Brake pad交換

ここでは浮動式キャリパでの交換方法を示します。

駐車ブレーキ兼用キャリパおよび対向ピストン式は省略します。

お好みのブレーキパッドを手に入れたら、先ずは工具を揃えましょう。

キャリパの固定ボルトを外すには、国産車であれば12mm×14mmのメガネレンチがあれば大体OK。 輸入車では、例えばAUDI A4ではメガネレンチの代わりに六角棒レンチが必要になります。 クルマの状態に合わせて工具を準備してください。

ゴムハンマー、ブレーキクリーナーもあると便利です。

ジャッキアップしてホイールを外すとキャリパが見えます。キャリパは上下2ポイントだけで固定されているのが分かります。

下側のボルトを緩めて固定を解きます。写真では上側にボルトはありませんが、上にもにボルトがある場合、緩めるだけで作業できるものもあります。ボルトを外してキャリパを単体で自由にしたときはブレーキホースを引っ張らないよう台の上に置いておくなど注意してください。

上側の支持ポイントを中心にキャリパを持ち上げるとパッドが剥き出しになります。キャリパが動きにくいときは、揺すりながら少しずつ持ち上げましょう。揺らすときはジャッキが倒れないように注意してください。

パッドを固定する構造は簡単なものです。ガイドの中に挟んであるだけなので、手で引っ張って外します。外しにくい場合はマイナスドライバーを使って徐々に引き出してください。

キャリパを見るとピストンが頭を出しています。「ピストンとツメの間の距離」=「パッド2枚の厚み+ディスクの厚み」に相当するので、パッドが減った分をピストンが突き出してきて隙間を調節していることになります。

新品パッドを組むときには、突き出たピストンを押し戻して、パッドが入る隙間を広げてやることが必要になります。

ここでは2ピストンキャリパの写真で説明していますが、ピストンが1つだけのものでも同じです。

ピストンは力で押し戻す以外に方法はありません。専用の工具もあるのですが、素人には不必要です。この作業が一番キツイのですが、人力で勝負しましょう。

作業の前にブレーキ液の量を必ず確認します。リザーバーにFullレベルまで入っているとピストンを押し戻したときに溢れてしまうので、Lowerレベル近くまでスポイト等で抜き取っておきます。

さて、両手でキャリパをしっかり固定したら写真のようにゴムハンマーの柄をピストンの穴に差し込んで、ゴムヘッドを膝に当てて押します。するとピストンがゆっくりと戻っていくでしょう。写真のような2ピストンの場合は、一方を押すと他方が出てくるので、反対側が突き出し過ぎないように注意しながら徐々に戻していくと、最後にはピストンの頭がほとんで出ていない状態になります。

その他の方法としては、使い古しのパッドをピストンとツメの間に入れて、その隙間をレンチ等適当な工具でこじって広げていくということも可能です。その時 ピストンに斜めの力がかからないように気をつけましょう。

ピストンを戻したら、これまでの手順と逆に新品パッドを装着し、キャリパをボルトで固定すれば交換は終了。

ここで大事な最後の注意点があります。走り出す前に運転席に座ってブレーキペダルをタッチが硬くなるまで何度か踏んでおきましょう。ピストンを押し戻したとき、ピストンとツメの間は新品パッド+ディスクの厚みより若干大きく開いていますので、余分な隙間を詰めておく必要があるのです。それを忘れると一発目のブレーキで怖い目に会います。

ようやく走ることができますが、いきなり山へ GO! というわけにはいきません。過去にパッドの攻撃を受けたディスク面は平滑ではないので、新パッドの摩擦面がその表面にピッタリ合うまでは大人しく走ることが肝心です。ペダルタッチが良くなってきたら存分に性能を使いましょう。

 

 

参考:BRAKE PADのローテーションについて

タイヤのローテーションというのは耳にしますが、PADのローテーションって何? とお思いでしょう。通常走行では1セット4枚のPADは均等に減るので気にしなくていいのですが、サーキット走行などでブレーキを酷使した場合には減り方が異なってくるのです。

PADは一般的に摩材が高温になるほど減りは早くなります。ブレーキを酷使した時には1枚のディスクに対して内側のPADと外側のPADの温度に差がつきます。外側はホイール越しに見えているので走行風で冷やされるのですが、内側はキャリパの中に収まっているので冷えにくく、高温になる内側のPADは早く減ってしまうのです。

サーキット走行会から帰ったらPADの残量を確認するのは当然ですが、PADを外すついでにローテーションをしておくと最後まで摩材を使い切ることができるのです。

なお、ローテーションをした後は、ディスク面とPAD面がキレイに当たっていないことから効きが悪くなりますので注意が必要です。また、前述以外にローテーションのメリットとして私が期待しているのは、レコード盤のように傷ついたディスク面の凸部に 入れ替えたPADの凸部が当たって、ディスク表面の凸凹を修正してくれる可能性があることです。

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