Flushing oilは必要か?

エンジン油を交換する際に、フラッシングオイルを使うか否か。

いろいろな考え方をする人がいるが、私は否定派である。なぜなら、エンジンを開けて確かめてみた経験による。

1988年頃、安物の中古車を買ったのであるが、それはあまり丁寧に乗られていなかったようで、エンジンフィーリングはとても重かった。おそらくオイル交換には無頓着だったのだろう。そこで、鉱物油ベースの安いエンジン油を短期間でたびたび交換し、頻繁に高回転まで回すことにより、元気なエンジンに変身するよう努力してみた。また、その頃は、フラッシングオイルを使えばエンジン内部の洗浄が可能であると思っていたので、調子が良くなることを期待して一度だけ小さい缶入りの製品を試してみた。しかし、フラッシング後に新たな汚れが排出された形跡は特になく、フィーリングにも何ら変化を感じられず、その時から効果に疑いを持ち始めた。しばらく後、ボアアップをするためエンジンをバラしたのであるが、内部を見て驚いた。スラッジがものすごく溜まっており、どこもかしこも焦げ茶色に染まっていたのである。その汚れを取るために金属ブラシ、金属タワシを使って磨き、灯油をかけて洗ったが、なかなか取れずに苦労した。

エンジンを開けるまでに行った頻繁なオイル交換やフラッシングオイルの使用でも、すでにこびりついたスラッジを落とすことは不可能なのであった。したがって、スラッジのないきれいなエンジンを維持するためには、新車時からマメにオイル交換をして、汚れを溜めないことが大事である。それが証明できたのは、次にエンジンをバラした時であった。カムシャフト交換のためにヘッドを外して内部を見たところ、全くスラッジは付いておらず、前回磨いた表面がそのままの姿を現したのは嬉しかった。

最近のフラッシングオイルは、一度使用しているオイルをドレンプラグから排出した後、オイルの代わりに入れて内部を洗浄する全量交換タイプ(3〜4Lの製品)が多く、その組成は低粘度鉱物油に清浄剤を高濃度に配合したものと思われる。組成がエンジン油と似ているため、フラッシングオイルがエンジン内部に多少残って新油と混じったとしても、問題を起こすことはないといわれる。しかし、フラッシングオイルの使用説明書どおりでは、油の温度が上がらないまま短時間(10〜20分ぐらい)エンジンを回すだけであり、そんな時間でスラッジが落ちることは考え難い。フラッシングオイルを使えば、汚れた使い古しのオイルがエンジン内に残る心配は少なくなるが、単に汚れた古いオイルを排出させるために2000円も出して買うのはもったいない。そんなことをするのなら、2000円の普通の鉱物油(SJ以上)を入れて1000〜2000km走り、清浄成分が残っているうちに排出するほうがよっぽどマシである。

エンジンを回すと空気中のチリ、基油の酸化、添加剤の劣化によってどうしてもオイルは汚れる。そのため、エンジン油には汚れを分散する添加剤(清浄分散剤)が入れられている。その能力が十分残っているうちにエンジン油を交換することで汚れの付着を防ぐことができるのである。その期間はオイルによって異なると思うが、5000〜1万kmぐらいではなかろうか。メーカー指定である15,000km毎の交換では、調子を崩すことはなくても、きれいなエンジンを保つにはちょっと長いのではないかという心配はあるので、フラッシングオイルなど使わないで、鉱物油なら5000km毎にオイル交換をしておけば良いと思う。なお、3000kmでのオイル交換は販売店の宣伝文句なので、信じる必要はない。

 

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