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DEMIO

Casual 1.35L

4AT

某自動車雑誌にはDEMIOの値引き目標は27万円と書いてあり、それを目安にしていた。

2004年初売りで30万円引というのを大々的に宣伝していたため、ちょっと店に入って話を聞いてみることにしたのである。そして、少しだけ試乗も。

シートは体をしっかりと支えてくれる硬いクッションを持ち、大きさも充分あり、全体が動くリフターも備わっている。ステアリングホイールとの位置関係も良好で、適切な姿勢がとれることに好感を抱いた。

走り出すと、ステアリングのしっかりした感触に驚いてしまった。VitzやFitと違って、かなりの重厚感があり、好ましい。

脚はきれいに動くため路面の当たりはスムーズで、気持ち良い走りを見せてくれた。

走行中の音は、一定速度のときには静かであったが、加速中はエンジンまたはATからヒューという音を発するのが気になる点。パワーも少し足りない。そのうちに1.5Lモデルにも乗ってみたいものである。

コンパクトカーの中では骨太な印象が残るクルマであった。

VERISA

FWD

Dress up package

4AT

DEMIOの1.5Lをベースにしたちょっと上質なコンパクトカー、というのがVERISAである。これまでDEMIOに乗った経験は上記のとおり1.35Lだけなので、直接ベース車との比較ができないが、少しだけ感想を述べてみる。

外観はなかなか存在感がある。実際の大きさはDEMIOよりも50mm長く、15mm幅広いだけなのであるが、車格が高く見えるようにデザインされている。

VERISAにはグレード展開がなく、FWDとe-4WDのいずれかをベース車輌として選ぶことになる。その上に様々なオプションを載せていくというスタイルである。今回の試乗車は、ドレスアップパッケージ(前後左右のクローム飾りモール、フォグランプ等)、アルミホイール、革巻ステアリング&運転席肘掛、ハードディスク録音装置がついていた(合計16万円程度のオプション)。カタログに載っている写真もこのような仕様であるが、実際に最も多く選ばれるものだと思う。ただし、革巻ステアリング&運転席肘掛(2点はセットオプション)は不要かも。なぜならノーマルウレタンステアリングは一部にディンプルが開けられたなかなか洒落たものだから。

運転席に乗り込んでみると、まずはその色使いが気に入った。シートとドアやダッシュパネルの色が淡いオリーブ色で仕立てられ、明るいのは気分が良い。センターパネルの色は金属調であるが、使用面積が少ないためATENZAのような安っぽい感じがなくて良い。タコメータとスピードメータがとても大きくて見やすいのも気に入った。唯一気に入らないのは、ツィータのカバーのデザインである。取ってつけたように見えて他の部品とのバランスが悪い。

シートは前後と高さをこれでもか!というほど大きく移動させられる。150cmから190cmの人が最適なポジションを選べるという話であるが、190cmの人を想定するのなら、シート高をあと20mm下げてもらいたい。55mmも移動できるので、それで問題ないだろう。現状では175cmの運転手が乗っても視線が高すぎると思ってしまう。なお、ステアリングホイールは上下にしか動かせず、見えないところにはコストが掛けられていない

録音用ハードディスクには始めからいくつかの曲が収録されているようで(100曲インストール済みか?)、それらはBGMに適当なものであった。ドアのスピーカーが高音を出せないようで、ツィータは前面だけにある。したがって、前席ではバランスの良い音が聞けるが、後席ではあまりパッとしなかった。FMラジオの感度は悪く、自動選局してもなかなか入るはずの局で止まらなかった。アンテナが格好優先の屋根の上の短い棒なので、このようなことになっていると思われる。

エアコンは風量と風向を自動調整するタイプで、なかなか高級感があった。風量はマニュアルで8段階に調整できるもので、自動でも同様に8段階に変化した。このクラスでは立派なものである。

そして試乗の感想である。まずは後席に乗ってみた。

シートには気を遣っているというVERISAであるが、宣伝のとおりリアシートはなかなか立派なものであった。クッションの厚みや奥行が充分にあり、コンパクトカーとは思えない充実ぶりである。また、ヘッドレストの高さも充分にあり、190cmの人が後席に座ることも可能である。しかし、シートバックの角度が問題である。寝すぎているので、きっと疲れるだろう。最近のマツダは変な設定のクルマが多い。

次に運転席に移った。

まず目に入ったのは大きいフットレストである。たいしたことではないかもしれないが、立派なフットレストにはいたく感心してしまった。ゆっくりとした速度で走らせてみると、すべてが自然なタッチ&フィーリングで、うまく作られているのが分かった。左足ブレーキングもさほど無理なく踏むことができた。

ちょっと速度を上げてみると、直進時のクルマの動きは安定感が高く、ステアリングの据わりは良かった。ゆるやかなカーブで少しハンドルを切ると、直進時の安定感が嘘のように消え、シャープに反応し、リアが遅れないでサッと付いて来る感触が気持ちよかった。

DEMIOよりも静粛性が高まったという話であったが、実際のところ「そうなのかな?」と思った。ゆっくり走っているときのエンジンやミッションの音はあまり気にならなかったが、ロードノイズがモヤモヤと共振しているような感じが耳障りに感じたのである。標準タイヤは騒音を出すようなパターンではなかったが、銘柄変更で多少は改善されるかもしれない。

急加速のために低いギアへ変速した際のエンジン音はかなりのものであった。4段しかギアが存在しないので、ダウンシフトでエンジン回転が急上昇するのは仕方ないにしても、ちょっと興ざめしてしまう。JATCOからCVTを買うということは考えなかったのだろうか。

乗り心地は兄弟車のFORD FIESTAのような重厚さはなく、DEMIOとあまり変わりがないように感じた。日本の交通環境に合わせたセッティングなのだろう。

荷室は意外に広く、アクセラと同じような仕切り板で色々な形態を作ることができる。大切なものを荷室に置いておく場合は仕切り板を外からの目隠しとして使うのがいいだろう。底が低いのでかさ張る荷物も収納できる。長い荷物を載せるとき、リアシートバックを倒すのは荷室側から紐を引っ張ると簡単にできる。そのときに仕切り板を下へ移動すると荷室が平らになるので便利だろう。仕切り板と底の間には隙間ができるので、サブトランクとして使うこともできる。大切なもの荷室に放置することがないのなら、サブトランクのある状態(目隠しなし)で使うと、後席から荷室へのアクセスが容易である。リアゲートから荷物を積み下ろしする場合も、床面が高いほうが便利である。常時積んでおく小物はサブトランクに仕舞っておくといいだろう。

今までは大人向けのコンパクトカーというものは国産車に存在せず、欧州製モデルに人気が集まっていたが、ちょっと上質なコンパクトというコンセプトを掲げるVERISAは大人の鑑賞にも堪えられる出来になっていると思われる。基本はDEMIOなので悪くないし、内外装の上品な仕上げが気に入れば、積極的に買ってもいいだろう。

 

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