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MINI ONE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考/写真はCOOPER

雑誌で評判のBMWのMINI。その出来具合を見に行った。

内外装の仕上げは雑誌に記載のとおり現代的で問題はない。

車体は旧型に比べてかなり大きくなっているのに室内は狭く、特にリアシートは2人乗りでは横方向にかなり窮屈である。ただし膝まわりと頭上にはある程度空間はあるため、大男が運転するのでなければ後席を使うことも可能である。荷室はとても狭いが、荷物を積んで遠出をする実用車ではないので、まぁ良しとしよう。スペアタイヤは、ランフラットタイヤ(空気が抜けてもある程度走ることが可能)を選ばずにノーマルタイヤを装着すればライトバンと同様に床下に吊り下げられて付属してくる。ドアは2枚なので割合に大きく開閉は重い。そこで、スマートに開閉できるようにドアを開けると10mmぐらいガラスが自動で下がる機構を持っている。これはBMW車に使われている気配り装備であるが、このクラスにまで採用するのは高く評価できる。

オプションのサンルーフは前席上と後席上の2枚のガラスからなり、面積はかなり広いので開放感は高そうである。開くときは前側ガラスが外部へスライドする。価格はわずか11万円という話なので、検討に値する。

 

【CVT仕様 205万円 初期型】

〔試乗1回目〕

神戸の山手幹線、国道2号線で乗ってみた。運転席の高さを最も低くして走り出して感じた印象は、動きが全体的に不自然なこと。低速度でステアリングを大きめに切る状況では、切り込む角度によって手ごたえが奇妙な変化をみせ、路面感覚は全然伝わってこない(ステアリングギア比/13.2:1)。

CVTのトランスミッションに組まれるクラッチは電子制御の湿式多板クラッチである(トルクコンバータ式ではない)と聞いたが、まるでトルコンが付いているような強いクリープ現象が出ている。トルコンAT車からの乗り換える人には違和感はないだろうが、あまりに強すぎるクリープは停止させておくのに気を使い、Dレンジで停止時(アイドル回転はエアコンONで 1100rpm)の振動も大きく、あまり好ましくない。クリープが発生しているということはクラッチが滑り続けている(半クラッチ)ということなので、渋滞路ばかり走る場合にはミッションの潤滑油がオーバーヒートすることがないのか心配になる。過剰なクリープを抑えることと停止時の静粛性を保つために、もう少しクラッチの接続を緩くして、なおかつアイドル回転を下げることを望む。

走行中スロットル開度が小さい場合はCVTらしくエンジン回転数は大きく変動しないまま車速が変化するのは良い。ところが全開加速時にはスピードの上昇に伴いエンジン回転数も徐々に上がっていくさまはCVTにしては奇妙である(まるで古いスクーター)。そしてエンジン回転がMAX付近まで上がると、なんと通常のATのように回転数が一旦落ち、次のギアにバトンタッチしたような演出がある。それが何回も繰り返されるのである。これはDレンジにおいても、レバーを横に倒してSレンジにしても同じであった。一般的なATを模しているのかもしれないが、目的が不明である(故障だったらいいのだが…)CVTらしく一定の回転を保つほうが乗員の気分も良いし、効率も良いのではないだろうか(というよりも効率を良くするために一定のエンジン回転数を保つことができるCVTが発明されたのである)

加速性能は、中速域ではまあまあ良いのであるが、ゼロ発進ではCVTの変速幅が狭いのかエンジン回転がなかなか上がらず、低速度域での加速は非常に鈍い。折角採用したCVTがエンジン性能を充分生かしていないというのを強く感じてしまった。とにかくCVTそのもののセッティングがダメなので、これがまともにならないうちは買わないほうがいい。

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〔試乗2回目〕

印象の悪かった神戸での試乗から日を改めて八王子で再び乗ってみた。座面の高さは4回レバーを動かし、やや高めにして運転した。すでに試したMT車(印象は下に記載)とは異なり、やはり不自然なフィーリングのクルマであった。ブレーキを離してアクセルに触れないでクリープだけで走らせると、エンジン回転数は1200rpmを越え、かなりのスピードに達する。

再度試乗して分かったことであるが、神戸のCVTは故障ではなかった。しかしトランスミッションの違いがこれほどまでクルマの印象を変えるというのは珍しいと思う。ようやく雑誌にもこのCVTが奇妙であることを書く人が出てきたが、大半はいまだに肯定派である。もし購入を予定している人は、どうか雑誌に惑わさることなく自分で試乗して判断してほしい。できることならMINIに乗る前にまともなCVTを経験しておいてもらいたい。国産車のCVTを知ると、MINIのCVTの出来の悪さが分かると思う。

 

【5段MT仕様 195万円 初期型】

神戸で感じたCVTの出来の悪さを除外し、クルマ自体の評価をしてみようと思い八王子でMT車に乗ってみた。着座位置は最下位から2cmほど(4回レバーを操作)上げ、視界を確保した。走り出すと、「これがあのMINIか」と思うぐらいCVT仕様とは違うクルマで、素直な操縦性を持っていた。ステアリングを大きく切る機会が少ない試乗ではあったが、ステアフィールは普通のFF車のものであり、アシスト量が少なくやや重いと感じただけである(ステアリングホイールにガタがあったが、これは個体の不具合だろう)。エンジンは3000rpmぐらいまでは機械音、排気音、振動すべてがとても軽やかで良い印象を持った。4000rpmまで回すとちょっと騒がしく、常用を遠慮したくなる。まあ普通の実用エンジンであった。5段MTのシフトフィーリングはスムーズで、レバーの重さやストローク量も適切で良かった。これはFRのBMWよりも好ましい。クラッチは軽くてつながり具合も自然で、MTで運転することに何の支障もなかった。CVT仕様より明らかに人とクルマとの関係が素直なので、免許がAT限定でないのなら今はMT仕様を選ぶべきである。

ただし、ONEには一点だけ注文をつけたい。全体的にハイギアード(ONE は COOPER と比べて11.5%もファイナルギア比が高い)なのは扱いにくい。2ndギアは6000rpmで100km/hになるセットアップなので、都会の移動では2ndと3rdで事足りてしまう。例えば街乗りで60km/h程度から急加速したいときに最も瞬発力を得られるギアは2ndであるが、ギア比が高いためものすごくおっとりとした加速しかできない(比較的空いた道でフルスロットル加速を試みたが、速度の乗りがとっても遅いので、3rdギアに入れる前に前車に追いついてしまい、2ndギア 100km/hまでしか試せなかった)。これがCVTならば5000rpmぐらいを使ってワッと加速していける。MTではどうしても苦手なスピード域が存在するのは仕方がないことであるが、ギア比設定を見直せばもっとエンジンを活かすことが可能になると思う。とりあえずの解決策としては、30万円プラスしてCOOPERのMT車を買うか、ファイナルギアだけをCOOPERのものに交換するか、タイヤを小径のものに変更するか、いずれかだろう。おもちゃとして2台目、3台目で買うのならギア比ぐらい大した問題ではないと考えて「ONE」を選んでもいいかもしれないが、一台しか所有しないのならCOOPERのMT、CVTにも乗って比べてみる必要がある。

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参考(MINI ONE MT 計算値) 

ギア   スピード/6000rpm時    100km/h時回転数 

1st      57km/h 

2nd     100km/h          6000rpm 

3rd     146km/h          4100rpm 

4th     184km/h          3250rpm 

5th     (230)           2600rpm 

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現状ではMINI ONEはCVT、MTともに日本の都会の環境に合っていない部分がある。日本はMINIの大きな市場なので、マイナーチェンジでセットアップが変更されることを期待する。

早速M/C情報がある。助手席前の収納場所にフタがないことが日本で不評のため、2002年6月ごろから輸入される車両には通常のGlove boxのようにフタが付くようになる

MINI

ONE

【CVT仕様】

2003年10月にMINIの販売店が近所にオープンした。

最近流行の大規模なショッピングモールの出店に合わせて、その目の前にMINIの店ができたのである。試乗車はOne(CVT)、Cooper(CVT)、Cooper S(6MT)というラインアップである。2004年春ごろまでは土曜日と日曜日にはショッピングモールへ向かうクルマの列が数kmもできていた(用事のない通行人は大渋滞に困り果てた)。しかし、MINIの店にはいつ行っても客を見たことがない。客というのはなかなか思惑どおりに動かないものである。

さて、今回はOneとCooperの乗り比べをするために訪問した。試乗コースはショッピングモールの周りを1周するだけの単純極まりないものであったので、あまり述べられることは多くない。

試乗車は2003年モデルだと思われるが、初期型に比べて細かな変更がある。上記のグローブボックスの蓋、そして、走り出したら自動でドアロックする装置が備わっていた。

乗ってみると初期型の奇妙な感触は薄れ、ゆっくりとした速度で走る限りそれほど変な乗り味ではなかった。試乗コースがあまりに短いので、できる限り高い速度で交差点を曲がったり、フルスロットルの加速を試したりしてみた。コーナーリング時のロール感は少なく、スイスイ曲がるのはなかなか気持ちが良かった。しかし、CVTの異様な変速パターン(段付き)は相変わらず残っており、違和感があった。90PSのエンジンに加速力は期待してはいけないが、とてものろまな亀だった。

MINI

COOPER

【CVT仕様】

Cooperには初めて乗った。MINIと言えばCooperと返ってくるほど名が売れているので、販売の主流もCooperだと聞く(名は知っているが、John Cooperが何をした人物なのか知っている人は少ないかもしれない)BMWもなかなか商売が上手である。実はOneと比べて内外装にはほとんど差がなく、アルミホイールと車高短サスペンション、燃費計が付く程度である。初期型にあったバンパーのクロームメッキの飾りモールはオプション扱いになってしまった。エンジンはOneと比べてカムプロフィルが異なるようで、116PSを若干高い回転数で稼ぐようになっている。

ゆっくり走るとOneとの差は分からない。乗り心地も悪くない。

急ハンドル、急加速を試してみると、Oneとの違いが明確になる。高いGが掛かったときのロール感はOneよりも小さく、スポーツサスペンションのメリットが感じられた。また、フル加速ではエンジンのピックアップが良く、回転上昇に軽快感があった。

CVTのギア比はOneとCooperでどれぐらい違うのか分からないが(カタログに記載がなく、販売員も知らなかった)、加速感の違いから鑑みておそらくCooperのほうがファイナル比が低いのではないかと思う(MT仕様と同様に)。全開加速中の奇妙な段付きはこちらも同じであった。

MINI(幅が1690mmもあるので、もはやミニとは言えないが)を小気味良く走らせるには、最低限これぐらいのエンジンが必要になるだろう。MT仕様であれば、さらに自然なフィーリングで楽しい運転ができると想像するが、残念ながらMTの試乗車は近所には置いていないという。MINIは単なるファッションで乗るセカンドカー、サードカーなので、CVTで気軽に乗ればいいのだろう。

価格はOneと比べて30万円(15%)も高いが、そんなに支払う価値があるだろうか。John Cooperの追悼のために余分なお金を投じるというのも一興か(Cooperにチューニングを受けたとはとても思えない代物だが…)

 

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