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SKYLINE(V35)

250GT

第2回M/C後

丸テールランプ

4AT

250万円(税抜)

マイナーチェンジ(M/C)でテールランプが丸型に変わった。スカイラインファンという人たちが丸テールにこだわる理由は分からないが、こんなつまらないことでV35が「スカイラインである」ことを認めてくれるのなら、日産としてはさぞかし助かるだろう。

このM/Cではラインアップが変更された。ほとんど売れなかったVQ30DDは廃止され、VQ35DEにトルコンATを載せたグレードが新設された。

丸テール以外の変更点はトランクを外側から開けるスイッチが左側テールランプの下に設置されたこと。初期の利便性が戻った。それ以外は、インパネの飾り板が本物のアルミニウム製になったこと、テレスコピック機能がステアリングホイールについたことぐらいが新しいところ。

乗ってみると、ほとんど変わっていなかった。スロットルペダルの踏み始めにみられる奇妙な敏感さ(ドンと飛び出す)は相変わらず存在し、着座位置が異常に高いことも変わりなく、ATも4段変速のままであった。ATにスポーツやスノー用のモード設定はなく、雪道での2速発進はできないという。エルグランドやフーガのVQ25には5段ATが付くのだから、V35にも早く設定してもらいたい。また、新設のテレスコピックステアリングはわずかなストロークしか許さない。さらに位置固定レバーが上下用と前後用で別々に存在して使いにくい。まったく付け焼き刃の仕事であり、まともな設計がなされたとは思えない。

脚はしなやかになり、落ち着いた雰囲気が出ていた。第1期は柔らかすぎて、第2期は硬すぎて、今回ようやくまともな設定になった。

セダン離れが進んでいるのが販売不振の原因の多くを占めると思うが、V35の低迷は相変わらず。明確なポリシーがないところにブランドは育たないということなのだろう。

250GTm

70th記念車

第1回M/C後

角テールランプ

4AT

マイナーチェンジ(M/C)を受けてからしばらく経過したが、どこが変わったのか確認するためにプリンス店に行ってみた。

試乗車は2.5LのGTmというグレードであった。これは、スカイラインが上級化して300万円クラスのクルマになり、売りにくくなったため、お買い得グレードとして追加された廉価版(250万円)である。装備は簡略化され、電動シート調整、リアシートリクライニング、エアコンの左独立温度調整機能等が装備されない。ただ、試乗車は特別仕様車(70周年記念車)で、リアシートはリクライニングが可能であった。それでも価格は変わらず250万円。

マイナーチェンジの内容は、見えるところではグリルの色、ボディ下部の色が変わり、トランクを外からキーを使わずに開けられるという機能を廃止した(←折角の装備を、外観がカッコ悪いという理由でやめてしまった。いったい何を考えているのだ! そんな些細な変更で売れるようになると本気で思っているのか?)

見えないところも色々と変わっているようなので、田舎のワインディングロードで乗って確かめてみることにした。

まずは運転席に乗り込んでみると、やたらに着座位置が高いのが気になった。頭上の空間は充分確保されているので問題はないが、何となく気持ちが悪い。ステアリングホイールは上下にしか調整できないので、手前に引っ張り出してシートを寝かす(目の位置を下げる)というやり方は通用しない。もう少し調整幅を大きくして20mmぐらい前席の位置を下げられると、後席の人の快適性も高まる(視界が広くなる)はずである。カタログで高らかに謳われている「パーソナルコンフォート」をもっと真面目に考えてもらいたい。

慣れない足踏式駐車ブレーキを解除して動き出すと、ステアリングが重くなっていることに気付いた。小さいRのカーブが続く山坂道を走ると、もう少し軽いほうが取り回しが良いかなと感じた。

脚はかなり締め上げられ、初期モデルの面影はまったくなくなった。ローレルと呼ばれることはもうないだろう。しかし、ちょっと突っ張った感じが強く、乗り心地が悪い。もう少しきれいにストロークする脚が欲しい。脚が硬くなったことによって、ステアリングが異様に敏感に思える違和感は消失した。まさかステアリングギア比を変えたという話はないだろう?

ステアリングのレスポンスが悪い代わりにスロットルのレスポンスは異常に敏感に設定されているため、ワインディングロードではとても走りにくかった。また、何の躊躇もなくどんどんシフトアップするAT(ノーマルモード設定時)の性質ゆえ、カーブからの立ち上がりでは2段シフトダウン(4→2)が頻繁に起こり、リズム良く走ることができなかった。Tipシフトが付いているので、それを使ってギアを固定するか、Sportモードを試してみてもよかったかもしれない。

スロットルレスポンスの異様に過敏な性質は、ゼロからの発進時にも強く感じてしまう。何気なくスロットルペダルを踏むと、ドカンと出てしまい、自分でビックリしてしまう。もちろん同乗者も不快な思いを抱くだろう。こんな子供騙しで良い加速感を演出するのはもう止めてもらいたい。まるで能のない芸人が目立つために無意味に騒いでいるようで、虚しい限りである。初期モデルは穏やかなセッティングであったので、何が良いのか日産の開発者は知っているはずである。爪は隠しておいてこそ恰好が良い。変なところで評論家の意見を取り入れてしまうと、折角のクルマが台無しになってしまう。

全開加速をしてみると、やはり一般的な2L車よりも力強いことは感じられた。しかしこのエンジンは明らかに高い回転を好むようで、3500rpmぐらいから盛り上がっていくのが感じられた。3000rpmまでのトルク感が薄いというのは実用セダンのエンジンとしてはいかがなものか。27.5kgmというトルク最大値は魅力的ではあるが、それを25kgmにしてもいいので、フラットトルクにしてもらいたい。

ATはいまだに4段変速である。そのせいで少しだけエンジンブレーキが欲しいときに適当なギアが選べないことが多い。また、中低速トルクが薄い性質を持つ2.5Lエンジンには多段ミッションのほうが向いているのである。いいかげんに5段ATを導入すればいいと思うのであるが、価格が数万円アップするのがそんなに嫌なのだろうか。5万円ぐらい高くても大したことはないと思うが、どうだろうか。評論家の意見はこういうものこそ取り入れるべきである。

客や評論家などの外部の様々な意見を取り入れて、初期モデルの不思議な乗り味は改善され、クーペと合わせてスカイラインらしい乗り味が確立されてきたようである。方向性としてはなかなか良いと思われる。

250GT

Pコレクション

初期モデル

デビュー時

4AT

291万円

FMパッケージということを高らかに謳っているが、恥ずかしくないのだろうか。エンジン重心を前車軸より後ろに置くのはBMWは昔からやっているし、燃料タンクをリアシート下に置くのはどのメーカーも昔からやっている。古臭いパッケージを永らく守ってきた日産の社内では革新なのかもしれないが、市場では何を今更 という気がしてならない。

ライバルがBMW3er、Mercedes C-Klasseというにはボディが大きすぎるが、随所にライバルに備わっている便利な機能・装備を採用しているのが良いところ。特に便利なのは空調の温度を左右席で独立調整できることとトランクを外からキーを使わずに開けられること。ステアリングやスロットルの反応は3erとC-Klasseの中間的なフィーリングで、これといった特徴は感じられないが、ボディの大きさゆえ室内、トランクともに広く、ファミリーセダンとして使うのには快適だと思う。

ところで、最近は何でもSPORT SEDANと呼ぶが、街乗りの試乗では何が“SPORT”を表しているのか感じられなかった。乗り味はまるでローレルである。今からでも名前を変えたほうが売り上げが伸びるのではないかと思う。4段ATの変速はスムーズではあるが、段数が少ないとステップ比が大きくなるためTipシフトを使う機会はあまりないだろう。個人的な希望を述べると、5万円ぐらい高くなってもいいので 2.5Lにも5段ATを装着して欲しい。せっかくライバルのいいとこ取りを徹底したのだからATの段数も真似をしてほしいものだ!

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近い将来登場するであろう350GTが楽しみ。206kW以上、370Nmぐらいの出力のエンジンが載ったスカイラインなら、MercedesのC320やBMW 330iと十分張り合えるだろう。350GT-8は出たが、店頭にはほとんど展示されないそうである。また、試乗車も存在しないらしい。「客は実車に乗らず、見ることもせず、カタログだけの情報で買わないといけない」と店員は言う。恐るべし日産。そんなことでクルマが売れると思っているのだろうか。ハーフトロイダルCVTの価格が高く、利幅が少ないため実車を各店舗に配置できないのかもしれないが、新CVTをセドリックの最も高いモデルだけに載せて量産を考えなかったのがそもそもの間違いである。この機会にSKYLINEをたくさん売ってCVTの値段を下げようとは思わないのか。良いものを持っていても売り方を知らないから小手先のホンダに負けるのである。いつまで経っても「技術の日産」はダメである。

Coupe

350GT

Premium

5AT

スカイラインのスポーティなイメージをこのクルマで回復することができるか。TVコマーシャルでは古き良き時代のスカイラインの映像を使ってオジサン顧客を呼び戻そうとしているように見えるが、果たしてR32 GT-R 発売時のようにうまくいくだろうか。

外観は、素直にカッコいいと思う。単にセダンより低くて幅広いというだけではあるが。。。そこで、外観に見合った走りをするのか、ちょっとだけ乗ってみた。試乗車は「プレミアム」というグレードで、18インチタイヤを装着していた。

まずは運転席に座ってみると、ボンネットが見えない。着座位置が低く設定されているのではないかと思い、シートリフターで1cm程度上げて走り出した。しかし道路に出ると着座位置は高く感じてしまい、最下位まで落とすことで普通の感触を得ることができた。実際はボンネットが見えなくても、フェンダーの盛り上がりが見えるだけで充分なのである。最下位でも普通のセダンのポジションなので、イニシャル位置をあと20mm下げても問題はないと思う。シートの座り心地は Z33よりゆったりとしており、悪くない。ただし、セダンとまったく同じデザインのパネルは、クーペに乗っているという雰囲気をブチ壊してしまうので、何らかの方策を考えて欲しい。

エンジン音や排気音は Z33と同じようなもので、V35用として特にチューニングを受けている感じはしなかった。ATの設定も同じようなものだと聞いたが、Tipシフトを使ったときの変速はかなり素早く、なかなか気持ちの良いものであった。

乗り心地は、タイヤの上下動と一緒にボディまで揺れるのが気になった。ギャップを乗り越える際に、R34 GTS-tはタイヤだけがスッスッと上下に動いて気持ちの良い走りをしたが、V35はコーナーリング中にギャップを踏むと、ボディがフニャフニャ捻れるような嫌な動きを感じてしまい、興ざめした。重い18インチタイヤ&ホイールを履きこなすことができていないような気がする。Z33も18インチと17インチでは乗り心地が大きく違ったので、V35も同じように17インチが適当ではないかと思う。

期待して乗ったV35であるが、R34のほうが乗り心地(脚の動き)が良く、しかもスポーティカーのような軽快なハンドリングを持っていたことが分かった。改めて17インチ仕様のクーペにも乗ってみたいと思う。

 

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