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R

初期モデル

スバルの軽自動車が新しくなった。

モデルチェンジの主なポイントは、デザインが変わったということ。主力グレードから過給器を外し、ボディを軽量化し、燃費を向上させたのもポイントである。また、全高をPLEOより下げることによって、使いやすく(立体駐車場に入れられるように)なった。これは軽量化にも役立っていると考えられる。展示車両を見ると、外装、内装とも軽自動車らしい安物感はなくなっている。ただし、室内は旧規格のVIVIOと比べても狭く感じる。前席で適正な運転姿勢をつくると、後席は膝の前に余裕はなくなるし、横方向の余裕も少ない。

販売員と試乗車に乗り込むと、R2の室内の狭さを実感する。前席に男が2人乗ると、なんとも窮屈である。最近の他社の軽自動車は広さを謳うクルマが多いので、それらとの差は大きい。まあ一般的に軽自動車は奥方の買物の友なので、これでいいのかもしれない。

シートスライドは、最近のインプレッサ(GD、GG)等と同様にレールの両側にロック機構を採用しているため、がたつきがなくて良い。また、運転席の座り心地はフンワリしているが、腰部分が無闇に沈み込むことはないのが良い。

エンジンを始動すると、軽自動車らしくない音でEN07(DOHC VVTi)は回った。VIVIOよりもかなり静かになっている。雑音や振動が少ないのが良い。

シフトレバーをDに入れると、トルコンがついているためクリープを発生させるが、推進力が弱いため、ブレーキを強く踏まなくても止められる。サイドブレーキでも簡単に止められるので、なかなか好ましい。Dレンジで停止していても、小型車によく見られる振動が発生しない。

動き出すとトルコンはすぐにロックアップし、iCVTのみで走ることになる。CVTのベルトノイズは最近の日産車(ティアナ、プリメーラ等)では殆ど分からなくなったが、同様にR2でも気にならなくなった。最近のCVTにはトルコンを組み合わせることが多いが、重くて場所を取るトルコンを発進時のクラッチの代わりにのみ使用するというのは何とももったいない気がするのは私だけだろうか。

ゆっくりと住宅地の中を走ると、CVTの変速の感触は良く、乗り味は当たりがソフトでありながらフワフワ感がなく、大きいギャップを踏んでも内装がきしまず、ステアリングはスムーズで、ブレーキのタッチも良く、走りに文句をつけるところがなかった。リアサスは軽自動車では珍しい独立懸架で、それを覗いてみると、ロワリンクの長さに驚いた。

Dレンジのままスロットルを全開にしてみると、徐々にエンジン回転が上がり、6000rpm弱を保持して加速していく。加速感はVIVIO(NA車両)よりもとても上質で、さらに速さも上を行くような気がした。Lレンジにすると高回転を使うようになり、全開にしてみると7000rpm弱をキープしながら加速していく。エンジンは気持ち良い音を聞かせてくれる。スロットル全開中は静かではないが、不快ではない。

不満なところは、フットレストがないことである。AT車を運転するときには、私は左足ブレーキを多用するのであるが、フットレストがないと足の移動量が大きくなり、安全性に問題がある。左足ブレーキができるペダルレイアウトにしているのなら、適切な位置に足置き場がほしい。なお、VIVIOにはフットレストが備わっている。

Rグレードだけの装備で「ECO」スイッチがある。シフトレバー脇のボタンを押すとメーターパネル内にECOランプが点灯し、燃費を良くする制御が入るらしい。しかし、このモードで何かが変更されていることを体感することはできなかった。それならば、常にECOスイッチをONにして走ればよいと思う。

リアシートの背もたれはリクライニングができる。ただし、リクライニングといっても乗員のためではないので、注意が必要である。最も後ろに倒した状態が通常の乗車用で、それよりも立てる方向に垂直まで数段階の調整ができる。立てることによって荷室を広げるのが目的である。

スバルは乗用軽自動車を1車種しか持てないため、広さを売りにした車種を作ってもスズキやダイハツに勝てるわけがない。そこで、R2は広さを売りにしない代わりにデザインや質感で勝負する戦略にしたのだろう。そういうのを好む人は多いと思うので、PLEOよりは売れるのではないかと想像する。

R2の発表の数ヶ月前、スバルはGMグループ内のスズキと軽自動車の部品を共用するという話を発表した。しかし今回はあまり共用部品はなさそうである。主要な部品をスズキと共用するようになると、スバルの軽自動車の存在意義はなくなるだろう。走りの質にこだわるスバルと、安く作ることにこだわるスズキでは、相容れない関係があると思う。

初期モデル

VIVIOを買った店に親と一緒に行ってみると、Rより21万円も安い@の試乗車があったので近所を一回りすることにした。。

Rと比べれば装備に差はあるが、このグレードで何ら不自由な思いをすることはない。今や一般的になったABSを装着すると、5万円アップする。

最も気になる部分は OHCエンジンの性能である。DOHCエンジンのRと比較して 5Nm、6kWの差がどれぐらいのものなのか、それを確かめるのが目的である。

まずドアを開けて分かるのは、@にはシートリフターがつかないこと。ただ、Rに備わるリフターをよく見てみると、座面だけが上下するものであり、背もたれは動かないので、このような安物ならば、ついている意味はない。もともと着座位置が高いので、リフターが無くても背の低い人でも何ら問題なく運転できるはずである。

@には水温計もタコメータもないので、暖機の程度をどのように判断するのだろうと思っていると、冷間時のアイドルアップ状態から突然ストンと回転数が落ちるタイミングがあった。それからDにシフトして発進した。

タコメータがないのは寂しいが、普通に走る分にはRと何ら変わるところはない。エンジンもCVTも静かに仕事をしてくれた。

さて、登り坂でフルスロットルにしてみると、威勢良く回転数が上がる。しかし、あまり力がない。Rと@は全く同じギア比なので、エンジンの性能差がストレートに出てしまう。DレンジからLレンジにシフトしてみると、少しエンジン回転数が高くなり、さらに威勢は良くなるが、それで速くなっているのかは判らなかった。

狭く曲がりくねった道へクルマを進めると、ハンドリングはとても安定しており、ギャップの吸収能力も高い。ロール感も全然気にならない。脚はRと同じなのだろう。

@はなかなか良くできたクルマであるが、エンジン性能が物足りない。@の装備でRのDOHCエンジンがついているクルマを望む。

 

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