206RCは、S16に代わるスポーティモデルである。2.0L NAエンジンはチューニングされ、S16より40PSアップしているという。残念ながらS16のエンジンはCCでしか経験していないため、ハッチバックボディ同士で差を明確に表現できないが、とりあえず乗ってみた(体感キャンペーンにて)。
運転席に座ってみると、シートはインプレッサよりサイズが大きく包み込むような形状でフィット感が良いものであった。座面のクッションは硬いが、背もたれ部分はとても柔らかく、全面が硬いインプレッサのシートとは趣が異なる。
脚はかなり硬い。インプレッサと同じように面白いぐらい路面変化をよく拾う。それでもシートがうまく吸収してくれるので、あまり衝撃に耐える必要はないのが救いであった。
左ハンドルでマニュアルギアボックスを操らなくてはならないのはどうも慣れないので、ちょっと気持ち悪い。また、上から踏み下ろすようなレイアウトのペダルに対して、シート位置が低い(最下位で運転したのが悪いのか)ため、特にクラッチペダルの操作が苦になった。また、クラッチペダルはS16(CC)と同様に拍子抜けするぐらいに軽いことに違和感を覚えた。
エンジンはチューニングされているとはいえ、7000rpmで最高出力を出すという控えめなものなので、扱いは楽に行える。1500rpmも回せば充分スムーズに発進でき、3rdギアで1500rpmから使うことに何らためらいはいらない。2500rpm程度でシフトアップして走ると、スロットルOFFで回転の落ちが速いのにシフトストロークが長いため、次のギアに入る頃には回転数が下がり過ぎてギクシャクしてしまう。電光石火のシフトをするか、スロットルを完全に戻さないで走るとスムーズにいくだろう。
加速性能を試すため、2ndギアでフルスロットルにして7000rpmまで使ってみた。ゆっくりスロットルを開けていくと、3000rpmで盛り上がり、5000rpmでもう一度盛り上がるのが体感できた。最近のエンジンはフラットトルクのものが多く面白味がないのであるが、久しぶりに昔ながらのフィーリングのエンジンに出会うことができて嬉しかった。加速度は大したことがないが、運転していて楽しい演出のあるエンジンである。
トランスミッションのギア比は、Top(5th)の2000rpmは約70km/hになり、日本で使うのにちょうどいい。
生活の道具(ファミリーカー)としては使えないが、おもちゃとして1台欲しいクルマである。