大阪トヨペットの試乗会が河内長野のプラザ阪下で開催された。このイベントはハイラックスサーフの新型V6 4.0Lモデルの披露を目的としたものであり、従来の4気筒 2.7Lも比較試乗のために用意されていた。

プラザ阪下には過去に2度、ランドローバー「ディスカバリー」および「ディスカバリー2」の試乗会で訪れたことがあるが、別のクルマでオフロードを走るのも楽しいだろうと思ってやって来た。

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L4 2.7

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V6 4.0

【2.7 SSR-G】

まずは直列4気筒のモデルを試してみた。4気筒で2.7Lという大排気量のエンジンが成立するというのが驚きであった(ポルシェに4気筒 3Lというのもあった)が、走らせてみると特に振動が大きいわけでもなく、低回転域だけを使うオフロードでは頼もしい特性を有し、1.9トン近くある車体を急坂の上に引き上げることはたやすいことであった。

4WDでのギア設定はオフロード車らしくハイとローの切り替えが可能で、試しにローレンジに入れて走ってみると、加減速にメリハリがついて走りやすくなった。しかし警報がピーピーと鳴り続けるのは耳障りであり、ローレンジは短時間の使用に留めた。ローレンジというものは、ハイレンジでは動くことができない極めて厳しい場所での使用に限られるのだろう。そんな場所が公道にあるのだろうか。

ディスカバリー試乗会の時のように前後車軸が逆位相になるような場所は今回のコースに設けられていなかったが、サーフの脚は凸凹路で良く動き、乗り心地は優しくてなかなか快適であった。柔らかくストロークが大きい脚であっても205mmの最低地上高があれば底を打つことはなく、どんなところにでも行けそうな気にさせるクルマであった。また、ステアリングはトヨタ車らしくとても軽くてスイスイとロックまで回すことができ、ディスカバリーのように格闘する必要はなかった。

【4.0 SSR-G】

続いてV6モデルに乗ってみた。これはエンジン始動の音からしてまったく異なり、滑らかな振動が高級感を漂わせていた。

スロットルを開けてみると特性は2.7よりも穏やかで、駆動力の調整幅の広いことに好感を持った。車両重量は2.7とさほど変わらず、排気量が1.5倍ほどあるため、動力性能には余裕が感じられた。急な登りでも低回転でトコトコ進むことができるのは頼もしい。

乗り心地は2.7と比較してかなり硬く、脚があまり伸び縮みせずにガツガツと路面の変化を拾った。おそらく4.0はオンロードでの安定性を確保しようと考えたのだろう。動力性能に優れ、アスファルトの上で高い速度を出す可能性があるモデルでは、こうなるのは仕方がない。

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ハイラックスサーフは、素人の想定の範囲ではどんな悪路にでも行けそうな雰囲気があった。助手席と後席の乗り心地(揺すられ感)は大差なく、荷室もまあまあ広いので、4人乗車でアウトドアに出かけるという夢を描くことができそうなクルマである。バブル経済が華やかな頃にはこのような夢を見られるクルマが大いにもてはやされたが、実際には道なき道を走る機会などまったくなく、今や乗用車ベースの都会的SUVへと趣向が変わってしまった。しかし、このようなクルマを欲しい人はまだ居るわけで、所有するなら本来の性能を知っておきたいという願望はあり、少数派の人にとってプラザ阪下の試乗会は有意義なものであると思った。(27NOV2005)

 

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