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タイヤ痕がない!

交通事故が起こったとき、タイヤ痕の有無がしばしば取り上げられる。

タイヤ痕が存在しないと、「ブレーキを踏んでいなかった」と判断されることもあるようだ。

果たして当事者は本当にブレーキを踏んでいないのか?

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最近のクルマの多くにABSが標準装備されるようになり、連続的なタイヤロックが回避されるようになった。すなわち、昔よく見た数mに亘って黒々と走るタイヤ痕というものを目にすることが少なくなった。

では、ABSが作動すると、タイヤ痕はつかないのか。

これは、クルマによって様々なのである。

ABSのセッティングにはメーカーの開発者の意向が反映されると思われ、まったくロックしないABSから、かなりロックを許容するABSまでいろいろな設定が存在する。

例えば、GC8インプレッサはとにかくロックを嫌い、いくらフルブレーキングしてもタイヤが鳴かず(ロックせず)、スルスル(ツルツル)ッと滑るように止まるのであった。しかし、BL5レガシィはロックすることを許容し、フルブレーキングでキュキュッとタイヤが鳴くのである。

実際に見たわけではなので定かではないが、フルブレーキング(パニックブレーキ)の結果、GC8ではタイヤ痕が残らず、BL5ではタイヤ痕が少し残ると考えられる。このように同じメーカーのクルマでも設計思想やABSのメーカーによって設定が異なることがある。

私は新車試乗の中でフルブレーキングのテストをすることもある。いろいろなクルマでテストをしてみると、それぞれに異なる味付けが存在することを知る。

各モデルで重要視するポイントが違うのだと思われる。つまり、ドライを重視したり、ウェットや凍結路を重視したりするということである。

万能のABSはまだ完成していないのであろう。

 

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