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PT CRUISER

Cabrio

LIMITED

4AT

左ハンドル

 

318万円

レトロなイメージが売り物のPTクルーザーにオープントップモデルが追加されている。このモデルにはアメリカ仕様と同じ2.43Lのエンジンが載る。なお、普通の5ドアハッチバックモデルも2004年10月に2.0Lエンジンからアメリカ仕様と同じ2.43Lエンジンに変更されている。

このPTカブリオは外装ではバルクヘッドより前がノーマルPT(5ドア)と共通になるだけで、それ以外はほとんど専用部品となる。それにもかかわらずノーマルPTと比べて25万円しか価格が上がっていないというのは驚きである

まずはオープン状態で乗ってみることにした。シートポジションは上下動のみが電動調整になり、スライドやリクライニングは手動式になる。着座位置を最も下げた状態にしてみたが、フロントガラス上縁がかなり低くてサンバイザ等が視界の妨げになるのが気になった。あと30mmぐらいシート位置を下げられるようにするか、ステアリングホイールを50mmぐらい引き出せるようにしてもらいたい(現状ではステアリングは上下にしか動かない)。アメリカ人がこんなポジションで乗れるのだろうか。

試乗コースは交通量が多く、低速度で走ることを強いられたため、路面からボディへの入力が大きくなく、それゆえボディ剛性感の不足は全然感じることはなかった。オープンカーの軟弱さを最も感じやすいフロントガラスの揺れも感じられなかった。フロントスクリーンフレーム補強とロールバーによって剛性が高められているのだろう。ロールバーがあるおかげで車両重量はノーマルPTから50kgしか増えていない。

風の巻き込みはドアガラスを上げた状態ではほとんど気にならなかった。頭上を涼しい秋風が通り抜けていく感触はとても心地よいもので、オープンカーに乗っていた頃を懐かしく思い出してしまった。

途中、信号待ちの間に幌を閉めてみた。その際に特別な操作はいらない。スイッチを押し続けるだけでモーターによって10秒ぐらいで動作は完了する。ATのシフトポジションをPに入れることも駐車ブレーキを引くこともなく、時速10km以下あれば動いていてもよいという便利なものである。ただし、幌をフロントガラスのフレームに固定する作業は手動で行わねばならない。3層構造の幌をかぶせると、外界の音がほとんど聞こえなくなり、普通のクルマ並に静かに走ることができた。また、ロールバーの上を幌が覆うため、室内の頭上高は充分に確保されていた。

エンジンはDOHCであるが、高回転まで回る設定ではなく、かといって低速での力強さもなく、走りは国産の2.0Lと大差ない。これは4段変速のATの影響もあると思われる。このATは、かなり 1st ギアが低く、発進直後の伸びがないのである。もっとギア比を高めてやれば、2.43Lエンジンのトルクを生かした走りができるだろう。

カブリオは今のところ左ハンドルしか存在しないが、販売量が多くなれば右ハンドルも売られることになろう。日本で乗るには左ハンドルはやはり扱いづらいので、しばらく待って様子を見るのも良いだろう。

大人が4人で乗車できるオープンカーは307、9-3、A4、330Ci、C70、CLKなどに設定されるが、オープンカーはすべてベース車に対してかなり高額である。そういう中でこのPTカブリオだけは庶民的な価格設定がなされ、とても魅力的に感じられる。それに加え、アメリカ仕様ゆえレギュラーガソリンに対応しているのも嬉しい。

親と同居する未婚の人や一人暮らしの人にとって、通勤やレジャー用に好適ではないかと思う。

PT CRUISER

GT

4AT

左ハンドル

2004年10月に登場したというターボ付きモデルが試乗車として出ていたため、少しだけ乗ってみた。

外観でGTであることを認識できるのは1インチ大きくなったホイール(タイヤサイズは205/50R17)ぐらいのもので、インタークーラーはよく見ないとグリルの奥に存在することは分からない。

エンジンはノーマルと同じ2.43Lで、圧縮比を下げて(9.4→8.1)ターボチャージャーにより過給する。性能は、出力が164kW(223PS)、トルクが332Nm(33.9kg-m)という立派なもので、VW/Audi、Renault、OPELなどの2.0Lターボを凌ぐ。ただし、ガソリンはハイオクを必要とするようになった。

動かしてみると、舵角がかなり制限されて小回りが利かないことに気付いた。オーバーフェンダーのように見えるのに、ホイールハウス内の空間は小さいのかもしれない。

スロットル操作に対してエンジンはターボの存在を意識させられることなく反応してくれた。圧縮比が時代遅れと思えるほど低い割には良く出来ていた。オートスティック(Tipシフト)で低いギア(2速)を選んでからスロットルを大きく開いてみてもターボラグはなく、なかなか上手にセッティングがなされていると思った。ただ、スペックほど速くはなかった。

ATの設定は標準的であると思ったが、走りの鈍さを鑑みるとエンジンの力を十分に引き出しているとは思えない。ギア比は80km/hで2000rpmを少し下回る程度であった。TipシフトはMercedesのように左右に振るタイプであるが、慣れないと使いにくいと感じた。キックダウン時の制御は上手であったので、Dレンジに入れっぱなしで何ら問題はない。

ブレーキは踏力に対して制動感が弱く、しっかりと踏み込まないと利かない。パッドを替えれば済む話かもしれないが、パワーがあるエンジンを載せているのなら、もっと利きを強く、タッチを明確にしても良いのではないかと思った。

内装はノーマルとほとんど同じであるが、革シートが標準装備され、さらにシートヒーター(座面から腰の少し上まで暖まる)も備わるので、なかなか快適な乗車ができた。また、サンルーフが室内を明るくしてくれるのも良かった。PTは前後とも着座位置が高いので見晴らしは良いが、走行中は一般の乗用車とは少し違う不安感が常にあった。全般的な乗り心地はインチアップしたホイールの重さを感じることなく快適であった。

ノーマルPTはマイナーチェンジで2.43Lに排気量を大きくし、ようやく街乗りで最低限の動力性能を持たせたと思う。もし、それを不満に思う向きにはターボ付きのGTを選択するのも良かろう。ただし、直線道路以外では飛ばすと危ないと想像される。販売員が六甲山で試走したらブレーキと脚に不満を抱いたという。

このスタイルをファッションとして乗るのならノーマルPTの右ハンドルでいい。GTを必要とする人は限られるだろう。【06MAR2005】

 

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