私は思う。飲んでみるとやはりコーヒー以外の酸味が感じられた。家内は一口飲んで「変な味だ」と感想を述べ、それ以上飲まず、私にも飲まないように言った。しかし私はもう一口飲んで、「プラス●は香料がきついんだ」と自ら確認するように呟いた。それでも何か変かもしれないなぁ〜と思って飲み残しを家に持ち帰った。

缶からPETボトルに中身を移し替えてみると、固形成分がやけに多いのが気になった。そこで缶に貼ってある連絡先に電話をしてその件を伝えると、「調査する」といって後日会社の人が天然水と●A●A●Aを手土産にブツを回収に来られた。一目見て原因が判ったような顔をしたが、とりあえず持ち帰って調査すると言って一旦戻られた。私としては手土産は水よりもB●SSコーヒーのほうがよかったのだが。。

10日ほど経ってから、担当の人が調査結果の用紙を持ってみえたが、用紙以外には何も持っていなかった。調査の結果はだいたい想像がついていたが、まさに予想どおりだった。自販機のコーヒーは冬期にはHOTにすることが多く、買った缶コーヒーは前年の11月から自販機の中の暖か〜い環境で育まれていたそうである。その後、気候が良くなって機械をHOTからCOLDに切り替える際、改めて冷た〜い環境に置かれて眠っていたということが判明したのである。

最近の自販機はメーカー系列の管理下にあるために短期間で商品が入れ替えられ、HOT状態で長く置かれることはないようだが、田舎では商店主が管理している自販機がまだ残っていて、ズボラをする人がいるという話だった。その自販機には、同じ経歴を持った缶コーヒーがまだ3本も(!)残っていたそうである。交通量の多い青梅街道に面しているにもかかわらず、店はクルマを停めにくい立地条件にあるため、商品の回転が良くなかったのだろう。担当者の話によると、HOTでの缶コーヒーの賞味期限は摂氏50度で3週間、60度で2週間ぐらいということだった。

夏休みに帰省して友人と山奥にドライブに行ったとき、この話題を出したのは言うまでもない。そして缶コーヒーを買ってみた。しかし、道端に自販機だけがポツンと並んでいるところは、当然メーカーの管理下にあるものと思われ、製品には何の問題もなかった。

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