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どういう感覚なのだろうか

自動車の試乗レポートを読んでいて、違和感を抱くことは往々にしてあるものだが、複数の人が同様の評価をしていることを見るにつけ、人間の感覚の何らかの部分を揺さぶる秘密が隠されているのかもしれないと思っている。

何のことかというと、「SPORTモード時のステアフィーリング」の話である。

下に一例(書き手は素人)を挙げるが、プロの書き手でも同じような記述をする人がいるのだ。

上の試乗記で題材になっている新型カムリ(XVH70)のサスペンションダンパーは減衰力設定を変更できるタイプではない。すなわち、走行モードでSPORTを選んでも脚の設定が変わることはなく、もちろんステアリングのギア比が変わるVGRSなど付いておらず、単純にステアリングのパワーアシスト量が減るだけなのである。

ダンパーの減衰力が高まれば車両の動き方は変わるが、ステアリングのパワーアシストが減るだけなら、ステア角(速度)とクルマの動きとの関係に変化が起こるはずもなく、アシスト量を極端に減らすクルマに対して私は、「ステア特性が変わるわけでもないのに、ハンドルを重くして操作しにくくすることに何の意味があるのか」と感じるだけなのだ。

それなのに、パワーアシストが減らされると、「ハンドルのレスポンスがクイックになる」と感じる人が存在するのは何故か。

世の中にはそういう類の設定をするクルマが多く存在するので、何らかの意図が感じられる。

 

私の推測では、重くて動かしにくいハンドルを動かそうとする際、運転手は一気に力を込めて操作してしまうので、結果的に急ハンドルを切ることになり、車両の動きが速く(一定時間の中で大きく)現れて、クイックになったように感じるのではないか、と考えるのである。

メーカーの開発者がそんなことを考えているのなら、なかなか奥が深い。

パワーアシストを減じた重いハンドルに設定することで演出を効果的に得るためには、簡単には動かないぐらいの重さにしておく必要があるのだ。私が「意味の分からないハンドルの重さは嫌だ」と思っても、一部の運転手はその演出を受け入れる(騙される)のだ。これは面白い!!!

 

人間の感覚を誤魔化して特定のフィーリングを感じさせるチューニングの技術はほかにもあるのだろう。それを探してみるのも面白そうだ。

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