XF

3.0 Luxury

6AT

650万円(税込)

ジャガーの最新モデルXFは、MB EクラスやBMW 5erをライバルに設定しているというが、それらと比べて車体はかなり大きい。

乗ってみれば大きさは感じないという話なので、試してみよう。

エンジンを始動すると、通常はシフトレバーが存在する辺りにあるダイヤルが出てくる。これは回してシフト操作をするものであるが、電気的にクルマをコントロールできる今は、BMWのiDriveのようなインターフェイスの集約の形もあればジャガーのようなAT専用の形もあり、いかようにもできる。ジャガーのダイヤルはATの操作しかできないので、ちょっともったいないという気がする。

店から国道に出る際に感じたステアリングの重さは適切であった。ただ、フルにハンドルを回しても小回りは利かない。店の敷地内で操舵をしているXFのタイヤの最大切れ角は大きいように見えたが、実際はホイールベースの長さ(2.91mもある)の影響を受けて最小回転半径は5.5mになっているのだ。

ゆっくり走らせてみると、V6エンジンは穏やかな味付けでとても乗りやすかった。発進時のスロットル特性は絶妙で、無闇に飛び出さないし、遅くもない。SNOWモードを選ぶと発進はさらに穏やかになるが、 それは日常では不要である。

少し加速をすると、低音の排気音の演出があり、心地良いフィーリングを提供してくれた。車内が静かなので、排気音は小さくても耳に届く。

乗り心地はしっかりしているのに滑らかで心地良かった。フワフワしない、微振動がない、ガツンとこないというバランスの良い味付けであった。3.0の脚は 普通のダンパーであり、特に調整機能を持っているわけではないという。

ステアリングホイールの裏にあるパドルシフトを操作してみると、ATのポジションがDであっても任意の変速ができることが分かった。シフトダウン時は回転合わせを自動でしてくれる。しばらくパドルを操作せず放置すると 、自動的にDに復帰するのは便利である。

Dレンジのままでフルスロットル加速をしてみると、静かなままで穏やかに速度を上げた。自然吸気の3.0Lなので速いわけではないが、適度な音量の排気音とともに大きい不満のない加速をみせてくれた。エンジンは7000rpmぐらいまで回るはずだが、Dレンジではそこまで使わず、Sレンジでのフルスロットル時に は性能を発揮するものと思われる。

ブレーキペダルのタッチは初期から食いつき感がありながら、しかし唐突な減速感がないのが良い。外から見る限りシングルピストンの浮動型キャリパと325Φローターなので侮っていたが、フィーリングはなかなか良好であった。ただ、ホイールを見るとブレーキダストが多く付着しており、ちょっと気になった。おそらくパッドの減りは早いだろう。

後席は外観の印象ほど狭くない。実際は全高が1.46mもあるので、クーペ風のデザインであっても頭上空間は確保されている。その高さを感じさせないデザインは大したものである。しかし、リアドアの窓が全開にできないのは難点といえる。

トランクはまあまあの広さで、文句を言うほどではない。リアシートの背が倒れるので、長いものも積める。床板の下にはスペアタイヤが入っているが、床板とタイヤの間の空間は無駄に存在している。小物入れでも挟んで欲しいものである。

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XFは4.97mという全長を感じることはなく、非常に乗りやすいクルマであった。乗り味は全体のバランスがとても優れていると感じられた。

このクラスのクルマはだいたい良くできているが、XFは総合的に見て出来が良い。ただ、特筆するところがないのは欠点かもしれない。

650万円という価格はE250や525iと同程度であり、3.0Lエンジンを積んでいることを考えれば競争力はあると思われるので、もっと認知度を高める努力をしなければならない。01FEB2009

XF

4.2 Premium Luxury

6AT

870万円(税込)

V6の3.0Lを積んだXFの乗り味は上質な感じで良かったので、上級グレードはさらに良い乗り味を持っているのだろうか。確かめるためにちょっと乗ってみた。

試乗車のエンジンはV8の4.2Lで、ホイールは18インチが装着される。タイヤサイズは245/45R18とかなり大きい。銘柄はDUNLOP SP Sport 01 Jで、あまり見たことのない非対称のトレッドパタンであった。

エンジン始動時はV8を意識させるような音作りがなされていて、その気にさせられる。セレクタをDに入れて動き出すと、ちょっと操舵感は重かった。太いタイヤの影響が少しあるようだ。

普通に街乗りをする範囲ではエンジンは低回転で回り、ATはショックなしに変速するので、上品に走ってくれた。しかし、路面の継ぎ目を乗り越えるようなときにタイヤの重さを制御しきれないようなドタバタした感触が出て、ちょっと上品さが削がれるのは気になった。

セレクタを押して回してSレンジに入れると、エンジン回転が少し高まって活発に走るようになったが、獰猛な感じにはならず、あくまで上品に振る舞うのはジャガーらしいと言っていいだろう。

前方が空いたので、エンジン性能を確かめようとフルスロットルで加速をしてみると、V8は良い音を奏でながらスムーズに高回転に向けて吹け切り、爽快と豪快の間ぐらいのイメージのかなり良いフィーリングで速度を増した。公道においてはこのパワーで充分に満足できるものであり、これ以上の性能を上手に操るのは難しいと思った。このクルマで公道以外を走ることはないので、マイナーチェンジで新しく積まれる5.0Lエンジンなんていらないのではないかと思うが、それでもニーズはあるのだろう(日本以外で)。XF 4.2の 試乗の直前に比較のために乗ったLEXUS IS-FのV8エンジン(5.0L)は確かにもっと高性能で速いが、わざとらしい演出が多くてやや煩わしい。大人のスポーティというのなら、XFのほうが自然体で良かった。

ハイスピード走行時に路面の悪いところに入ってしまい、車体が大きく煽られてちょっと焦ったが、脚とボディはそれをしっかりと受け止めて瞬時に持ち直してくれた。そ んな悪条件に遭ったことによって骨太なクルマであることが分かった。

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穏やかさとスポーティさの両立がXFの良いところである。それはV6モデルにもV8モデルにも変わりなく備わっていた。しかし、V8モデルではタイヤの重さ(硬さ)を感じてしまい、鋭い衝撃をさらりと流すというのはちょっと苦手なのが残念であった。この18インチタイヤ、銘柄に「J」が付いているのは日本専用仕様という意味なのか。もしそうなら、低速度で走る日本向けにもうちょっと柔らかくしてもいいと思う。

余計な心配だが、XFには19インチや20インチを履くモデルもあるので、それらはどんな乗り味になるのだろう。

17インチ仕様は外観は決まらないが乗り味は良いので、ベースモデルがベストチョイスだと思う。3.0Lでは余裕がないのは正直なところだが、日本で走る分にはそんなに不足はないだろう。07JUNE2009

XJ

PORTFOLIO

6AT

1320万円(税込)

ジャガーといえば先代までのXJのイメージ(このスタイリング)が深く刷り込まれており、他には考えられなかったものである。だが、それはクラシックな印象があまりに強く、若い人を取り込むことが困難な状況に陥ってしまった ようだ。

若年ユーザーを取り込まなければブランドに未来がないことから、ジャガーは2008年にS-Typeに代えて斬新なスタイリングのXFを発売し、我々を驚かせた。

XFの姿にもようやく目が慣れ、街で見かけることも増えた2009年、ついに本命のXJが大変身して姿を現した。

最初に写真でXJを見たとき、これはなんとも言えない奇抜なデザインになったものだとXFにも増して驚いたものであったが、 実はこのデザイン、モーターショウでXFのイメージモデルとなった「C-XF」をそのまま市販車に反映したように見える(テールランプ以外)。それはかなり画期的なことである。

実物を見ると、奇抜ではあるが美しいデザインであると感じられる。

外装のデザインにおいて、XFとXJの間にはC-XFをオリジナルとする繋がりは感じられるが、内装のデザインは全く趣向が異なるのが面白い。

ウッドパネルにぐるっと囲まれたXJの内装を目にすると、XFのクールな内装が普通に見えてしまう。また、XJではレザーの使用範囲 がかなり広くなっており、運転席に座るとステアリングホイールのホーンパッドまで革張りになっていることに気付く。この演出された上質な雰囲気には心が動かされる。

計器盤は液晶パネルで表示される。メーター類はアナログ計器を模した表示になっているが、ちょっと高級感に欠ける。しかし、バーグラフ等のデジタル表示にすればさらにおもちゃのような印象になりかねないので、どういう表示にすべきか難しいところである。液晶パネルに は計器以外に色々な画像(情報)を映し出すつもりなのだろうが、今のところあまり役に立っていないようである。

試乗車のPORTFOLIOは上級グレードであり、前席は20ウェイの調整ができるという(つまり調整部位は10項目)。いったい10項目とは何があるのだろうか。ちょっと想像してみよう。

@スライド、Aリクライニング、B座面高(前)、C座面高(後)

ここまでは大衆車によくみられるもの。BL5レガシィも8ウェイである。

Dランバーサポート前後、Eランバーサポート上下

これで12ウェイとなる。Audiの上級仕様はこれぐらいである。

Fヘッドレスト高さ、Gヘッドレスト前後、そしてH、Iはいったい???

走行中に手探りでスイッチを触ってみたところ、「バックレスト位置が固定されたままで座面だけが独立して前後に動く」ものがあった。座面が動くということは座面長を変化させること(以前所有したRECARO LXにあった)に相当するようだ。これがHとすると、もう一つは何だろう。Iはサイドサポートが動くのだろうか。@ABCHは体感したが、それら以外は想像である。詳しい内容を知りたいものだ。

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今回、試乗は高速道路を主体に実施した。

ホテルのエントランスから高速道路入口までの1km足らずの一般道においては特段の印象はなく、大きいクルマであることを意識しなかった。比較できるクルマとしてはMercedes SクラスハイブリッドやBMW GranTurismoぐらいしか試乗経験はないので、限られた話になるが、XJの動きには重々しさがなく、軽快と言ってもいいぐらいの 感触があった。車両重量は1850kgであり、アルミボディゆえ、このクラスではかなり軽く仕上がっている 。

日曜日の高速道路本線の交通量は意外に多く、80〜90km/hぐらいの遅い流れに乗って走らせた。レガシィで通る際にジョイント部の突き上げの大きさに毎度不快な思いを抱いていた 長い橋において、XJはそれをきれいに往なし、体の揺れがいつもより明らかに少なくなっていることが分かった。20インチホイール(オプションのデザインだがサイズは標準品と同じ)を履いているというのに、それはそれは素晴らしい乗り味であった。サスペンションスプリングはエアなのか、それとも金属なのか。なお、タイヤはDUNLOPを装着していた(最近、ダンロップタイヤを履いたクルマの乗り味を良いと感じることが多い)

しばらくは走行車両が多くて何も試すべきことがなかったので、ステアフィーリングに注意を払ってみたところ、動き始めの滑らかさは心に染み入る感触で、その上、路面の状態をうまく伝えてくれることに感心した。また、そんな膠着状態の間にウィンカーの先端のボタンを押して瞬間燃費計を表示させ、睨みながら走らせていると、平坦路で は12〜13km/Lぐらいを示していた(4名乗車)。これは5.0Lエンジンにしてはかなり良好なものであろう。高速巡航を主体にするのなら(発進・停止を繰り返す都心部を走らないのなら)燃費を気にすることはない。

走行車両がまばらになる郊外(我が家の近くまで戻ってしまった)に移動してからちょっとハイスピードを試してみると、低速走行 時よりも快適性が高まった。輸入車にはよくあることだが、日本車とは基準となる速度が違うようだ。追越加速でパドルシフトによるギアのダウン/アップを操作してみると、シフトショックを少しだけ出す(残す)という演出があり、細かいところまでチューニングされていることが分かった。また、ハーフスロットルで4000rpmぐらいまで使うと、5.0L V8エンジンはとても心地良い繊細な響きを聴かせてくれた。高級車にとって演出は大事である。

雨に濡れた路面でのハイスピードコーナーリングでは、継目の鉄板の上で前後輪ともにかなりの横滑りが発生し、ちょっと怖くなった。また、料金所(ETCゲート)からの再加速時には鉄板の上で駆動輪がスリップしてエンジン制御が入り、動きがぎくしゃくしてしまった。これらのことから、タイヤのウェットグリップはあまり 高くないことが窺い知れる。

このように試乗コースはよく滑る状況であったため、フルスロットルを試す気にはなれず、XJの本来の速さ(0→100km/h 5.7秒)を体感することはできなかった。

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ホテルから帰宅するには先ほどXJを走らせたコースを再び辿ることとなり、我がBL5レガシィの乗り味と単純に比較することになってしまった。

レガシィ4台分の価格のXJと比べるなんて、と思うところではあるが、比べたくなくても 必然的にそうなってしまうのである。

違いを簡単に述べておこう。

  • 橋のジョイントをゴツゴツと乗員に伝えるBL5の感触は、サスペンションが硬いだけではなく、ボディやシートの剛性の低さに影響されているようだ。

  • BL5の路面状態を伝えてこないステアフィーリングは、ステアリングダンパーの影響が強すぎるようだ。

  • BL5でホイールスピンが発生しないのは四駆のおかげであろう。雨天走行での安心感は圧倒的に優れている(友人によるとQuattroはさらに良いらしい)

  • カーブ途上の継目の鉄板で滑りにくいのはタイヤ(POTENZA RE050)のゴムの性能が良いからであろう。

  • 水平対向4気筒のゴロゴロ音は趣味性はあるが快音ではない。

  • 燃費は15km/Lぐらい(BL5は3名乗車なのでXJとあまり差はない)

試乗車はPORTFOLIOであり、贅沢装備に目を奪われたが、1000万円の標準タイプのXJ(LUXURY)であっても本質には変わりがないので、それで もいいと思う。10年後にこんな風情のクルマがあったら手に入れたいものだ。

XJの雰囲気と乗り味は素晴らしかったが、雨天走行での不安感は唯一の欠点である。タイヤが太すぎるのかもしれない(F:245mm、R:275mm)。31OCT2010

XFR

6AT

1200万円(税込)

ジャガーの試乗会がホテルで開催されたので、ちょっと寄ってみた。

試乗車はXJ Super Sport、XKR-S、XFRというラインアップであり、普通は販売店に並ばない特別なモデルばかりであった。

エンジンチューニングのレベルが高いXKR-Sが面白そうだと私は思っていたのだが、そんな思いはほかの人 にも同様にあり、会場に到着したときには試乗枠がすでに一杯であった。そのため、次にスポーツ性が高いと思われるXFRを選択した。

XFRの外観は4本出しマフラーや20インチホイールなどでスポーツ性を表現している。こういう演出はスポーツセダンの王道であり、AMGやBMW Mと同じ手法である。早速乗り込んでエンジン始動ボタンを押すと、タコメータは2000rpm付近までドンと回ってくれたが、AMGのような炸裂する排気音は聞こえてこなかった。

見た目とは違って静かに起動したXFRを少し動かしてみると、ハンドルは軽く、アクセルの反応は穏やかで、普通のXFと何ら変わりのない乗り味を持っていることが判った。

試乗コースは都市高速の環状線が指定されていたので、指示に従って入ってみたところ、夕方6時という時間帯は予想どおり混雑の最中となっていた。

停止することはなかったものの、前方に加速できる十分な余裕など出来るはずもなく、車間距離を多く取ろうとしてもすぐに割り込みが入ってくる始末。もはや自由に身動きなど取れる状況ではなく、FMラジオを聞きながらドライブをするだけで終わった。

短時間の試乗で得られた情報は少ないが、印象を書いておこう。

  • 緩やかな加速中、2000rpmを超えると低音の響きが現れるので、この先、排気音が炸裂するのかと期待したが、変身することはなかった。Sレンジで自動シフトダウンをした後の4000rpmで あっても静かなままで、あまりにも静かすぎて面白みに欠ける。
  • 低回転域を使ってみようと思ってパドルシフトでアップの命令を出し続けたが、意外にも1500rpm以下を使うことは叶わなかった。スノーモード は2速発進になることだけは分かったが、通常走行でさらなる低回転域を使うこともできるのだろうか(未実施)。
  • ステアフィーリングは剛性感があって滑らかで、200km/h超をこなすモデルの片鱗が感じられた。
  • 乗り心地は20インチホイールを履いているとはとても思えないほど滑らかで穏やかであった。可変ダンパーが備わっているというが、それだけでこんなに快適な乗り心地が実現できるとは思えない。脚やボディの設計がうまくできているのだろう。
  • 車体はBMW 5erと同程度の大きさがあるはずなのに、運転手の感覚ではとても小さく感じられた。3erのような感じで動いてくれるので、気持ちがいい。
  • 一瞬だけわずかにアクセルペダルを踏み足す機会があった。そのレスポンスはなかなか気持ちがよく、510PSという性能を存分に味わってみたいと期待させるものであった。
  • ブレーキはかなりサーボが強いので、繊細なペダル操作が求められる。クリープ状態からショックレスで停止できることから、パッドの摩擦係数はあまり高くないことが想像できる。鳴きやゴリゴリしたタッチはないので、高温まで対応できるパッドが装着されているとは思えない。

羊の皮を被った狼という宣伝文句が流行したことがあったが、XFRはどう表現すればいいのか分からず困ってしまう。世間の標準的な速さに呑み込まれている間はとことん紳士的でどこにも尖ったところがない 普通のサルーンであった。 助手席に乗った人は、これが510PSのスーパースポーツであることに絶対に気付かないので、クルマに疎い奥様を騙して買うのにちょうどいい。XFRの持てる力をフルに発揮させるといったいどんなことになるの か、是非試してみたい。08MAR2012

XE

2.0 PRESTIGE

8AT

515万円(8%税込)

Photo: Jaguar Land Rover Japan

 

 

 

オプション装備

19インチタイヤ

サンルーフ

シートヒーター&クーラー

 

ジャガーの小さいFRセダンの情報はかなり前から出ており、日本に導入されるのを楽しみにしていた。

基本骨格がアルミニウム合金で作られるというのは、このクラスでは画期的なことだ。Cクラスもアルミが多用されているが、それは外板であり、骨格ではない。一方、XEのドアパネルが鋼板であるというのはなんだか面白い。

2015年1月にはイギリスのメディアが詳しい記事を発表していたhttp://www.telegraph.co.uk/cars/jaguar/xe/)ので、あと数箇月かと期待していたが、発売は8月になった。長く待たせるものである。

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このたび、店頭に試乗車が配備されたという情報を得たので、ちょっと試してみることにした。

XEは小さくても最近のジャガーのイメージを纏っている。そのエンジンは2.0Lターボが基本設定である。

ジャガーでは2.0LエンジンがすでにXJやXFに搭載されているので、珍しいものではない。しかしXEには、XJやXFの240馬力仕様が高性能版として設定され、普及版として新たな200馬力仕様も用意された。

さて、試乗車のエンジンはどちらなのか。。

知らぬまま乗ってみた。

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前席で感じる雰囲気はこのクラスの標準的なものであり、Cクラスといい勝負だ。

店から国道に出て、少し加速させてみると、なかなか反応が良かった。果たして、これは演出なのか、それとも、さらに踏めばしっかり加速力を増してくれるのか。

8段ATは、良いか悪いかは別にして、変速していることがきちんと感じられるものであった。街乗り試乗で使ったギアは、おそらく5段目か6段目ぐらいまでであろう(Dレンジでは選択されたギアポジションが分からない)。

ステアリングの操作感は滑らかで良かった。特にセンターから左右に微妙に振ったときの抵抗感がほとんどなく、自然な感触であるのが気に入った。また、初期の反応は適度に鋭く、外周で指2本分ぐらいの操作に対して明瞭に車両に動きが現れるのは良いものだと感心した。Cクラスのセンターの固着感、我がBL5レガシィの初期反応の鈍さに比べて、XEはとても優秀だ。

ブレーキはペダル踏力に対して利きが強く、運転が楽というメリットがあるものの、コントロールしづらく、気に入らなかった。ダスト発生の少ないパッド(摩擦係数が低い社外製品)に替えるとちょうどいいかもしれない。

アイドリングストップ機能は当然備わっている。しかし、再始動時の動きはとても荒っぽく、数回試した後、機能をOFFにしてしまった。

走行モードはノーマル以外にダイナミック、ECO、雪がある。穏やかな街乗りの途中でダイナミックにセットしてみると、特に変わりがなかった。BMWのように1段ギアが落ちるかと想像していたのだが、そのままの状態が維持されていた。ただ、アクセルペダルを踏むと、少しゲインが高まり、やや高いエンジン回転数を維持するということが判った。もしかすると、山道などで活発に走らせると学習が進んで自動でシフトダウンをしたりするようになるのかもしれない。ECOも試してみれば良かったのだが、今回は巡航する機会がなかった(加減速ばかりであった)ので、選ばなかった。

乗り心地は19インチタイヤを履いている割に良かった。しかし、フロントからの突き上げ時に変な音が発生するのは気になった。なお、タイヤはDUNLOPを履いていた。

最近のクルマらしく、エマージェンシーブレーキアシストが標準装備されている。SUBARUのように緊急自動ブレーキが作動するか否か分からないが、これは「かなり慎重な奴」であることが判った。前方の車両に対してまだまだ遠く離れているというのに、「前の車両に近づいているから注意して!」と頻繁にブザーが鳴るのであった。特にアクセルペダルを踏んでいるときは、アクセルペダルを放しているときと比較して、より遠くから警報を出すのが判った。運転手が本当に前を見ていないときなら、この警報を聞いてから前方を注視して操作を開始する時間的余裕があるので、有用とも言える。しかし、運転手をもっと信用して欲しいものだ。

交通量が少ない道に入ってから、セレクタをSに入れてフル加速を試してみた。いきなり全開では過渡特性が分からないので、いつものようにゆっくり踏み込んでいくと、なかなかリニアな加速感の増加があった。そして、その速さは十分であると感じた。

試乗車には革シート表皮の穴から風が出る仕掛けが付いていた(オプション)。私は革シートを好まないが、これは夏の日差しで熱くなった革シートの不快感(蒸れる)を大いに和らげてくれる良いものだと感じた。

22AUG2015

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この車両、標準タイヤは17インチだという。205/55R17というのは「レガシィに使ってみても面白いかも」と思っていたサイズであるが、そんなサイズのタイヤではXEのボディに似合わない。試乗車の255o幅(リアタイヤ)はカッコイイが、そこまで太いタイヤも不要なので、このクラスの標準的なサイズである18インチ(225/45R18)でいいのではないか。

後席はとても狭い。Mercedes、BMW、Audiはこのクラスのモデルを何世代も作り続けることにより、良いバランス点を見出しているようだが、新参者は上手く作る術を知らないのかもしれない。キャデラックATSの後席も非常に狭かったという記憶が蘇る。まあ、XEはアルミボディという特殊性があるので、不利ではある。

販売員によると、試乗車のエンジンは200馬力仕様だという。この性能は私にとって十分なものである。多段トランスミッションがあるから、これぐらいで満足できるのかもしれない。 

 

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