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ABSについて

最近のクルマにはABSは付いていて当たり前になったが、1990年代初めにはオプション扱いのクルマが多かった。94年10月に出たインプレッサWRXのC型を見て すぐにでも買うつもりだったが、ABSを装着するかどうかで大いに迷った。それはメーカーオプションで16万円もしたからである。札幌スバルの店にはABS付きの試乗車が配置されず困っていたところ、レーシングドライバー清水和夫選手のドライビングレッスンでABS体験ができると聞いて岩見沢まで出掛けた。 ABSが付いていたのはレガシィGT(BG5)だったが、ABSのないインプレッサWRXと乗り比べてみると コーナーリング中のブレーキングでABS装着車は高い安定性が得られるのを感じたため、オプション装着を決定。 そして11月にWRXが我が家にやってきた。早速 雪が降るのを待って夜中に石狩新港に出掛けてABSがどのように効くのか色々と試してみた。柔らかい雪の道ではABSを効かせたままでステアリングがよく効くのが印象的であった。

ある寒い日、クルマと体の慣らしのために札幌から道東方面にWRXで行った。高速道路が開通する前は山越えが普通だったので日高の山を越える峠を通ったが、北海道の人は氷雪の上をとんでもないスピードで事もなげに走る。「慣らし運転」と自分に言い聞かせてスピードを出さなかったが、最も標高の高いところにある長いトンネルの中では先行車につられて100km/hぐらい出ていた。トンネルを抜けると急カーブになるのは何度か走って知っていたので 300mぐらい手前でブレーキペダルに足を軽く乗せてみた。その途端にABSが作動しペダルが震えた。本当に軽く乗せただけなのにABSが効くなんて…路面はどんな状態なのか??? もしABSが付いていなかったらどうなっていただろう。トンネル内でスピンして壁にぶつかっていたらとても16万円では済まない。

札幌で3回冬を越したが、ついにアイスバーン、圧雪、固まっていない雪の感触の別は掴みきれなかった。雪道の経験が浅い関西人には北海道の冬は厳しかった。

関西に戻ってからセントラルサーキットに行った。雨の走行会は2回目だったが、タイヤの溝は少なくなってかなりトリッキーな動きをするようになっていた。走行時間がまもなく終了というところで第10コーナーで滑り出し立体交差の手前でスピン。路面はだんだんと滑りやすくなっていたようだがそのまま走行を続けているとさらに第6コーナーでリアが滑った。通常ならスロットルを開けて前に進めるところだが、あいにく前方にはEG6(シビック)がスピンして止まっていた。仕方なくブレーキを踏むとABSが邪魔をしに来た。通常スピンモードに入って立て直せないときには安全な方向に向けてからブレーキロックさせて慣性に任せて滑らせるのであるが、ABSが効いているとタイヤが回ってどんどん巻き込んでしまい、ついにはタイヤバリアに横からぶつかってしまった。再スタートするためにグラベルで後続車が途切れるのを待っていると、別のEG6が目の前を滑っていき、先に止まっていたEG6に近づいていく。当たる!っと思ったらなんと1m手前で止まった。

WETのサーキットで自分のコントロール下において滑らせるのは楽しいが、アクシデントに対処する余裕は少なくなってしまうのを実感した。ABSが付いていなかったら壁と仲良しになることはなかったが、通常のブレーキングでは付いているほうが安心できる。サーキット走行時に解除するか否か難しいところである。この勉強代(板金)は10万円であった。

 

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